ニューモデル情報通

【ニューモデル情報通】Vol.12 元祖ホットハッチ「ゴルフGTI」45年の歴史

SUVが主流となっている現在の自動車業界だが、それでもやはりハッチバック車は販売の主軸であることに変わりはない。昨今のFFベースのSUVも、内容的には車高をアップしたハッチバック、ともいえる車種が多い。

そんなハッチバック車の起源のひとつが、1974年登場のフォルクスワーゲン(VW)「初代ゴルフ」である。それだけでもゴルフは偉大な存在だが、ゴルフにはさらにクルマの歴史に重要な足跡を残している。それが、1975年9月に発表されたスポーティモデル、「GTI」である。ゴルフGTIは、ハッチバックの実用性と高性能を両立する「ホットハッチ」というジャンルを開拓した記念碑的なモデルとなり、今なお多くのホットハッチが生み出されている。ゴルフにとっても伝統的なグレードとなっており、8代目ゴルフ自身にも、GTIを継続してラインナップする。

専用の19インチホイールが全身を引き締める、ゴルフGTIクラブスポーツ45。

そして2021年春には、ゴルフGTI生誕45周年を記念した特別仕様車「ゴルフGTIクラブスポーツ45」が、欧州市場で限定発売を開始。ゴルフGTIの45周年イヤーとして、じわじわと盛り上がりを見せている。
そこで今回は、ゴルフGTIが辿った45年の歴史を駆け足で振り返ってみたい。

https://carsmeet.jp/2021/03/01/186821/

【初代】元祖ホットハッチたる初代ゴルフGTIは、1976年から販売開始

黒いオーバーフェンダー、リップスポイラー、赤い縁取りのグリルなど、スポーティなディティールが散りばめられた初代ゴルフGTI。日本には正規輸入されなかった。

1976年から販売を開始した、初代ゴルフGTI。ノーズに横置き搭載された直4・1.6L OHCユニットはボッシュの機械式燃料噴射・Kジェトロによって最高出力110psを発生。最高時速も180km/h以上をマークした。登場時のノーマル・ゴルフの性能が、1.1L/50ps、1.5L/70ps、1.6/75psほどだったので、そのパワーアップぶりが理解できよう。1980年にシリーズ全体がマイナーチェンジを受けた際には、トランスミッションが5速に換装された。

デビュー時の内装。トランスミッションは当初、4速だった。小径の3本スポークステアリング、バケットシートを備える。ゴルフGTIの伝統でもある、”ゴルフボール状” のシフトノブがすでに見られる。なお、ゴルフの車名の由来は、メキシコ湾流のドイツ語訳「Golfstrom」からとられており、厳密にはスポーツのゴルフではない、とされる。

【2代目】大幅な性能アップを果たした【16V】【G60】が登場

初代から、オーバーフェンダーや赤いグリル枠などを継承した2代目のゴルフGTI。写真はバンパーが大きくなった後期モデルで、その中でも珠玉の「GTI G60」。1.8L OHCエンジンに「Gラーダー」と呼ばれるスーパーチャージャーを装着、最高出力160psを誇った。通常の2代目ゴルフGTIと異なり、G60は日本未導入。

80年代的なクラシカルさと、現代の路上でも使用できる設計から、近年大きな人気を博している2代目ゴルフの登場は1983年。「ゴルフII」として親しまれており、規模の大きな専門店もあるほどだ。2代目ゴルフのGTIは、1984年に追加。燃料噴射装置にボッシュKEジェトロを採用した1.8L OHCエンジンは、112ps(日本仕様105ps)を発生していた。デビュー翌年には、DOHC4バルブヘッドを持った「GTI16V」も出現。139ps(日本仕様125ps)までパワーアップしており、最高時速は208km/hに高められていた。

内装も初代ゴルフGTIのイメージを継ぎ、ゴルフボール型シフトノブ、チェックのシート生地が貼られたバケットシートを採用していた。

【3代目】高性能版が【VR6】【GTI16V】の2本立てに

写真は英国仕様の3代目ゴルフ《ゴルフIII》の3ドアGTI 16V。ナンバープレートに示される「Mk.III」は英国流の呼び名だ。なお、日本におけるGTI 16Vは、5ドアのみの設定。

1991年登場の3代目ゴルフ。2代目のコンセプトを継承しつつ、安全性や質感を高めていた。その高性能モデルといえば、2.8L狭角V6を乗せた「VR6」が思い浮かぶが、GTIも「GTI 16V」として存在。2代目から受け継いだ16Vユニットは、排気量を2Lに拡大、最高出力も150ps(日本仕様では145ps)に向上した。トランスミッションは5速MTのみ。

