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【海外試乗】「オペル・グランドランドX」オペルの日本導入予定モデルを先行試乗!

PSA傘下となり、2021年から再び日本での正規販売をスタートさせるオペル。会見では導入予定となるモデルも発表されたが、その一台であるグランドランドXをドイツ本国で試乗を敢行し、ひと足先に乗り味やクルマの印象を確かめてきた。ドイツ車らしくもあり、ユニバーサルとも評せる、親しみやすさ溢れる一台だ。

ドイツ車らしい上質さが感じられる一台

オペルが日本市場に復活する。1990年代にはフォルクスワーゲンのライバルに挙げられ、日本では年間3万8000台以上を販売したオペルだが、当時の親会社GMの社内事情に翻弄され、商品コンセプトが迷走し、販売店も紆余曲折。2000年代に入ると販売不振に陥り、2006年にはついに日本市場から撤退してしまった。

そのオペルが、15年の月日を経て2021年後半に日本に再上陸する。そこで最初に導入予定の3車種の中のひとつ、グランドランドXをドイツ・リュッセルスハイムのオペル本社から借り出して、丸1週間乗り続ける機会を得た。

充電ソケットの差し込み口は左リアフェンダーに装備。出力7.4kWのウォールボックスを使えば、2時間でフル充電が可能。EV走行時の航続距離は、実際には40km程度の印象。

グランドランドXは、2017年秋にフランクフルト・ショーでデビューしたミドルクラスのSUV。シボレー・キャプティバやサターン・ヴューの兄弟モデルだったアンタラの後継モデルとして開発された。

だがグランドランドXのプラットフォームはGM系のものではなく、2012年から協力関係にあり、2017年には親会社となったPSAのEMP2プラットフォームを採用している。つまり、このSUVはプジョー3008やシトロエンC5エアクロス、DS7クロスバックなどとメカニズムの多くを共用したモデルなのだ。

ステアリング周辺のスイッチ類はオペル独自の操作方法を採用。

今回試乗したのは、昨年秋に追加設定された「ハイブリッド4」というPHEVの最上位モデル。パワートレインは、フロントに最高出力200ps/最大トルク300Nmを発揮する1.6L直4ガソリンターボに加え、フロントには110ps/320Nm、リアアクスルには113ps/166Nmを発揮する電気モーターが備えられたハイブリッドパワートレインだ。そして8速ATを組み合わせた電動4WD仕様となる。

メーターパネルには速度計とエネルギーメーターが備わる。

リチウムイオンバッテリーはリアシート下に搭載し、蓄電容量は13.2kWh。電気モーターのみで走行するエレクトリックモードでは、WLTPで最大59kmの航続距離を確保する。また電気モーターのみで135km/hまで加速可能となっている。

シフトレバー左側にはドライブモード切り替えスイッチを装備。

走り出してまず驚いたのは、とにかく加減速が滑らかで力強いこと。ハイブリッドモードでも通常は電気モーターで発進し、アクセルペダルをある程度以上踏み込むとエンジンが始動するのだが、パワーソースの切り替わりによるトルク変化はもちろん、いつエンジンが始動したのかもほとんど気付かないほどスムーズでパワフル、かつ静粛性も高い。

ブラックレザーのエルゴノミック電動シートは、最上位のウルティメイト仕様には標準装備される。

シャシーも素晴らしい出来映えだ。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアはコンパウンドクランクと呼ばれるトーションビームの一種で、試乗車には19インチのオールシーズンタイヤが装着されていたが、ストローク感があってしなやかに路面を追従する感覚だった。今時のオンロードSUVとは一線を画す、しっとり上質な乗り心地を実現している。ステアリングフィールも極めて滑らかで上質。メカニズム的に近いプジョー3008やシトロエンC5エアクロスとは明らかに異なるキャラクターが備えられた、とてもドイツ車らしい上質感が感じられる1台と言えるだろう。

後席は大柄な男性でも問題なく座れる広さを確保。

フォト=山本佳吾/K.Yamamoto ルボラン2020年5月号より転載

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