
20周年を迎えたアウディRS6をカナダで試す
アウディ製スポーツワゴンの始祖は、1994年にポルシェとのコラボレーションによって誕生したRS2まで辿る。その後継モデルは20年前の2002年、クワトロ社(現在のアウディスポーツ社)が送り出した初代RS6で、当時ドイツで勃発したパワー競争にクワトロ社が参入。標準ボディのフロントエンドを4cm延長してV8エンジンの各バンクにターボを装着、450psと560Nmを発生する高性能アッパーミドルを世に送り出したのだ。
【写真5枚】300km/hオーバーの快速ワゴン「RS6アバント」の詳細を写真で見る
当時はアバントのほかにセダンも用意され、クワトロ4WDと6速ATを介してともに0→100km/hを4.7秒で加速するという、当時のスポーツカー顔負けの俊足ぶりを誇った。
今回、カナダで開催されたイベントでは、2代目(C6)、3代目(C7)とともに、現行の4代目(C8)でツーリングを楽しむことができた。2020年から市場投入される現行RS6はアバントのみで、デジタルデザインのLEDライト、大きく開いたエアインテ―クなどが内に秘めた狼の牙を思わせる。エンジンは伝統の4L V8ツインターボで600psと800Nmを発生、2.2トン近いボディを100km/hまで3.6秒で加速させる。ちなみに、最高速度は250km/hに制限されるが、オプションのRSパッケージを注文すれば上限を280km/hまで、さらにセラミック・コンポジット・ブレーキを装備すれば305km/hまで引き上げられる。日本の大部分と同じく高速道路の法定速度が100km/hのカナダでは宝の持ち腐れともいえるが……。
今後BEVでも”最速ワゴン”の座は健在!?
ところで、最新の情報によると、アウディは今後、奇数系の基幹モデル、すなわちA3、A5、A7にはICE搭載を継続。すなわち、HEVあるいはPHEVとなり、偶数系基幹モデルのA4、A6、A8はオール電動化、つまりBEVとなってQ4、Q6、Q8に取って代わる。そうなると、今回あらためて試乗したRS6は最後のICE搭載モデルということになり、アウディはおそらく有終の美を飾るためにこのイベントを企画したとも思われるのだ。
この文脈でいうと、RS6の後継車はQ6 e-tron RSとなるはずで、800Vシステムを搭載するPPE(プレミアムEVプラットフォーム)をベースにした未来のRS6は、ポルシェ・タイカンに勝るとも劣らないパフォーマンスを発揮するに違いない。