【4代目】 “R32”デビュー、GTIも5バルブターボ化

初代〜4代目のゴルフGTIに比べ、外観上でのスペシャル感が少なくなった4代目ゴルフだが、足元をBBS製アルミホイールが引き締める。

1997年登場の4代目ゴルフでは、さらなる品質向上と、大幅な高級化が図られていた。ボディ幅も3ナンバーサイズに拡大した。この代から、GTI以上のハイパフォーマンス版「R32」が登場。搭載する3.2L狭角V6のVR6エンジンは241ps(日本仕様)の高出力を誇り、フルタイム4WDシステム「4MOTION」が、そのパワーを路面に伝達するスーパー・ゴルフとして注目を集めた。一方で、伝統のGTIも用意。エンジンは再び排気量が1.8Lとなったが、5バルブヘッド化・インタークーラー付きターボに発展。最高出力は150psだが、トルクはノンターボ2.3L級の21.4kgmを発生した。5速ATも設定。

【5代目】「GTI復活」の狼煙 最高出力はついに200psに

「GTI is Back」というキャッチコピーと、200ps/28.6kgmという性能を引っさげ、歴代GTI最強モデルとして登場した5代目ゴルフGTI。外観上では、上下グリルが一体化したように見える「ワッペングリル」の採用が目新しかった。

6年ぶりのフルモデルチェンジを受け、2003年にデビューした5代目ゴルフは、先代からのプレミアム路線を継承しつつ、車体の大型化やアイシン製6速AT、などを装備し、もはやCセグメントの枠に収まらないクルマへと発展した。高性能版をR32とGTIの二本立てとするのも4代目と同じだが、R32は250psへ、GTIも200psへパワーアップ。VR6やR32が出てから、存在が薄くなっていたGTIのイメージ復活が図られた。トランスミッションにはMTのほか6速DSGも初設定されている。

【6代目】【R】が直4化 GTIもさらにパワーアップ

6速DSGとの組み合わせるで、日本の10・15モード燃費で13.0km/Lを記録。「平成22年度燃費基準」をクリアした6代目ゴルフGTI。いかにもゴルフというエクステリアイメージを残しつつも、フロントマスクがぐっとシャープになったことも特徴。

2008年に本国で発売を開始した6代目ゴルフでは、実質的には5代目のスキンチェンジ的なモデルではあったが、それゆえ熟成が進み、質感や走りに磨きがかけられていた。高性能版では、V6エンジンを載せていたR32の代わりに、256ps(日本仕様)というハイパワーの直4・2Lインタークーラーターボを積んだ「R」を設定。GTIの最高出力は211ps(日本仕様)へとアップしていた。日本仕様のトランスミッションは6速DSCのみ。GTIの35周年を記念した限定車「エディション35」では、ゴルフ5のGTI に搭載されていたEA113型を235psまでアップしたエンジンをチョイスしていた。

【7代目】GTIの高性能化進み、【R】に迫る

特別仕様車の追加を幾度か行った7代目ゴルフGTI。写真は、その中の「クラブスポーツ」で、265psエンジンを積んでいた。

7代目ゴルフは2012年の登場。車種・車格を超越するプラットフォーム規格「MQB」を採用したことで、大きな話題を提供した。MQBとは、モジュールキットを意味するドイツ語「Modulare Quer Baukasten(英:モジュラー・トランスバース・マトリックス)」を示す。MQBでは共用化・標準化を進めることができ、部品点数の削減、コストダウン、軽量化など数多くのメリットをもたらした。ハイパフォーマンス版にRとGTIを設定するのは先代譲り。Rは280ps、GTIは220psにパワーアップしていた。2014年、限定車の「GTIパフォーマンス」(230ps)を、2015年には6年ぶりのMT版を追加している。2017年にはシリーズ全体でマイナーチェンジを受け、Rが一気に30ps上乗せの310ps、GTIも230psに出力を向上した。そのほか特別仕様車「GTIクラブスポーツ トラックエディション/ストリートエディション」(265ps)、「GTIパフォーマンス」(245ps)、「GTI TCR」(290ps)も販売されている。

【8代目】最新世代にもGTIを設定

大きく開口されたGTI のバンパー部グリルはハニカムデザイン。左右に配置した合計10個のLEDライトが目を引く。

最新モデルの8代目ゴルフでも、伝統のGTIをカタログに載せている。しかも本国ではすでに300psまでパワーを向上した「GTIクラブスポーツ」、そして動力を4つのタイヤにアクティブにパワーを分配する「Rパフォーマンス トルクベクタリング」&320psエンジンを搭載した「R」を発表済みだ。日本での発売に関するアナウンスは今のところまだ無いが、今後に大きく期待したい。

GTIのインテリア。マルチファンクションスイッチとタッチコントローラーを持つ、GTI専用の3本スポークステアリングを備える。シートの柄は、やはり伝統のチェック柄だ。

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

遠藤イヅル

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