清水和夫のDST

プジョー308 vs ホンダ・インサイト、プジョーが得意なディーゼルにホンダ最新ハイブリッドが挑む!【清水和夫のDST】#103-1/4

清水和夫のダイナミック・セイフティ・テスト(Dynamic Safety Test)
Number103(SEASON.12):プジョーが得意なディーゼルモデルにホンダの最新ハイブリッドが挑む!

プジョー308 GT ライン・ブルーHDi vs ホンダ・インサイト EX

2009年のル・マン24時間レースで総合優勝を飾るなど、ディーゼル技術に定評があるプジョー。中でも308はその急先鋒だ。一方のホンダはディーゼルよりハイブリッドを推進し、最新のインサイトの評判は上々である。盤石のディーゼルと先進のハイブリッド。国民車同士の異色対決の行方は如何に!?

洗練のパワートレインが質の高い走りを生み出す

プジョー・シトロエンは、ガソリンエンジンやハイブリッドよりもディーゼルエンジンを得意としている。
それでも近年はガソリンユニットをBMWから調達し、ポストディーゼルとなるパワープラントの開発に着手。2011年には独自技術で3008ハイブリッド4を発表した。当時フランスで開催された国際試乗会に参加したが、量産車初となるディーゼルハイブリッドで、メルセデスのSクラスよりも一足先に市場投入した。燃費に優れるディーゼルをハイブリッド化したのだから、パフォーマンスと燃費は良かったが、ディーゼル+モーターではコストが嵩み、Cセグメントには使いにくい一面も持っていた。

プジョー308 GT ライン・ブルーHDi/PEUGEOT 308 GT Line BlueHDi

 そこでプジョーは2018年のパリ・サロンで、ガソリンエンジンを主力とした1モーターのPHV(プラグインハイブリッド)を公開、2019年秋から3008、508系への搭載を予定しており、パワーユニットの多様化にも意欲的に挑んでいる。
今回ピックアップした308は電動化されていないが、質実剛健なディーゼル車として、DSTではオールラウンドなパフォーマンスで存在感を示した。プジョーの強みはそのわかりやすい走り味だ。高速周回路では、インサイトと異なり、ステアリングのセンター付近の操舵フィールが素晴らしい。ホットハッチのDNAはしっかりと受け継がれ、ステアフィールにダイレクト感があり、クイックに操作すると重くなる。ただし横風を受けると挙動が不安定だった。

インサイトは全体的にマイルドで、セダンの上級車

さてインサイトだが、ガソリンエンジンとモーターの相性がよく、振動が少ないため、静かでスムーズに走る。まるで小川の流れに身を寄せたような感じだ。

100km/h+αのスピードで巡航すると、リアにマルチリンクサスペンションを採用したこともあり、驚くほど乗り心地が良い。スタビリティも高く、横風にも屈しない。ステアリングの手応えはプジョーほど明確ではないが、インサイトは全体的にマイルドで、セダンの上級車というポジショニングにも納得できる出来映えだ。これほど完成度が高いのに、唯一残念だったのはドライバーズシート。滑ってしまい収まりが悪いため、ロングドライブ向きではない印象だ。仮に308のシートを取り付けたらマッチするかもしれない。

ホンダ・インサイト EX/HONDA INSIGHT EX

 勝負的には僅差でインサイトが上回ったが、全体的な印象として、それぞれの搭載ユニットが示すように、308は古典的なイメージに終始し、インサイトからは未来感がひしひしと伝わってきた。

安定感バツグンの308、魅力が増したインサイト

個人的にはディーゼル好きだが、ホンダのハイブリッドが輝きを増したことを実感させられた。それでも長距離走行はディーゼル向きで、燃費はハイブリッドとほぼ同じかもしれないが、燃料が軽油のため、308のコストパフォーマンスは高い。しかも8速ATゆえに、高速クルーズではエンジン回転が低く、静かだ。
インサイトもその点は同様だが、ハイブリッドが苦手とされる高速走行でもパフォーマンスは悪くない。ディーゼルとハイブリッド。それぞれに光るものがあった。

RESULT
308とインサイト、ともに全方位で能力の高さを証明

HONDA INSIGHT EX ●16/20点

Peugeot 308 GT BlueHDi ●15.5/20点

フォト:篠原晃一 ル・ボラン 2019年10月号より転載

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