ドイツ本国のユーザー年齢層が興味深い
両モデルともに同じMFA-II、すなわちメルセデス・ベンツ・フロントドライブ・アーキテクチャーの2世代目をベースに構築されており、正直その走りに関してはほとんど差がない。あえて言えば、ホイールベースの短いGLAの方が機敏でスポーティなハンドリングを示すのに対して、GLBは重心高がやや高く、シャシーセッティングが快適志向なのでボディの動きはGLAに比べてやや大きい。ただし不快なほどではなく、ルーミーでグリーンハウスは広く、Bピラーもさほど太くないので周囲の見切りはGLBの方がいい。また、ソフトなGLBの方が悪路はもちろん、あらゆる場面で快適な乗り心地を提供してくれる。
カタログ上での動力性能はGLA250が0→100km/h加速6.7秒、最高速度240km/h、GLB250は6.9秒、236km/hと、ボディが重く大きい分だけGLBがやや遅れをとる。ちなみに、本格的なオフロードコースを走ったときの印象では、全長が短く、アプローチ/デパーチャーアングルともに大きいGLAの方が有利で、急勾配の上り下りは得意。まあ、日常とは無縁だが、そんなポテンシャルも備えているということだ。
さて、一般的なクルマでもそうだが、コンパクトSUVの購入に際しては、特にライフスタイルと実用性で判断する場合が多い。デザインでは、前述のようにエステティックで洗練されたGLAがリードする。ダイナミック性能でもショートホイールベースで軽量なGLAのほうが有利。回転直径は30cmも小さく取り回し性は優秀だ。ただし、日常性という面からすると、まず大切な要件は人と物の積載能力になる。そうなると、シーンに応じて最大7人乗れるGLBの方が俄然有利。ラゲッジルーム容量も5名乗車時で比べればゆとりがある。ファミリーカーとしてはGLBのほうが圧倒的に使い勝手はいいだろう。
最後に、参考までにドイツのユーザー層をお知らせしておこう。GLAは25歳~34歳までの層が40.9%でもっとも多く、GLBは幅広く平均的で45歳~54歳までが27.5%でピークとなっている。もちろん、このデータでは家族構成などは推測できないが、年齢層から2台のおおよそのオーナー像は想像できる。つまりこのデータは、ここまでの解説の裏付けともいえるのだ。