お手軽に絶景を楽しめる、それも雲海ドライブの魅力
ルートやスポットを選べば雲海は手軽に楽しめる。それが「バリアフリー雲海」のススメだ。たまには年老いた親をクルマに乗せて……、誰かと一緒なら感動はさらに大きくなるはずだ。
雲海よもやま話(二)で紹介したteam雲海の今田さんと同じように、地元の名物として雲海の魅力をアピールしようと考えているのが、野迫川村(*Spot 65)で昭和食堂を営む泉本勝代さんである。そんな彼女がお客さんたちにお勧めしているのは、クルマに乗ったまま雲海見物を楽しむ「バリアフリー雲海」だという。
「雲海風景に魅了された人の中には、チャンスがあれば、年老いた自分の親、障害をもつ家族や知り合いにも、あの感動を味わってほしいと思う人が多いのではないでしょうか。そんな人に野迫川村の雲海はピッタリなんですよ」と泉本さんは言う。
本編でも紹介した通り、野迫川村では1年を通じて雲海が発生しやすく、しかも、村内のあちこちで雲海を眺めることができる。たとえば神社の駐車場、道幅に余裕のある県道の路肩なども格好の展望スポットになっているのだ。
「野迫川村の場合、早朝はクルマの往来が少なく、路肩駐車で周囲に迷惑をかける心配はほとんどありません。道幅に余裕がある景勝地案内板の近くなら、まず問題にならないでしょう」と彼女は話す。
泉本さんの「バリアフリー雲海」を参考に、編集部が独断と偏見で選んだのが左下のベスト5だ。
第1位 ビーナスライン(*Route 37)
第2位 ミルクロード(*Route 79)
第3位 八幡平アスピーテライン
第4位 知床横断道路
第5位 富士山スカイライン
1位のビーナスラインはルート上で雲海を見られる距離が長く、しかも、純粋な観光道路なので長距離トラックなどの行き来もなく、雲海を眺めながらゆっくり走っても、早朝なら周囲に迷惑をかける心配はまずない。また、ルート沿いに広くて雲海の見やすい駐車スペースが数多くあるのも魅力だ。
一方、ミルクロードは雲海風景のすばらしさは申し分ないものの、大観峰など一部の展望スポットでは駐車スペースから雲海が見づらいのが残念。クルマを降りて少し歩かないと、あの絶景とは出会えないのだ。そのほか、八幡平アスピーテラインは紅葉シーズンの道路の混雑が、富士山スカイラインは冬季閉鎖とマイカー規制による通行期間の短さが、それぞれマイナス評価といったところだ。
雲海ウォッチングというと、暗い山道を重いカメラや三脚を担いで展望スポットへ……というスタイルを想像する人がいるかも知れない。しかし、最初からそんな大変な場所を選ぶ必要はない。まずは家族や大切な人と一緒に、車窓からの雲海風景を気軽に楽しんでみてはいかがだろう。
文:佐々木 節/撮影:平島 格