試乗記

【比較試乗】「アウディA6アバントTDIvs A7スポーツバックTDI」待望のクリーンディーゼルモデルは走りと燃費性能を高次元で両立

3L V6ターボを搭載するグレードから日本導入を開始したアウディA6とA7スポーツバック。今年1月に発表された2L TFSIに続き、新開発の2L TDIエンジンを搭載するモデルが新設定された。まずは、公道でのフィーリングからお伝えしよう!

ディーゼルの弱点をしっかり封じ込んでいる

新型が日本に上陸してしばらくは、3L V6ターボを積む55TFSIクワトロだけだったA6とA7スポーツバック。その仕上がりの良さは期待どおりだったものの、いまやこのクラスも主力は2Lの4気筒ターボで、早期の導入が望まれていた。そんな声に応えるべく、アウディジャパンは今年1月にガソリンエンジンの45TFSIクワトロを、そしてこの4月、待望のクリーンディーゼルを積む40TDIクワトロを追加して、ラインナップ強化を図っている。

40TDIに搭載されるパワーユニットは2L直4ターボディーゼルと12Vマイルドハイブリッドシステムで構成。 55〜160km/hの幅広い領域でのコースティングを可能にしている。

アウディジャパンとしては、第一弾のQ5以来、1年2カ月ぶりにクリーンディーゼルモデルを追加することになる。搭載されるEA288エヴォ型の2Lディーゼルは、Q5版と同じ排気量ながら、最高出力が14psアップの204psに改良されるとともに、12Vマイルドハイブリッドシステムとの組み合わせで、高い効率を狙ったところが新しい。

A6アバント40TDIクワトロ/最新のMMIタッチレスポンスが標準装備。ブラックパネルを基調にしたクールでクリーンな仕立てはアウディならではだ。走行状況に合わせて車両を最適化する可変ドライブアシストや4輪操舵システム、そして最新のクワトロが常に安定した走りを提供。

さて、今回試乗した2台はボディタイプこそ異なるが、基本設計は同じクルマということで、ここからはA6アバントで話を進めていく。エンジンをスタートすると、アイドリング時にはディーゼルエンジン特有のノイズや振動がきっちりと抑え込まれている。サッシュレスドアのA7スポーツバックはわずかにノイズが大きいが、それでも静粛性は十分高い。

A6アバント40TDIクワトロ

さっそく走り出すと、2.0TDIエンジンは、低回転からトルクが豊かで、A6アバントを軽々と加速させてみせた。エンジン回転数を問わず、アクセルペダルを踏む右足の動きに素早く反応するのは、マイルドハイブリッドシステムのモーターがエンジンをアシストしているからだろう。しかも、加速時のノイズや振動も気にならず、ディーゼルエンジンのネガティブな部分がしっかりと封じ込まれる仕上がりぶりだ。

A6アバント40TDIクワトロ

100km/hのエンジン回転数は、7速で約1300rpm、6速でも1700rpmと低く、高速巡航時のキャビンは静か。アクセルペダルを踏み込んだときには、力強くスムーズな加速がレッドゾーンの4750rpmまで続き、実にスポーティだ。気になる燃費は、高速道路なら20km/L超えは楽勝で、ペースを落とすと30km/Lに迫る数字が確認できた。

A7スポーツバック40TDIクワトロ/2代目へと進化してよりスタイリッシュとなったA7スポーツバック。試乗車にはスポーツサスペンション、スポーツシート、 20インチアルミホイールなど、スポーティなアイテムを含んだオプション「S-lineパッケージ(97万円 )」が装着されていた。

2台の試乗車にはともに、ダイナミックオールホイールステアリングとダンピングコントロールサスペンションからなるオプションの“ドライビングパッケージ”が装着されており、乗り心地はマイルドで、高速ではフラットで落ち着いた動きを見せる。4輪操舵のおかげで、レーンチェンジ時の安定感が高い一方、Uターンなどでは思いのほか小回りが効き、余裕あるサイズのボディが気にならないのがうれしいところだ。

A7スポーツバック40TDIクワトロ

日常の移動の足としてはいうまでもなく、広いラゲッジスペースにたくさん荷物を積んで、大人数で長距離のドライブに出かけるといった場面では、その強みを見せてくれる40TDIクワトロ。ラインナップの中ではエントリーグレード相当の価格設定も手伝って、各シリーズの人気グレードになるのは確実だろう。

A7スポーツバック40TDIクワトロ

フォト=郡 大二郎/D.Kori ル・ボラン2020年8月号より転載

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