コラム

徹底的に性能を追求した7本スポークで魅せる「ヒュウガ HP07」【ホムラ コレクション 02】

ホットハッチと称されるジャンルが、今、軒並みプレミアム路線を突っ走る。しかし、だからこそ足もとはスポーツとエレガントとが同居したHP07がいい。HYUGAシリーズの第二弾として生まれたHP07は、圧倒的高性能を有しながら現代流ホットハッチ、プレミアムコンパクトを引き立てる美しさも併せ持つ。

現代流ホットハッチにふさわしいスポーツ性

前頁で取り上げたHP10に続いて、HYUGAシリーズの第二弾としてお目見えしたのが7本スポークを持つHP07だった。名前が示す通り、こちらはスポーク数を7本としたもの。もともとホムラは、7つのクロススポークを持つ2×7から始まったから、彼らにとって“7”という数字には特別な想いがあるのかもしれない。

それはHP10から単にスポーク数を減らしただけではない。各スポークの要求性能を突き詰め、またビジュアル的な力強さを求めた結果として、より太く厚みのあるスポークで構成されるようになった。とはいえ、遠目から見ると極めてシャープ。近づくにつれて無駄のない筋肉質な造形を訴えかける。レイズ独自のRCFスピニングリバース工法を筆頭に、あらゆる技術を駆使した最高峰の1ピース鋳造スポーツホイールだということが伝わってくる。
HP10がDセグメントに狙いを定めたのに対して、HP07はCセグメントに焦点を合わせた。日を追うごとにプレミアム路線が際立つ現代流のホットハッチ、コンパクト勢にピタリと一致する18、19インチという展開である。たとえば、常にスポーティな路線を貫いて来たBMWのボトムレンジを担うF40型1シリーズになんて抜群に似合う。写真のようにボディカラーと合わせたマットスーパーダークガンメタで落とし込んでもよし、ちょっぴりエレガントな雰囲気を足したいならシャイニングシルバーを選んでもいい。

HYUGA HP07が装着された1シリーズ。Cセグメントを標的としてホットハッチには相応しい7本スポークを持つ。各スポークの幅や厚みなどはCセグメントの18、19インチとして最適な寸法を追求。重々しくなく華奢でもない絶妙なデザインを実現した。強度や剛性、軽量性能の追及にも余念がない。

スポークの意匠はHP10に準ずる。いかにもスポーツホイールを象徴するようなサークル形状のボルトホール周辺と、そこからリムへと折れ目を持たせながらつながっていくスポークは、シンプルながら、スポーティな要素とエレガントな雰囲気とを同居させるような秀逸なデザインだ。なお、スポークにある折れ目付近は、わずかに太く設計されている。折れ目に応力が集中することを見据えた設定だ。さらにスポークとリムは、強度的に理想的なラインを持って流れるようにつながる。高いデザイン性の中に、愚直なまでの性能追求がひっそりと内包される。

また、冒頭で触れたRCFスピニングリバース工法によるインナーリムの高剛性化も見逃せない。ボルクレーシングを筆頭とする鍛造ホイールの研究開発や、世界最高峰のモータースポーツへの挑戦、その過程で生まれたキャンバー剛性理論を活かしたものだ。コーナリング時などホイールにかかる強大な力を前に、できるだけ形状変化の少ないホイールを目指してタイヤの接地面積を一定に保ちたい。そのためスポーク面から遠いインナーリムの高剛性化を狙った工法だ。決してデザイン性ありきのリバースリムではないが、だからこそのホンモノ感が漂う。ハイグリップタイヤを履いてガンガン走っても似合うし、それを受け止めるだけの性能は充分に確保されている。
さりげなくスポーティに彩っていて、でも、その裏地は凝りに凝っていて――。HP07にHP10を含めたHYUGAシリーズは、鍛造から鋳造、それに付随する独自の生産・開発技術など、あらゆる技術を有し、日々成長を続けるレイズだからこそ成し得た、大人のスポーツホイールである。

フォト=宮越孝政/T.Miyakoshi  ル・ボラン2020年5月号別冊付録より転載

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