レイズのラインナップでは最高峰に位置付けられる鍛造シリーズ、ボルクレーシングの最新モデルとなるGT090。その造形は、FIA GT3カテゴリーのレース用ホイールをベースとしているがそこには独自の隠し技も込められているとか。その技とは果たして?
9スポークデザインは躍動感の表現にも貢献
ボルクレーシングの一員ということで、GT090もデザインの源流は生粋のレーシングホイールに求められる。しかし、21インチの大径モデルといえばプレミアムかつエクスクルーシブなブランドが装着車のターゲットとなるだけに、機能面だけではユーザーの琴線を揺さぶることはできない。そこで、GT090ではデザイン性も妥協なく追求されている。
そのディスク形状には、変則的といえる9本スポークを採用。これはベースとなるFIA GT3クラス用レーシングホイールにならった結果ではあるのだが、それとは別に造形的意図もあったという。レイズの開発陣が狙いとしたのは、スポーティなモデルに相応しい躍動感の表現。いわく研ぎ澄まされた機能美なら6本、上質感の演出に結びつく繊細さなら10本などの方がわかりやすいのだが、9本という奇数スポークがもたらす一種の“崩し”が前進感の演出にひと役買っているのだとか。このモデルが装着車として想定したのは、クーペなどユーザーがこだわりを持って選ぶ銘柄。そこで、ホイールにも前述のような隠し技を加えることでさりげなく存在感を主張しているわけだ。
もちろん、質感の演出にも抜かりはない。カラーバリエーションは今回の取材車に装着されていたブライトニングメタルダークのほかにブラストブラックを用意するが、塗装は光の加減で繊細な色合いを表現できる5コート5ベイク。リムの外周部にはレイズが特許を持つマシニングAMT加工による彫刻文字が入り、デザイン上のほどよいアクセントとしても機能。また、彫刻文字間にはヘアラインを彷彿とさせるラインが入れられ、見ための印象を引き締めるという具合だ。さらに、各スポーク側面には5軸マシニング機を駆使したウエイトレスホールを組み合わせて先進性をアピール。ディスク面の適度なコンケーブ形状ともども、立体感の演出に貢献している。
装着サンプルは3Dデザインのエアロパーツで武装、車高を25mm下げたBMW8シリーズ・クーペだったが、実車を目の当たりにすると作り手の意図は確かに実感できる。ラグジャリーな存在でもある大柄なクーペとGT090の組み合わせは、スポーティな中にも上品さを醸し出す出来映え。一方、変則的な9本スポークは動的要素も意識させる。21インチといえば高いドレスアップ効果も期待されるサイズだが、動きを感じさせる全体のデザインと隙のない細部の仕上げは、そんなニーズを十全に満たしてくれるだろう。
さらに付け加えるなら、機能面も申し分ない。高度な解析技術に裏打ちされた各スポークは直下の入力を対角上の2本、スポーク間の入力は対角上の3本へと分散させることで十二分な強度と軽量化を両立。センター部や各スポークは入念に贅肉が削ぎ落とされる。また、前述のウエイトレスホールは形状や穿たれた場所も強度解析によって最適化されたもの。つまり、このモデルは機能パーツとしても実戦的なわけだ。聞けば昨年末の発売以来、GT090は日産GT-Rのユーザーが多いというが、それはこうした優れた機能が高く評価された結果だろう。
【DATA】VOLK RACING・GT090
■サイズ/価格=21inch×9.0〜12.0J、150,000〜167,000円
■カラー/ブラストブラック(BC)、ブライトニングメタルダーク(ME)、
■対応車種/メルセデス・ベンツ、BMW、アウディ、フェラーリ、その他国産車等
お問い合わせ
レイズ 06-6787-0019 https://www.rayswheels.co.jp/