コラム

いまひとつ調子に乗れないまま苦渋のリタイアを喫す!【BMW Team Studie監督「鈴木BOB康昭」のSUPER-GT参戦記】第4戦富士ラウンド編

タイヤに翻弄されてしまった今回のレース

こんにちは。BMW Team StudieのBOB鈴木でございます。
今シーズンのスーパーGTは、ニューマシンのBMW M4GT3が投入されることもあり、1年振りに監督に復帰することとなりました。どうぞ温かく見守ってください(笑)。
というわけで復活したこちらの連載。今回は第4戦富士ラウンドの模様をお届けしたいと思います。

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プロローグ
前戦Rd.3鈴鹿で初勝利をもぎ取り、シリーズランキングも2位に浮上し、周りからもシリーズチャンピオンの最有力候補なんて声も聞き、一気にトップに踊り出るべく意気揚々と迎えたRd.4の富士100LAPSレース。いつもより1.5倍長いレースで、ホームコースである富士スピードウェイ。気合いが入らないワケはなかったのだが……。

8/6練習走行

アウガスト・ファルフス選手の走りはじめから、どうも今ひとつシックリこない。荒選手に変わっても感触は変わらず、前戦であったゾーン感が存在しないのだ。そう、まるでRd.2富士の時の未熟な、振り出しに戻ってしまった感じに近い。路面温度は想定した温度より15度も低く、これが原因である事は誰もがわかっていたが、チーム全員がもう少し戦えると楽観視していた。

8/6予選

前戦同様Q1を荒選手が担当。いつも通り丁寧に丁寧にタイヤを前後左右温めて3ラップ目にアタックを敢行。マシンの調子は今ひとつながら職人らしいドライビングで見事に7番手を奪取し、無事にQ2に繋げた。Q2を担うアウガスト・ファルフス選手は他のドライバーに比べれば圧倒的にここ富士スピードウェイの経験値がないにも関わらず、我々の目標であ
った4列目の8番グリッドを獲得した。とはいえ、このアウガスト選手のタイムアタックは最終セクターで一瞬他車に引っかかってしまったもので、それがなければ4番手ないし5番手のタイムだった事を補足させて頂きたい。ウン、思ったより悪くないぞ!

8/7決勝ウォーミングアップ

決勝日、レース前に許された走行は20分のみ。予選日より12度以上高い路面温度は確実に前日のパフォーマンスとは勢力図を変えてくる。我々には好材料と考えていた路面温度の上昇ではあったが、やはり前日同様にもう一つゾーン感がない。楽などとはとんでもなく、苦しいレースになりそうな予感はすでにこの時チーム全員が思っていた。

8/7決勝レース

前日よりは気温は上がったとは言え、8月にしては異常なほど涼しい中Rd.4 富士100LAPSレースはスタートを切った。

スタートドライバーを担当した荒選手のペースが悪い。他車に比べ1秒近く遅いのだ。当然順位は徐々に下がっていき、歯がゆいが何もしてあげられる事は無い。ミニマムの27ラップ目にピットに呼び込みアウガスト選手に代わり、タイヤもより硬めなタイプに変更した。ここからフィニッシュまでの2スティントはアウガスト一人で行ってもらう。

しかし、この硬めなタイヤもやはり今日の富士の路面にはマッチしない。後半になると流石のアウガスト選手を持ってしてもタイムが落ちてしまい、たまらず予定より早くピットに呼び戻し、予選で使った柔らかめのニュータイヤに戻した。

こちらは荒選手が1stスティントで使用したのと同じタイヤなので、その後の展開は覚悟せざるを得なかった。他車のピットストップの関係で12〜16位あたりのポジションを行き来していた75周目にアウガスト選手から悲痛な声で「タイヤブロークン!」と無線が入った、すぐにピットに呼び戻す。バーストしたのは右リアタイヤで、他車のクラッシュで外れた鋭利なパーツを踏んでしまった様で、タイヤはトレッド面から剥がれてしまっていた。タイヤを変え、すぐに出したかったが、剥離したタイヤのトレッド面がサスペンションアームにこびりついていて、それを剥がすのに数分の時間を要してしまった。

これで間違いなくいわゆるポイント圏外が確定してしまった。意気消沈していると、また数周後にアウガスト選手から「サスペンションもおかしい。ダメだ。またピットインするよ」と無線が入り、ジャッキアップしてサスペンションをチェックするとアームが折れていた。剥がれたトレッド面がアームを羽交い締めにして、その上で走行したので普段では掛からない方向に力が掛かってしまい、たまらずアームが折れていたようだ。残りの周回と現在のポジションも考慮して、ここでリタイヤをマーシャルに伝えた。
あとがき

次の鈴鹿戦からいよいよシリーズも後半戦に入る。当初から初めてのマシン、初めてのタイヤと言う点で今シーズンの勝負はRd.5〜Rd.8と決めていた。それが、ひょんな事からRd.3で勝ってしまった事によりチーム全員が思い違いをしてしまったが、我々の闘いは次戦からだ。次戦からは開幕戦の岡山等のデータもようやく反映してくる。今回のレースは散々であったが、気持ち入れかえ、初心に返りシーズン後半にM50周年で気合いの入ったBMWTeamの意地を見せようと思う。

フォト=田村 弥/W.Tamura
鈴木康昭

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