コラム

5位フィニッシュながらも雨の中トップに浮上するパフォーマンスを披露!【BMW Team Studie監督「鈴木BOB康昭」のSUPER-GT参戦記】第6戦SUGOラウンド編

シリーズチャンピオンに望みを繋ぐ結果に

こんにちは。BMW Team StudieのBOB鈴木でございます。
今シーズンのスーパーGTは、ニューマシンのBMW M4GT3が投入されることもあり、1年振りに監督に復帰することとなりました。どうぞ温かく見守ってください(笑)。
というわけで復活したこちらの連載。今回は第6戦SUGOラウンドの模様をお届けしたいと思います。

【画像73枚】雨中の混戦でポテンシャルの高さを見せつけたM4GT3

プロローグ

杜の都仙台にほど近いスポーツランド菅生で開催された第6戦。現状シリーズランキングは6位で、なんとしてもチャンピオンに向けてポジションを上げておきたい大事な一戦だ。天気予報は曇りのち雨と菅生名物な魔物が現れそうな予感がヒシヒシとあり、いつも以上に緊張しながらサーキットに入った。

9/17練習走行

天候は曇り。走り始めは荒選手が担当し、まずまずな感触を掴んだところでアウガスト・ファルフス選手に代わり摩耗を測るロングラップランに入ったところでタイヤにトラブルが発生。富士でも出た同様のトラブルで、レースに用いる本命タイヤだっただけにチーム内に暗雲が走る。ミシュランからはタイヤ内圧を上げる提案を受けるが、これによりラップタイムはコンマ3秒ほど落とさざるを得ない結果になった。

9/17予選

今回もQ1は荒選手が担当。事前の空気圧の調整により普段より1周早く2周のウォーミングアップの後タイムアタックに入るが、タイヤ損傷前の感触がなくタイムが伸び悩む。しかし、ライバル勢もこちらの想定ほどはタイムが伸びず7番手でQ1をなんとか突破し、Q2のアウガスト選手に繋いだ。アウガスト選手も荒選手と同じタイミングでアタックに入るが、やはりいまひとつタイムは伸びず11番手で予選を終えた。その後上位2台が車検で不合格になり、最終的には9番手でレースを争う事になった。

9/18決勝日ウォーミングアップ

決勝日、レース前のウォーミングアップ走行は20分。天気は前日同様の曇り空だが、少し冷たい風が吹いていた。決勝用に予選日よりソフト方向に振ったセットアップの感触は好印象で、荒選手もアウガスト選手も9番手からの追い上げに自信を持って挑める環境は整った。

8/28決勝レース

今回もスタートドライバーはアウガスト選手が担当。前戦ではヨーロッパと日本のルールの違いからペナルティを取られているので、やや慎重気味に無難なスタートから79LAPSのレースは始まった。

オープニングラップから他車のクラッシュによりセーフティカーが入り、その後ポツポツと雨が降り始めた。一斉に皆ピットインしてウェットタイヤに交換するが、アウガスト選手から「しばらくこのままスリックで走る!」と無線が入り、ここからのアウガスト劇場には心底痺れた。

バンバンウェットタイヤを履く車両をオーバーテイクし、そのうち雨が小雨になると、その勢いは更に加速しついに首位を奪った。ニュルブルクリンクでの経験が多いドライバーはこういったウェット路面をスリックタイヤで走行する事に本当に長けている。(ヨルグ・ミューラー選手然り、木下アニキ然り)一周20km以上あるニュルブルクリンクではコース半分がドライ、半分がウェットと言うシチュエーションが数多くあり、その場合はスリックタイヤで走行するからだ。

28周目に荒選手に交代し、その際にウェットタイヤへの交換と給油を行った。まだドライバー交代をしていないチームが多かったので、荒選手は12番手のポジションから上位を目指す。

その後も雨は降ったり止んだりを繰り返し、その都度目まぐるしく順位変動が大きく変わる荒れたレース展開になったが、雨量の多い時にミシュランのウェットタイヤの高性能を活かして再度トップに復帰するが、やはり雨が止んで路面が乾いてくると他車の速さにはかなわず順位を落としてしまう展開が続く。

そして、最後の雨粒が降りた後48周目に再度ピットインし、スリックタイヤに戻しゴールを目指した。ウェット時は間違いなくクラストップの速さで、路面乾いてドライになるとどう見ても9〜10番手ほどの速さしかないので、徐々に順位を下げる展開になってしまうが、それでもなんとか荒が意地の走りを見せ5位でチェッカーを受けた。

良い結果とは思わないが、まだチャンピオンシップを争う上で貴重な6ポイントを獲得したのは大きい。結果として輸入車ではトップポジションな事も対BMWジャパン的にも重要な事だ。

あとがき

残すは次戦のオートポリスと最終戦のモビリティランドもてぎの2戦のみ。トップとのポイント差は19ポイント。優勝が20ポイントなので、次戦でこれ以上引き離される事があれば実質チャンピオンの可能性は無くなってしまう。

そういった意味でも次戦オートポリスでの戦いは本当に重要なレースとなるが、次戦にアウガスト選手は来られない。昨年末の時点ではコロナの状況がわからなかったので、今年のスケジュールに関しては他と被った場合他のレースシリーズを優先してくれ、とBMWモータースポーツ社に提言していたからだ。それなので次戦はRd.3鈴鹿戦以来となる近藤 翼選手が搭乗する。しかし、そのRd.3では見事に優勝しているのでアウガスト選手がいないからと落胆する事はない。荒&近藤の優勝コンビで戦う次戦オートポリスを楽しみにしていて下さい。目指すはシリーズチャンプのみ!

フォト=田村 弥/W.Tamura
CARSMEET web編集部

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