このクラスには見逃せないクルマがたくさん!
最もスポーティなテイストを持つのは? と問われたら、このクラスではミニ・クーパーだろう。
ミニには今や貴重なマニュアルトランスミッション仕様があって、数値以上に力強く感じられる136psに220Nmの1.5L直3ターボを引っ張って、シフトをエンゲージして……と繰り返してるだけで、やたらと楽しいことをしてるような気分になる。加えて、適度+αぐらいにクイックな反応を見せてくれるシャシーのシャッキリ感、だ。
上にはクーパーSやジョン・クーパー・ワークスといったさらに速いモデルもあるけど、日常生活の中でちゃんと使い切れる爽快感を得られるのは、このクーパーまで。ストレスのない走りの楽しさと誰が見てもミニと判るアイコニックな姿がミニの最大の魅力なわけだが、それを最も気負うことなしに満喫できるという点で、僕はクーパー押しだったりする。実用ハッチ7割、スポーツカー3割。そんな当たり前の使い方に最もマッチしていると思う。匙加減、絶妙なのだ。
一緒にいいて思わず口元が緩む仲間のようなクルマが欲しいなら、間違いなくフィアット500だ。見た目と違ってハンドリングがスポーティで奥深いとか、0.9L 2気筒ターボが実は粘り強いしスピードも結構ついてくるなんて要素ももちろん無視できないけど、そういうことじゃない。10年以上もフルモデルチェンジされてないから見慣れてるはずなのに、いまだに微笑ましいような気持ちにさせらるのは、クルマが全身で笑いかけてくるような、偉ぶったところのどこにもない、希有な存在感によるものだろう。
人は頭を回転させるのも嫌いじゃないけど、根っこの部分ではシンプルに心に訴えかけてくるものに自然と惹かれるところがある。1950年代に生まれた偉大なるチビ車、ヌォーヴァ・チンクエチェントがそうだったように、自然体でニコやかに寄り添ってくれる温もりを、今のチンクエチェントも持っている。しかもつきあってみると、かなり“いいヤツ”なのだ。
他にもこのクラスには、超がつくほどスウィートな乗り心地を誇るシトロエンC3だとか、クラスを越えたしっかり者のフォルクスワーゲン・ポロだとか、見逃せないクルマがたくさんある。どうか思い切り悩んでいただきたい。