コラム

トラブルにより2戦連続のリタイヤは痛いが、次戦に向けてポジティブにトライしていく!【BMW Team Studie監督「鈴木BOB康昭」のSUPER-GT参戦記】第2戦富士ラウンド編

パワステポンプのトラブルに見舞われ4周リタイヤ

こんにちは。BMW Team StudieのBOB鈴木でございます。
今シーズンのスーパーGTは、ニューマシンのBMW M4GT3が投入されることもあり、1年振りに監督に復帰することとなりました。どうぞ温かく見守ってください(笑)。
というわけで復活したこちらの連載。今回は第2戦富士ラウンドの模様をお届けしたいと思います。

プロローグ
2022年5月3日そして4日に開催されたRound.2 FUJI450kmレースにはこれ以上ない快晴の天候の下、二日間で7万7千人ものご来場を頂き、久しぶりにスタンドがフルに埋まって凄まじい熱気を感じ、Round.1の開幕戦でノーポイントであった挽回を強く誓って挑んだのだが……。

5/3練習走行
我々のホームコースであるフジスピードウェイだが、アウガストファルフス選手は意外にも初めての走行との事で、出来る限り彼に走行時間を与えた。しかし、走り初めて3周目にはチームメイトである荒選手と遜色ないタイムで走行を続け、さすがとしか言いようのない腕前を世に見せつけていた。

BOP(性能調整)により前戦の岡山よりもかなりブーストを絞られて(特に中間域)特に後半のセクター3での低〜中速域の立ち上がり加速が鈍い。更に予想よりも低い路面温度にも悩まされ、もう一つタイムを伸ばす事が出来ず午前の練習走行を終えた。

5/3予選
開幕の岡山同様全28台をTOP16に篩をかけられるQualify1を荒選手が担当。彼らしくゆっくりじっくりとタイヤ温度を上げていき4周目のフルアタックで、わずか1/1000秒の差でギリギリこのQ1を通過してくれた。

そして、前戦でも注目の的であったアウガストファルフス選手のQ2は、更にこの荒選手のタイムを0.17秒上回る素晴らしいアタックであったが、それでも結果は12番手にとどまった。まぁいつもより150kmも長いロングレースなので、ここは気持ちを切り替えて思い切った作戦で勝利をもぎ取ろう!と誓って予選日を終えた。

5/4決勝日ウォーミングアップ
決勝日、レース前に許された走行は20分のみ。前日より10度以上高い路面温度は確実に前日のパフォーマンスとは勢力図を変えてくる。我々には好材料と考えていた路面温度の上昇ではあったが、このわずか20分の走行で本命と踏んでいたタイヤがうまく作動しない事が判明し、ここで大きく作戦を変えざるを得ない窮地に立っていた。

5/4決勝レース
今回のレースはいつもより一回多い二度のピットインが義務となっている。これを平均で言えば150kmずつ三度に割るのだが、それでは予選順位である12番手からのジャンプアップの可能性はウォーミングアップ走行の状態からみても非常に少ない。それではと硬めのロングラン可能なタイヤに勝負を掛け、一回目のピットインは最初にGT500にオーバーテイクされる直前の7〜8LAPS目に入れて、その後2回のロングランに掛ける作戦を取った。

定刻14:30に荒選手DriveでレースSTART!ほぼグリッド順なキレイなスタートから最初の数周は推移し、GT500との距離だけ気にしていたその時に荒選手から悲痛な無線が入る「パワーステアリングが100Rで壊れました。ピットインします」頭が真っ白になった……。前週に行った鈴鹿のテストでもこのステアリングギアボックスから多大なオイル漏れがあり、念の為新品のギアボックスに入れ替えてきたばかりだったので、またかと……。
ピットに頭から入庫させ、すぐさまメカニックがボンネットとフロントフェンダーを外しギアボックス周辺を覗き込むが、鈴鹿の時はオイルまみれだったのに今回はオイルが漏れている様子は見えない。その代わりパワステオイルには細かい鉄粉がフィルターにビッチリと付着していた。

色々な箇所をチェックしていってパワステポンプがほぼ固着している事にたどり着いた。おそらくこの鉄粉はこのポンプ内部での破損からであろう。交換時間にはかなりの時間が費やされる事から、この時点でレースからの離脱を宣言した。わずか4周走行したのみでリタイアである。

新型車のニューモデルではこういったトラブルは少なからずある。特に海外とは全く違ったタイヤと路面で闘うSUPER-GTでは海外のマシンには出ないトラブルもよくある話である。それにしても前記した久しぶりに満員となった会場の熱気と最高の天気の中でのリタイア、しかも2戦連続でのリタイアは痛い……。
次戦のRound.3鈴鹿戦はもうすぐ。どこまで対策が出来るかわからないが、今は気持ちを切り替えてポジティブに次戦を迎える事に集中している。
ファンの皆様や本コラムの読者様にも一日も早く朗報をお届けしたい。
マシン、ドライバー、タイヤ等のパッケージには絶対の自信を持っているので、ここからの巻き返しに是非ご期待下さい。必ず強いBMWをお見せ致しますッ!

フォト=田村 弥/W.Tamura
LE VOLANT web編集部

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