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いま乗るならアナタならどちら? エンジンか? モーターか? 番外編:アウディe-tron GT×BMW M760Li×ベントレー ベンテイガハイブリッド

BMW・M760Li xDrive:エンジン車と言ってもV型12気筒は別モノだ。

すでに、7代目の新型7シリーズが発表されている。国内でも、オンラインストア上で限定モデルの先行販売を開始。ただ、納車は’22年の第4四半期が予定されているので現行型の販売も継続中だ。本来なら、現行型の注目度が急降下しかねない。だが、新型はいまのところマイルドハイブリッド化した3L 直列6気筒ターボを積む740iとディーゼルターボの740dが投入されるだけ。4.4LV型8気筒ツインターボ搭載モデルや6.6LV型12気筒ツインターボ搭載モデルの発表はない。本国の資料でも直列6気筒ターボが基本で、モーターの組み合わせにより性能を上乗せするプラグインハイブリッドになりそうだ。

ということは、7シリーズで走行機能の電動化をしていないエンジン車は現行型が最後ということになりそうだ。特に、6.6LのV型12気筒ツインターボを積むM760LixDriveはそもそも希少なモデルだけになおさらだ。やはり、エンジン車と一言でくくってもV型12気筒モデルは別モノだった。最高出力は609ps、最大トルクは’19年に実施したマイナーチェンジを経て50Nmが上乗せされ850Nmを発揮する。

V型12気筒といっても、1気筒あたりの排気量は550ccとなり、直列4気筒と6気筒の500ccと大差はない。つまり、爆発エネルギーの大きさも同様ということ。そのため、アクセルを踏み込んだ瞬間から爆発エネルギーの威力を知らしめる鼓動音が聞こえてくる。だが、ほかのシリンダー形式と決定的に異なるのは爆発間隔だ。V型12気筒はクランクシャフトが60度回転するごとに爆発が繰り返される。直列6気筒は120度ごと、直列4気筒は180度ごとになる。V型12気筒は、爆発間隔が短いので低回転域でも鼓動音の密度が高くなるのだ。

【写真27枚】アクセルを踏み込んだ瞬間から聞こえる爆発エネルギーの鼓動音 

だからといって、アクセルを踏み続けた時に鼓動音が連続して高回転域で単調になることはない。鼓動音が連続しタコメーターの針が6,000rpmから始まるゼブラゾーンを切り裂いても、爆発を繰り返している感覚は維持される。モーターではこうした力強さを際立たせるリアルな音による臨場感は表現できない。モーターでも電子音によりむしろ表現は自由自在になるが、たとえEVの世界観として刺激的であってもエンジン音のリアルさは望みようがない。なおかつ、エンジンはシリンダー形式ごとに鼓動音が異なるので自分の好みで選択する楽しさもある。

さらに、フラッグシップだけありアクセルを一定に保っていれば静粛性はEVと同レベル。xDriveにより強大なエンジン性能は4輪に最適配分されるので、サスペンションを余計に引き締める必要がなくハイエンドサルーンにふさわしい乗り心地も実現される。

◆BMW M760Li xDrive SPECIFICATION
■全長×全幅×全高=5,265×1,900×1,485mm

■ホイールベース=3,210mm

■車両重量=2,320kg

■エンジン種類/排気量=V12DOHC48V+ターボ/6,591cc

■最高出力=609ps(448kW)/5,500rpm

■ 最大トルク=850Nm(86.7kg-m)/1,550-5,000rpm

■トランスミッション=8速AT

■サスペンション(F:R)=Wウイッシュボーン:インテグラルリンク

■ブレーキ(F:R)=Vディスク:Vディスク

■タイヤサイズ(F:R)=245/40R20:275/35R20

■車両本体価格(税込)=26,650,000円

■問い合わせ先=BMWジャパン 0120-269-437

ANOTHER CHOICE:最大トルクはM760用に50Nm上乗せ「ロールス・ロイス・ファントム」
2030年までにロールスロイスは全モデルをEV化すると発表。2023年には初のEVとしてスペクターが投入される。だが2022年にマイナーチェンジを実施したフラッグシップサルーンのファントムは6.75LのV型12気筒ツインターボエンジンを搭載。M760用と同系だがブランドにふさわしいトルクを重視した仕様となる。

リポート=萩原秀輝 フォト=宮越孝政 report : H.Hagihara photo : T.Miyakoshi

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