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コイツの時代を覚えているか…!?タミヤ製プラモ「910型ブルーバード」で1982年にタイムスリップ!【モデルカーズ】

ボクシーなルックスと軽快な走行性が武器

日産のラインナップからその名が消えて久しいブルーバード。スポーティでタフなファミリーカーとしてその歴史を築き上げたブルーバードだけに、「名車」の評判の高いモデルがいくつか存在する。四輪独立懸架を初採用した510型系はその代表格だが、それに次ぐと言ってよいほど評価の高かったのが、910型系である。

【画像73枚】ジュリーの妖艶な姿を思い出させる910と、その制作工程を見る!

六代目・910型系ブルーバードは、1979年11月に登場した。そのルックスは非常に直線的かつクリーンな、ムダのないもので、610から810にかけてのボディデザインが豊かな面構成を特徴としていたのに比べると、まさに510の再来という印象が強かった。これについては、同じように510のリメイク的な評価の強かったバイオレット(二代目)/オースター/スタンザがその2年前にデビューしており、その路線をより上級のブルーバードでも継承したものと言えるだろう。

ボディ形式は当初は4ドア・セダンと2ドア・ハードトップ、ひと月遅れでバンとワゴンを加えている。エンジンは6気筒を廃止して4気筒のみとし、Z16/Z18、そして新設の2リッターであるZ20をラインナップ(後期型では2L以外のエンジンを、新設計のCA型に変更)。6気筒車は、翌年にデビューするレパードにその地位を譲った形でもあった。事実、レパードのシャシーはブルーバードのそれを用いたもので、6気筒ブルの後継モデルと言ってよい。

話をブルーバードに戻すと、サスペンションは510以来お馴染みの前ストラット/後セミトレを継承していたが、もちろんこれはSSS系のみ。他のモデルはリアサスペンションを4リンク+コイルとなる。ステアリングの設計には、タイヤ接地面中心と回転軸がほぼ一致する”ゼロスクラブ”を採用、良好な操作性をアピールした。デビューから半年足らずの1980年3月にはSSSターボを追加、そしてその翌月にはディーゼル車を加えている。このディーゼルエンジンは、新開発の4気筒2L、LD20型であった。

生産累計が500万台を突破したのも910でのことで、1980年5月にこれが報じられた後、1981年2月にはマイナーチェンジを実施。外観での変更はグリルやテールレンズなどの細部に留まったが、この時ブルーバードとしては新たなボディ形式である4ドア・ハードトップが加わった。また同時に、国内小型乗用車市場登録台数で2年連続1位となったことも発表された(最終的に27ヶ月連続首位となっている)。当時のCMキャッチ通り、1980年代初めはまさにブルーバードの時代だったのである。

確かに名作キット、とは言え現代の目で見ると……?
そんな910ブルーバードだけに、プラモ化の数は少なくない。1/24では4ドア・セダンがタミヤとエルエスから、2ドア・ハードトップがマルイ、日東など、さらにスーパーシルエットがアオシマからリリースされており、1/20では2ドア・ハードトップがエルエスとバンダイから発売されていた。ただしいずれも絶版となっており、アオシマのシルエットを別とすれば再販もほぼない。中でも名作の誉れ高いタミヤ1/24は、2004年頃に再販されたきりであるが、絶版キットを扱うショップなどで入手できる機会もなくはないだろう。

ここでご覧頂いているのは、そんなタミヤの910ブルーバードを仕上げた作品である。「名作」とはいえモーターライズ全盛期のプロポーションモデルであり、キット内容にはさほど特筆すべきものはない。また、同社独特のデフォルメから、実車と仔細に比べるとそのボディ形状に違和感を覚える人も少なくないだろう。

作者・坂中氏としては特にボディの幅広感(前後ともランプのバランスなど)に修正すべき点を感じたらしく、この作例はなんと、ダイキャストミニカー「国産名車コレクション」の1/24ダイキャストミニカーからフロントマスクおよびテールレンズ周りを移植するという、意外にも手の込んだものとなった(そのため後期型となっている)。もちろん、この改修をはじめとして、作例に施されている加工を全て真似する必要はないが、その工程写真とキャプションから、参考に出来る部分を汲み取って頂ければ幸いだ。

作例制作=坂中善之/フォト=服部佳洋 modelcars vol.289より再構成のうえ転載

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