試乗記

【比較試乗】「ベントレー・コンチネンタルGT vs メルセデスAMG GT R vs マクラーレンGT」あらためてGTの定義を考えてみた

圧倒的なパフォーマンスを滑らかに引き出してみせる

ドライバーを楽しませるとともにロングドライブでは疲れさせることなく、上質さを極めた乗り味やインテリアでとてつもなく贅沢な気分にもさせてくれる。ベントレーはGTの王様であり、ひとつの理想形だと言えるだろう。
なかでも車名にGTが入るコンチネンタルGTは、ベントレーのど真ん中。自らステアリングを握りたくなり、いつまでも離したくない超高級車なのである。

BENTLEY CONTINENTAL GT/ベントレー・コンチネンタルGT

路面に絨毯を敷き詰めたかのような滑らかな乗り心地、一般的な速度域ではほとんど存在を感じさせず豊かなトルクと洗練された回転感で応えるエンジンなどを堪能するだけでも、ステアリングを離したくなくなるが、ワインディングでは望外に軽快な走りに驚かされることになる。
アクセルを踏み込むと、それまで存在を隠していたエンジンが牙を剥く。全開でのスタートダッシュなどはW12ツインターボのウルトラパフォーマンスとAWDによって驚くほど速い。2450kgもの車両重量なのに、たった3.8秒で100km/hに達してしまうのだ。感心するのは、たとえ全力ダッシュでも、出だしの瞬間にガツッとした角張った感覚がないこと。あくまで滑らかさを崩さずに猛然と加速していくのだ。

BENTLEY CONTINENTAL GT/ベントレー・コンチネンタルGT

ハンドリングでも車両重量の重さを感じさせない。ステアリングを切り込んでいけば、連続性のある滑らかな動きでノーズがインへ向いていく。しかも重々しさがなく、ライトウェイトスポーツのごとくヒラヒラと舞うようにコーナリングをしていくのだ。先代まではリアの高いスタビリティをベースにフロントのグリップなりに曲がっていく感覚だったが、現行モデルはFRベースらしい身のこなし。GTのひとつの要素である、ドライバーを楽しませることに磨きがかかったのが現行のコンチネンタルGTなのだ。

フォト=郡 大二郎/D.Kori ルボラン2020年4月号より転載
石井 昌道

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