コラム

ドイツのガソリン価格は再びリッター300円超! サンデードライバーの運転マナーにも困惑!?【池ノ内ミドリのジャーマン日記】

アウトバーンに限らず事故や火災の模様を撮影すると罰金を徴収される!

朝晩はすっかり涼しくなり、一雨ごとに秋らしくなってきたドイツです。一般家庭にエアコンが普及していないドイツでは、この夏の猛暑はしんどかったですね。日中は雨戸シャッターを閉め、扇風機と保冷剤とシャワーで何とか乗り切りました。
雨が殆ど降らない夏だった事もあり、河川の水位が著しく下がったり、8月初旬で公園の樹木が既に晩秋の枯葉状態になっていたりと、カラカラな夏でした。

元に戻ったガソリン価格 シェル。

急激な原油価格の高騰で、ドイツのガソリン価格は以前にお伝えした通りに物凄く高額です。6月1日から8月31日までの3ヶ月間限定で、ガソリンは1Lにつき35セント(約50円)<30セント=エネルギー税と5セント=消費税の減税>、ディーゼルは1Lにつき17セント(約24円)<14セント=エネルギー税と3セント=消費税の減税>の割引措置が取られていましたが、9月1日から元の価格に戻り、私の近所ではレギュラー(95オクタン)が2.20ユーロ越え(約308円)というかなりの痛手に戻りました。
しかし、この減税措置が取られていた期間も2ユーロを余裕で越えている日も多くありましたので、もし減税されていなかったらと考えると恐ろしいです。超長距離ドライバーの私としては、ガソリンの高騰は非常に困るのです(泣)。私は数日前に満タンにしておきましたが、割引最終日の8月31日はどこのガソリンスタンドも非常に混んでいました。ガソリン価格が高騰してからは、すこ~しだけスピードを落としてなるべく160km/h以上にならないように気を付けたりしていますが、ほんの気休めですよね。そんなにガソリンが高いのなら、電車で取材に行けば良いとご忠告頂く場合があるのですが、サーキットはどこもかなりの田舎で、電車やバスで行ける所は非常に少ないのです。例え、自宅から飛行機や電車で移動して、空港や駅でレンタカーを借りるとしても、コロナ発生からレンタカーも急激に高くなりましたので非現実的なのです。

元に戻ったガソリン価格 トタール。

さて、9月に入り、バカンスシーズンも終わった事もあり、長い渋滞や無茶苦茶な運転をするドライバーが減る事を願っている今日この頃。ヨーロッパの大半の国は陸続きという事でキャンピングカーやミニバン、ツーリングワゴン等に荷物をパンパンに詰めて、陸路でバカンスに出掛ける方も多いのです。サービスエリアでそれらの人達を見掛けると、楽しそうで微笑ましくもありますが、これらのクルマはおっかなびっくりの予想外の動きをされて冷っとした事も多々。
特にこの夏はコロナ禍規制が解除された事もあり、再びバカンスへ気兼ねなく行けるようになってヨーロッパの空港は急に大混雑。ドイツの空港ではチェックインカウンターに5時間以上待たなければならなかったり、コロナ禍で人員削減をした空港が対応し切れなくなってロストバゲッジや積み残し問題が大きく報じられた事や航空会社のストがあった事もあり、急遽陸路で行く人達も増えて道路も大混雑でした。

©Pixsabay 速度制限解除区間であっても渋滞が多く日中はなかなかスピードは出せない事が多い。

そんな中、普段は殆ど運転しない、近所しか乗らない、週末のレジャーのみというサンデードライバー的な方々が、日頃には積まないようなバカンスの大荷物を詰め込み、長距離旅行に出掛けるべくアウトバーンをよろよろと走るので見ているこっちが怖い事ったら。
大荷物と家族、更にはサイクルキャリーを載せているのに、ぶっとばすお父さん方にも目を疑います。それだけの重量ではかなか急ブレーキを踏んでも止まらないし、スピードを出している時にもしバランスを崩してしまったら、ハンドリングも機敏にはいかないと思うんですよね。車線変更でぐらついているクルマに遭遇するとドキっとします。牽引タイプのキャンピングカーも後ろから見ていると怖い時がありますし、普通のキャンピングカーがふらついて追い越し車線に倒れ込みそうになってビックリした事もあります。巻き込まれたくない!ただそれだけです。ちなみに、ドイツでは例え速度制限解除の区間であっても、キャンピングカーは最高120km/hまでしか出せません。

空港は積み残しとロストバゲッジの山。友人提供。

この夏にはドイツだけでなく、欧州全域で熱波が到来し、エアコンがないのに40℃以上を記録した街も多くありました。ですから、幾度も路肩に停まっているクルマを見掛けて、定期点検の重要さを今一度自分にも思い聞かせました。直撃する西日に向かって走っている時は、フルに入れたエアコンさえ殆ど効力が感じられない暑い日さえ多くありましたが、案の定、渋滞した高速道路を、窓を開けながら路肩を超スロー走行するVWのID.3にイタリアで遭遇しました。猛暑の夏にはEV車オーナーさんには特にヒヤヒヤものですね。

