燃料電池トラックの量産に向けて合弁会社を設立。物流の脱石油へ一歩踏み出す
大型トラック世界シェア1位のダイムラー・グループと、2位のボルボ・グループが合弁会社の設立に合意。次世代燃料電池トラックの開発に向けて巨大メーカー同士が手を組むことになった。燃料電池車の開発ノウハウや水素の貯蔵システムに関して一歩先を行くダイムラーが中心となって2020年に新会社を設立し、その株の50%を約6億ユーロでボルボが取得して合弁体制を築く考えで、トラックの環境対策を迫られるライバルメーカーにとって脅威となりそうだ。
ダイムラー・トラックAG経営委員会会長兼ダイムラーAG経営委員会メンバーのマーティン・ダウム氏(左)とボルボグループ社長兼CEOのマーティン・ルンドシュテット氏。目下、両社の共通目標は、長距離輸送で燃料電池を搭載した大型車両の量産モデルを2020年代後半までに展開することだ。
ダイムラーとボルボは大型トラック市場ではライバル関係を保つ一方で、開発費用のかさむ燃料電池トラックを共同開発することでコスト削減を狙う。昨年からの景気後退、さらに新型コロナウイスルによる市場の縮小も大きく影響しており、EU(欧州委員会)が掲げている温室効果ガス削減の目標を達成するには両社で手を組む必要があると判断したようだ。
大型トラックの電動化に関しては、バッテリーEVより航続距離を伸ばしやすい燃料電池車が適しているといわれる。燃料となる水素も乗用車より搭載しやすく、CO2排出ゼロというメリットも大きい。2大メーカーの提携は脱石油、脱炭素への大きな一歩と評価されるはずで、企業価値の向上にも貢献する。この動きに追随あるいは同意して参画するトラックメーカーが他にもあらわれることになるのか。そのあたりにも注目したい。