ベルギー3週間取材旅行の旅の後半は、スパ・フランコルシャンサーキットへ足を運びました。その前にいたゾルダーとは僅か100km程しか離れていないのですが、街の皆さんが話される言葉がフラマン語からフランス語・ドイツ語になって、なんだか同じ国なのに話す言語が違うなんて、日本人としてはフシギな感覚です。でも、日本は沖縄と青森の言葉が全く違うような感じでしょうか?(笑)。
ところで、ゾルダーではホテルから仕事先のサーキットへ向かう途中に、愛車のBMWから異音がしてなんだか煙臭いではありませんか⁉ ホテルの駐車場には物凄い数の立派なブナの木があり、ドングリが降るように落ちてきますので、ボンネットの隙間にもいっぱいドングリが入ってしまい、それが原因かと思って、ボンネットを開けても異常はなし。
愛車のドライブコネクトからカスタマーセンターへ連絡を入れて、愛車の所在地とコンピューターで状態を見て貰うも異常はありません。メーターパネルにも警告が出ていない為に、カスタマーセンターの方もちょっとイラつき気味(苦笑)。でも、異音は更に大きくなるし、なんだか社内はビニールが焼けたような煙臭いし……。取り敢えず最寄りの正規ディーラーを紹介され、仕事の後に大慌てでピットイン! 途中で困ったらどうしようかとハラハラドキドキでした。
ベルギーでは土曜日の午後17時までの営業、しかもショールームしか空いておらず、日曜日は休日。修理は月曜まで待たなければなりません。取り敢えず、受付の方に事情をお話し、その間にもドイツのカスタマーセンターからは状況確認の電話が何本も掛かってきます。本来ならば、ドイツから現地の最寄りのレンタカー会社へレンタカーのお手配諸々をしてくださるのですが、コロナ禍でレンタカー会社も全て休業中という最悪な状況で、ベルギーの皆さんが必死でご対応してくださいました。
取り敢えず月曜日まで愛車を預け、日曜日の仕事には520dのツーリングを代車にお貸し頂きました。ディーラーの代車は規則でお借り出来ないとの事でしたので、BMWベルギーお手配のレンタカーを積載車に積んでディーラーまでお持ちくださいました。
同じメーカーと言え国が違いますので、色々と条件が違うそうで、お手続きが簡単ではないようでした。不安な状況の中、ディーラーの方はお飲み物をお出し頂いて、とても親身になってくださって心強かったです。そして、偶然にもその方がドイツ語をお話になったので、本当にラッキーでした! へったくそな英語でこの状況を全て説明するのは、私にはムリです(苦笑)。
私の入っていた保証はEUで有効なものだったので、月曜日の朝には愛車の点検整備がされており、お借りした520dツーリングのレンタカー代も無料でほっとしました。来年の5月で保証期間が切れるのですが、今回のこの経験を経て、延長保証に入ろうと心に決めました。しかし、原因は不明だったのがナゾです。
スパ・フランコルシャンサーキットはドイツ国境に近いアルデンヌの森の中にあります。普段は春や夏に行くので、紅葉の季節は初めてです。黄色く染まった森はとても美しかったのですが、スパウェザーと言われるように、ここのお天気は毎時間と言っても過言ではない程にコロコロと変り、天気予報は全くアテになりません。
オールージュ(Eau Rouge)と耳にされた事がある方もおられるかと思いますが、スパの名物難関コーナーなのですが、そのコースの下にはその名の通りオールージュ(赤い水)という小川が流れているのですよ。その名があまりにも有名なので、もっと大きな川かと思われているのですが、本当に小さな川です。鉄分が多いのか、少し赤錆びたような色のお水が流れる事からその名が付いたそうです。
私が停めていた駐車場(F1でよくクラッシュする1コーナーのLa Source近辺)に何本かの栗の木を発見!少し小ぶりですが、たくさんの実が落ちているではありませんか!!! でも、誰も栗の実に見向きもしませんので、毎朝仕事のメディアセンターへ入る前に栗拾いをしていました。それも雨の中、カッコいいポルシェの横でアジア人が栗を夢中になって拾っている姿を、ポルシェのワークスドライバーが怪訝な目をして見ていましたが、恥ずかしいので気付かないフリをした私でした(笑)。毎日拾うもんだから10㎏以上を収穫!この拾ってきた栗で、早速自宅で栗きんとんを作りましたよ。
レース取材の後は、少しベルギーの田舎道の紅葉を楽しみながらのんびりとドライブして帰りました。宿の近くは牛やヤギや馬が放し飼いをされているのどかな風景で、窓を開けていたらモフモフの子牛ちゃんが覗きにきてくれました。
ベルギーのナンバープレートは赤字で記されていて、ちょっとかわいらしいですね。赤文字のナンバープレートは欧州内ではベルギーだけです。しかし、このナンバーをドイツのアウトバーンで見掛けると、かなりの確率でのろのろ運転。速度制限解除区間で右側車線(走行車線)が空いていても、ベルギーナンバーのクルマがのんびりと120km/h前後で走っていて、物凄い勢いでパッシングされている姿を見掛けます。あれだけライトをピコピコやられたり、ウインカーを出されても堂々とのんびり真ん中を走り続けるメンタルにも驚きですが、ベルギーの高速道路は120㎞制限ですので、ドイツのスピードに慣れていない方の走りは本当に危ない&迷惑なんですよね。
しかし、ベルギー国内を走っていると、皆さんキチンと右側走行をされていて、追い越した後もすぐに走行車線へ戻るという模範的な運転をされている方が大半で、どうしてドイツではあんな酷い走りなのか? とちょっと疑問に思ってしまいます(苦笑)。ベルギーの友人たち(全員がレース関係者)にもこの疑問をぶつけたところ、皆が口を揃えて、マジであり得ないよね、あの鈍くささ! と怒っていたので、ベルギー人同士でもそう思っていたのか~と気がラクになりました(笑)。
実はベルギーナンバーだけでなく、オランダやフランス、東欧諸国、イギリス、北欧のナンバーも同じ傾向があり、流れに乗れないのなら走行車線に留まって欲しいというのが本音です。また、そののんびり走行のままバックミラーを見ずに追い越し車線に突然出て来られる事もあり、こちらは200km/h前後で走っていますのでヒヤヒヤで急ブレーキを踏まなければいけない事もあります。
パリに住む日本人カメラマンさんが、ドイツではよく煽られて怖いとおっしゃるのですが、「〇〇さん、もしや120や130位で真ん中車線を走り続けていませんか?」とお聞きしたところ、まさにその状態でした。煽られたくなければ、なるべく走行車線を走ってくださいね、と念を押しておきました。
ドイツのアウトバーンは随分と速度制限解除の区間が減ったとはいえ、私の住むミュンヘンを通るA8やA9は夜になると非常に空いており、結構な距離をハイスピード走行できます。またドイツからスパ・フランコルシャンサーキットへ向かうA60号線は日中も非常に空いており、道幅も広い区間でアップダウンもあり、速度制限のない非常に楽しいドライブルートで、私のお気に入りのコースのひとつです。アウトバーンでは日本のように街灯が点在しておらず、夜は真っ暗。合流が速度制限解除となっているところもあり、昨今のLEDライトが眩しくて距離と速度感が分からず、夜の合流が最初怖かったですね。その一方で、真っ暗のアウトバーンではオートライトの性能には非常に助けられています。
3週間の美しいベルギーの滞在を終え、名残り惜しかったのですが、ドイツ領に入った途端、やはりアクセルを好きなだけ踏めるのはとても幸せだと実感しています♪
この記事を書いた人
武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。