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テールフィン極まるステーションワゴン!ジョーハン製プラモ「1960年型プリマス」で、その流行遅れ感に浸る【モデルカーズ】

高品質をアピールした”ソリッド・プリマス”

フィフティーズのアメリカ車と言えばテールフィン。その始まりはGMのキャデラックによるものだったが、それを一大トレンドまで押し上げたのは、1957年型クライスラー系各車によるところが大きい。低く構えたスポーティなスタイリングのクライスラー系5ディビジョンはいずれも大人気を博したが、中でもそのイメージを塗り替えるほどに成功したのが、シボレーやフォードのライバルである大衆車、プリマスであった。

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大成功作である1957年型から3年、1960年型でプリマスはフルチェンジを行った。これはインペリアルを除く他の3ブランドにも共通の特徴となるが、最大の変化はフレーム式を廃止した車体構造で、前後サブフレームをボディに結合したユニボディ形式を採用。この点を含め、1957年型以降の弱点であった「耐久性の欠如」「品質の低下」という印象を払拭するべく、広告等では“ソリッド・プリマス”と謳われた。

ボディスタイルは従来の方向性を継承し、前年型の放物線を描くテールフィン形状を改め、魚の尾びれのような形のフィンに戻った。このテールフィンは、ウェストラインより一段低めに引かれたサイドモールから繋がることで実際以上に大きく見せるトリックが使われているが、他のメーカーはすでにテールフィンを収束させ始めており、流行遅れの感は否めない。また、ヘッドライト上の眉毛状のプレスとモールが前輪ホイールアーチに繋がる処理も凝ったものではあるが、オーバーデザインという印象は免れ得ないものであった。

この年のプリマスは下からサボイ、ベルベディア、フューリーというラインナップで、それぞれにワゴン・ボディを用意。サボイのワゴン版が“デラックス・サバーバン”、ベルベディアでは“カスタム・サバーバン”、フューリーでは“スポーツ・サバーバン”となる。デラックス・サバーバンにのみ2ドア・ボディを設定。また、カスタム・サバーバンとスポーツ・サバーバンには、後ろ向きのサードシート付き(テールゲートのパワーウィンドウがセット装備)が用意されていた。

ホイールベースはセダン等の118インチ(2997mm)に対し、ワゴンのみ長いシャシーを採用しており、122インチ(3099mm)となる。エンジンは5種類あり、V8は383-cid(6.3L)”ソノラミック・コマンドオ”(最高出力330hp)、361-cid(5.9L)”ゴールデン・コマンドオ395”(305hp)、318-cid(5.2L)”フューリーV800”(230hp)、そしてこの318に4バレル・キャブを装備した”フューリーV800ウィズ・スーパーパック”(260hp)の計4種。そして残る1種は、直列6気筒(スラント・シックス)の225-cid(3.7L)”30-Dエコノミック・シックス”(145hp)である。

シャシーを入れ替えたらエンジンルームも見栄え良く
1960年型プリマスの1/25スケール・プラモデルはジョーハン製のキットが唯一であり、貴重な存在だ。当時の所謂アニュアルキットには、2ドア・ハードトップとスポーツ・サバーバンがあり、後者のみ1970年代に再販されたおかげで、アメリカンカープラモの絶版キットとしては、見かける機会がわりと多い。作例で用いたのはこの再販のノーマルバージョン(C-4560)だが、ほかにポリス仕様(C-5100)も出ていた。部品構成は簡単なもので、色も塗らずプロモ風に作るならば1時間と掛からず完成するだろう。

ボディは、フロントバンパーの張り出し具合いなど細部に気になるところもあるが、全体としてはジョーハンらしくかなり良い出来という印象。パーティングラインはフロントフェンダー上面の所に段差が生じていて、ここの処理が厄介だ。ボンネット前端も同じく段差があり、ここの場合はすぐ上にロゴがあるので、なおさら厄介である。さらにこのロゴは成型の都合か、実車と比べると位置が上すぎておかしい。作例では、このロゴも含めて全て削り取り整えている。ルーフ上面後部には浅いヒケが見られるので、ここも処置が必要だ。

フロントバンパー/グリルのパーツは合いは良い方だが、作例で用いたキットはメッキの状態が悪かったので、フィッティングも調整し直している。ついでに、グリル一体のヘッドライトレンズもクリアーパーツに置き換える加工を行った。ウィンドウはフロントが入れづらく、ここは調整が必要だ。形状もおでこが少し出すぎているようなので、可能なら修正してあげると良いだろう。ヤスリで削り込んだ上で、磨き込んで透明度を取り戻すとよい。

インテリアはシートまで一体のバスタブ式上げ底タイプだ。こだわるならば全面的に作り直さなければならないが、作例ではフロア部分を一旦切除して、その肉厚分だけ深くする加工のみ行っている。ダッシュ以外は一体となっているので、塗装の際のマスキングはきわめて手のかかる作業だ。

シャシーはエキパイなども含めた一体型のもの。実にあっさりとしたものだが、こだわる必要がなければこれで十分だろう。作例では作業中あやまって破損してしまったので、同じジョーハン製の1960デソートのシャシーを流用した。ホイールベースもピッタリ(実車でも122インチで同一)だったので、そのまま使っている。ついでにこのシャシーは前輪タイヤハウスがモールドされていたので、エンジンルームもそれなりに作ることが出来る。本来のシャシーにはこのタイヤハウスがなく、エンジン周りにタイヤが丸見えとなってしまうのだ。

エンジンそのものはあまり出来の良いものではないが、キットの設計年次を考えると平均的なパーツだったと言ってよいだろう。前述のシャシーのことと考え合わせると、このキットの場合、エンジンルームは閉じて作ってもよいかもしれない。作例では一応キットのものを加工して使い、プラグコードの追加を行った。他に、ファイアウォールのパーツ等にも手を加えている。ワイパーもジャンクパーツから適当なものに置き換えた。

ボディカラーは“AQUA MIST”と“OYSTER WHITE”のコンビネーションをチョイス。パステル調のとても綺麗な色だ。クレオスのMr.カラーGX1クールホワイトにC65インディブルーとGX4キアライエローを少量、そしてGX2ウイノーブラックを微量混ぜている。ホワイトのほうはGX1にGX2とC44タンを少量混ぜたもの。インテリアはボディカラーをベースにターコイズ系の濃淡3色とホワイトを用いている。

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.209より再構成のうえ転載

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