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ユーロNCAPが乗員救出アプリを開発

各メーカーの乗員救出マニュアルなどをまとめて提供。オフラインでも使用可能に

2020年から「事故後の救出しやすさ」も安全性の評価に加えたユーロNCAPが、その救出マニュアルをまとめたアプリの提供を始めている。レスキューシートあるいは緊急対応ガイドなどと呼ばれる救出マニュアルは、自動車メーカーがそれぞれ警察や消防機関などに提供している。事故時にはそのマニュアルをもとに救出作業を進めることになるが、1分1秒を争う現場において、マニュアル参照に時間を要してしまうという問題も持ち上がっていた。

レスキューシートがあれば、救急隊員が短時間で救出を可能にするだけでなく、エアバッグの火薬による救急隊員への2次被害など防ぐ役割も担っている。

そうした時間のロスをなくすべく、は各メーカーの救出マニュアルをまとめて閲覧できるアプリ「ユーロ・レスキュー」を開発。国際消防救急サービス協会(CTFI)の協力も得て開発したこのアプリは、iOSとアンドロイドに対応し、ダウンロードしておけばオフラインでも使用できる。事故はどこで起きるか分からないので、電波の届かないところでも活用できることは重要なポイントだろう。まずは英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語で提供されるが、2023年にはすべてのヨーロッパ言語で使用できるようになるという。

事故後の救出は乗員を車外へ助け出すためのボディ切断ノウハウや、エアバッグの火薬への注意などに加え、クルマの電動化が進むなかで高圧電流による救急隊員の感電を防ぐ対策も必要になっている。そのためにはレスキューシートは不可欠であり、それを短時間で参照できるユーロ・レスキューの存在はいち早い救出を可能にするだけでなく、救急隊員が受ける2次被害を防ぐ役割も担っている。
ちなみにオーストラリアで自動車アセスメントを実施しているANCAPも、ユーロ・レスキューをベースとしたアプリの提供を受けているという。日本でもこうした救出ノウハウのトレーニングは消防関係者が中心となって進められているが、そのマニュアルをアプリで提供する話は聞こえてこない。電動化に加えてクルマの機能が複雑化しているだけに、救急隊員の安全を確保するためにも、今後は必要となってくることは間違いないだろう。

ルボラン2020年9月号より転載
田畑修

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