月刊イタフラ

【嶋田智之の月刊イタフラ】どうみてもクラシック500だけど……

今月も電動チンクエチェントを考える

2020年5月8日付の記事では、まったく新しいフィアット500のEVについてコネコネしましたが、今回は真逆の古いフィアット500EVのお話。

写真の美しくレストアが施されたクラシック・チンクは1967年式ですが、実は100%電動なのです。コンバージョンEVキットの世界ではかなり名の知られたイタリアのニュートロン社製キットを使い、フロントに6kWのLFPバッテリーパックを、リアに回生ブレーキが使える10kWの電気モーターやコントロールユニット、補機類用バッテリーなどをマウントしています。オリジナルのトランスミッションはそのまま残してあり、通常は3速だけで充分、市街地や高速道路では4速を使って95km/hの最高速度を得ることができます。モーター駆動のクルマですから当然ながらゼロスタートも中間加速もオリジナルのチンクよりも鋭いでしょうし、最高速度も高くなってますね。ちなみに航続距離は60km。遠くまでドライブするのに向いてるとはいえませんが、例えば都内などでシティコミューターとして走らせるのなら、実用に充分値するでしょう。

で、どうしてこのクルマを紹介するのかといえば、この個体、5月半ばに日本に上陸していて、これからナンバーを所得して国内でテストや調整などに入るからです。クラシック・チンクのEVを望む人に販売するための、まずはテストカーというわけですね。
プロデュースするのは、あのチンクエチェント博物館。もちろん“フィアット500を未来に向けて保存していく”という理念に相応しいひとつの手段だから、です。
ナンバー付いたら観察&試乗に行くので、続報を待て!

ルボラン2020年7月号より転載
嶋田智之

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