最大1トンの荷物を搬送できる次世代自動運転ロボットを開発。新会社を設立して開発に本腰
BMWグループが工場内のトランスポートを担う自動運転(自律運転)ロボットのビジネスに本腰を入れ始めている。最大1トンの荷物を搬送可能という自律走行ロボットは2015年に開発され、スマート・トランスポート・ロボット(STR)の名ですでに130台以上が作られているという。現在は主にBMWグループの生産工場で稼働しているが、建物に送信システムなどを備えなくても工場内を効率的に自律移動できるロボットの需要は今後も増えると見ており、新たなビジネスとして取り組む構えだ。
主にBMWグループの生産工場で活躍する搬送ロボット。BMWは、自律移動可能なロボットの需要は増加すると考え、新たなビジネスチャンスとして取り組む構えだ。
まずはBMWグループの100%子会社として自律式ロボットの開発と生産を担う「IDEALワークスGmbH」をミュンヘンに設立。社名のIDEALはインダストリー、ドリブン、エンジニアリング、オートノマス(自律運転)、ロジスティクスの頭文字を並べたもので、グループにおける非自動車部門のパイロットプロジェクトとして重要な位置を占める形になる。ロボット本体はもちろん電動駆動で、BMW i3に搭載されるバッテリーモジュールを活用。利便性を損なわない航続距離も確保している。
BMWグループでは数年をかけて生産物流のデジタル化と自動化に取り組んでおり、このSTRもその成果のひとつとされる。さらに2020年10月からはさまざまな業種の企業のもとで試験を実施しており、年末には次世代STRも登場するという。自律運転の搬送ロボットは世界のIT関連企業が開発を手がけているが、BMWはこのSTRの競争力の高さも強調しており、かなりの自信作であることがうかがえる。
自動車を生産する工場内での物流を担うロボットとして実用化してきたSTRだが、今後は「自動車産業の枠を超えた物流ロボティクスのプロバイダーになる」としており、数カ月間でいくつもの改革を準備する意欲的な姿勢を見せる。日本でも宅配などに自律式ロボットを使う実証実験が始まっているが、果たしてそういった分野にも進出してくることになるのか。自動車マイスターの新たな非自動車分野への進出に注目したい。