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ジャガー・ランドローバーがスマートシティを建設

IT企業と共同でアイルランドに「スマートシティハブ」を設置。車両はIペイスを活用

トヨタ自動車が静岡県に建設するウーブンシティや、フォルクスワーゲン・グループ(VW)が地中海の島を丸ごと電動モビリティ化するなど、地域限定ながら決して狭くない地域でのスマートシティやコネクティッドシティの実証実験が増えているなか、英国のジャガー・ランドローバー(JLR)も独自のスマートシティ計画を発表。アイルランドに本拠を置くデータストレージ・ソリューション関連のグローバル企業であるシーゲート・テクノロジー社と共同で、路車間通信や自動運転の実証を進めていく考えだ。
アイルランドの非営利団体「フューチャー・モビリティ・キャンパス・アイルランド(FMCI)」の協力も得て12kmの公道上に「スマートシティハブ」と呼ばれるハブ施設を設置。自動運転システムを搭載するジャガーIペイス・プロトタイプを使用し、自動車や歩行者、自転車などが安全に共存できるシステムの構築を目指すという。地域内に管制センターを設け、AI(人工知能)に加えて大容量の通信が可能な5Gを駆使して次世代コネクティッド技術を試す形だが、路車間通信、自動運転、自動バレーパーキング、自動充電システム、スマートインターチェンジなど多彩なメニューで実証実験を展開していく構えだ。
スマートシティハブは中国の重慶市でも2020年夏から実証実験が始まっているが、管理国家である中国での管制システムは技術的には優れていても、グローバルモデルとはなりにくい面がある。それよりは自治体や企業が主体となるアイルランドでの実証実験のほうが多くの国にとってモデル化しやすく、より有用なデータが得られると思われる。
街全体や島全体をテストベッド化する計画よりは小規模という側面もあるが、いわゆるハブ組織が管制センターを設けてクルマや道路システムを管理するスマートシティハブは、よりコストを抑えて実証実験を進められるメリットもある。今後、各国でよりオープンな形でのスマートシティ構築が進むものと思われるが、そのモデルとして多くのデータがこのアイルランドでの実証実験から得られることを期待したい。

ルボラン2021年2月号より転載
田畑修

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