人工呼吸器をはじめとする医療器具が完備されたストレッチャーを4台収容可能
ダイムラーはこのほど、メルセデス・ベンツのバス「シターロ」を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の輸送用に改造。ドイツ赤十字社救急医療サービスの「ハイデンハイムウルム」に提供したことを発表した。
ベースとなったシターロは、それまでドイツの市街で毎年のべ4000万人以上の人々を安全に運んでいた乗り合いバス。同社はドイツ・バイエルン州にあるノイウルム工場で、大容量集中治療救急車に改造。12人のスタッフによって、わずか15日間で改造作業を完了させたという。
キャビンには電気油圧式の車輪付きストレッチャー4台のほか、4つの集中治療用人工呼吸器、4つの監視モニター、超音波検査装置、血液分析装備を装備。これに加えて、十分な医薬品や看護器具、追加分の呼吸器具、防護服のための収納スペースも設けられている。
運転席は壁によってキャビンと隔離しており、それぞれ別の換気システムを採用。さらにキャビン内は一回の輸送ごとに消毒されるなど、衛生管理も万全だ。
エクステリアには救急車であることを示すブルーのフラッシャーが装着されるほか、サイレンも搭載。キャビン内のプライバシーを守るため、サイドウインドウにはラミネート加工によるフィルムが装着された。
患者の輸送中は、ウルムにある大学病院から派遣された2名の集中治療医が帯同するほか、ハイデンハイムウルムから派遣された計5名の救急隊員が乗車する。
ダイムラー・トラックのバス部門責任者、ティル・オーバーヴェルダーは次のように述べている。
「まずは、病院や介護施設などの最前線で尽力している関係者の皆さまに敬意を表します。そしてこのたび、ハイデンハイムウルムに輸送能力を提供することで、彼らをサポートできることを嬉しく思います。私たちは、バスメーカーとして新型コロナウイルスによるパンデミックとの戦いに貢献したいと考えています」
一方、ハイデンハイムウルムのマネージングディレクター、デイビッド・リヒターのコメントはこうだ。
「この大型救急車により、われわれとウルムの大学病院の医師は、集中治療用ベッドが不足している病院を効率的に救うことができます」