かつて「MAZDA121」というモデルがあった。初代のベースはフォード・フェスティバ!
マツダのリブランディングにより、車名が全面的に数字を基本とするものに変わったのにも慣れてきたころでしょうか。フルモデルチェンジでMAZDA3(従来はアクセラ)は新しい名前が馴染んできましたが、MAZDA2を「デミオ」と呼んでしまう人はまだまだ多いかもしれません。
さて、スズキからOEMを受けている軽自動車を除き、マツダのラインナップでもっとも小さいデミオがMAZDA2に改名したのはいいとして、数字とボディサイズがリンクするというルールならば、なぜ一番小さいデミオがMAZDA1にならなかったのか不思議に感じることはありませんか。
その理由は単純で、現行デミオは海外ではMAZDA2として売られている地域もあったからです。そして、MAZDA1にあたるクルマは別にあったのです。
覚えているでしょうか。それはマツダがフォード傘下だった時代につくっていた全長3.5m足らずのサブコンパクトカー「フェスティバ」です。このモデルは、一部の地域では「MAZDA121」という名前で売られていました。
その後も「MAZDA121」は続きます。こちらも忘れられているかもしれませんが、オートザム・レビューというモデルの海外名称が「MAZDA121」でした。そのほかフォード・フィエスタのマツダOEMモデルに「MAZDA121」の名前が使われたこともありました。
ただし、ちょっと話が複雑になるのは、初代デミオも一部の地域では「MAZDA121」として売られていたことです。デミオの海外名がMAZDA2となるのは2代目からなのです。
というわけで、もしMAZDA1という名前を使うならば、かつての「フェスティバ」や「レビュー」のような車格のモデルに付けるのがふさわしいのですが、いまのマツダの商品ポートフォリオからすると、そうしたサブコンパクトカーを生み出すというのは考えづらいのも事実です。
であれば、軽自動車に「MAZDA1」という名前を付ける可能性はないのかといえば、「ない」というのが答えになります。
そもそもMAZDA+数字という車名にするメリットはグローバルでの統一であって、日本専売の軽自動車に「MAZDA1」という名前を与えるメリットはありません。そもそも現在の軽自動車ラインナップはエンブレムを変えただけのスズキのクルマですからMAZDA+数字の車名にふさわしいスタイリングともいえず、ブランドの統一感からいってもマイナスです。だからといって魂動デザインを持つ独自の軽自動車を作るという選択もあり得ない話です。
というわけで「MAZDA1」という名前はグローバルモデルとしてMAZDA2よりも小さなセグメントの車種が生まれるまではお預けといえます。しかし、電動化ムーブメントの中、より小さなコミューター的コンパクトカーのニーズが高まっているというトレンドもあります。マツダが独自にそうしたモデルを開発するかどうかは別として、様々なつながりの中で、サブコンパクトカークラスの「MAZDA1」が誕生する可能性はゼロとはいえないかもしれません。