また、バカンスシーズンはいつもにも増して外国ナンバーのクルマも多く見掛けます。多い日には1日で1300km程を一人で運転する私には、どこの国から来たクルマかな~とナンバープレートを見るのも楽しみのひとつなのです。しかし、ドイツ以外の国では速度制限があり、ドイツのように新幹線並みにぶっ飛ばすクルマが後方から迫って来る事は他国ではありません。ですから、スピードに乗って走るという事に慣れていない他国ナンバーは、自国と同じように真ん中車線をのんびりと120㎞/hでブロックして渋滞を起こし、いてイライラします(苦笑)。通り過ぎるドイツのクルマがフラッシュライトや左ウィンカーで、“お先に行かせてくださいね“と合図をしても知らんぷり。

©ADAC  事故の際の救急車両通過道路確保ルール。

日本では煽り運転が話題になっており、怖い思いをされた方も多いかと思います。ドイツでも煽りに近い事は多々ありますが、大体が前記のように速度無制限の区間でノロノロと真ん中車線を走り続けるクルマや追い越し車線を走る物凄く速いクルマに道を譲らない場合が大半です。日本のように煽るクルマの運転手が降りて来てくるというような陰湿さがないのが救いですが、ある意味、速度無制限の区間でそんな事をしたら、煽った運転手が相手を脅す為にクルマを降りた時点で後方から猛スピードで走るクルマに轢かれて木っ端みじんになる確率が高いですよね(苦笑)。アウトバーンには街灯が殆どなく、夜は真っ暗ですので特に夜は危険です。
そして、煽られたからと言って、新幹線のような速さで走り去るハイパフォーマンスカーを追い掛け回すにもそれ相当のクルマが必要となりますので、日本のような陰湿な煽りの光景は見掛けません。

©Pixsabay 事故が起こって居なくても渋滞の際にはこのようにいつでも緊急車両が通れるようにできるのが理想的。

日本ではお盆の時期の渋滞で事故が起きる事も多々ありますよね。事故や車両火災が起きた際にはスマホで取り敢えず撮影をする方、それらをテレビ等に提供される方もおられますね。しかし、それをドイツでやると大変な事になりますので、絶対にしてはいけません。
9月7日からは日本へ帰国する際にPCR検査が不要となる事から、いよいよこの秋からはヨーロッパへ旅行に♪とご計画をされている方もいらっしゃるでしょう。アウトバーン走行中に限らず、事故や火災、事件等に遭遇される場合もあるかと思いますが、ドイツでは撮影は禁止されており、厳正に処分されます。
『Gaffer(ガッファー)』と称される野次馬のスマートフォン等での写真や動画の撮影行為ですが、例えばアウトバーンならば、ここ数年来、事故現場で警察や消防署員の方が事故現場の横を通る車両を撮影しており、Gafferの行為が発覚した車両のナンバーから罰金の通知が届きます。また、運が悪いとその場で警察に停められ、こっぴどく叱られる他、もちろんスマホやカメラは現場で没収。場合によってはそんなに見たいのなら見せてやる!と事故車の中でお亡くなりになっているご遺体の所まで連れて行かれます。罰金の金額は20€~最高1000€(約13万9千円)と高額な罰金か、最長2年の実刑が科される場合もあります。レンタカーの場合も日本まで請求書が送られてきますのでご注意くださいね。
後に証拠を提出する際に被害者を助けてあげようと親切心で撮影してしまう事もあるかと思いますが、全面的に禁止されています。(2021年1月1日から罰金が大幅にアップになりました)

©Pixsabay 実際はこのように警察や消防救急車両が通り抜ける。

また、アウトバーンで事故が起こった場合は、三車線やそれ以上の複数の車線の場合は、左一列とその他の車両で寄せて走行、もしくは停車し、救急車両や警察車両がスムーズに通行できるように速やかに協力しなければなりません。特にここ数年で随分とこれも周知されてきましたが、それまでは事故が起こってもグダグダな状況になり救急車両が通れず負傷者が亡くなるという事態が相次いだ為に法律が改正となりました。

救助車両確保看板。ドイツとオーストリアの国境サービスエリアにて。

従って、こちらも従わない場合、そして救急車両の後ろに着いて早く前に進もうとする者には容赦ない罰金が科されます。また、事故を目撃や遭遇した場合には、速やかに救助活動をしないと、また罰則の対象となります。初めてこの緊急車両通行用の整列に遭遇した方は驚かれるかと思いますが、非常に理にかなっていると思います。

クルマで出掛けて目的や自宅に到着した際には、無事に着けた事に最近は特にホッとします。安全運転を心掛けているつもりですが、これからはどんどん陽が落ちるのが早くなり、暗くなりますのでより一層気を引き締めて運転しようと思います!

この記事を書いた人

池ノ内 ミドリ

武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。

池ノ内 ミドリ

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