遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は『カー・マガジン・ウィークエンド・ミーティング』会場からベスト・ヤングタイマーを選んでイラスト化する恒例企画で、2代目いすゞ・ピアッツァ・ネロを描きましたヨ!!
ボクらのヤングタイマー列伝第36回『ランボルギーニ・ジャルパ』の記事はコチラから
3代目いすゞ・ジェミニをベースにした2代目ピアッツァのネロ!
今回はすっかり恒例となりました、3月30日(土)に開催された『カー・マガジン・ウィークエンド・ミーティング2019春 in 大磯』ご来場車からのチョイスです。イベントごとにイラスト化してきましたのでご記憶かと思います。毎回、並み居る珍車希少車を差し置いて”非直球モデル”を選んでいますが、今回の我々が『ベスト・ヤングタイマー』に選んだのは、2代目『いすゞ・ピアッツァ・ネロ』!
初代いすゞ・ピアッツァといえばジウジアーロ・デザインの名車……ですが、2代目となると途端に”?”となってしまうかも。それもそのはず、3代目ジェミニをベースに生まれた2代目ピアッツァは、1991年に登場するも、いすゞの乗用車部門撤退によって2年ほどで製造を終えてしまい、日本国内での登録台数がとても少ないモデルなのです。しかも、このクルマは『ネロ』。そう、ヤナセで販売していたピアッツァなのです。2代目ネロとなれば、そのレア度は当時から相当なもの(涙)。おまけにこのえんじ色……ネロにこんな色があったんだ! いやもう、スゴイ。完全にノックアウトです!!
ところで、当時GMと密接な関係を持っていたいすゞのクルマは、北米GMにとって重要な小型車でした。そのため3代目ジェミニ・クーペは顔を変えてGMの『ジオ』ブランドで『ストーム』としても販売されていました。そしてこのストームをベースに北米いすゞ向けに作られたのが『インパルス』で、2代目ピアッツァはインパルスの日本版となります。ちなみにGMカナダのブランド『アスナ』では『サンファイア』としても販売されていました。国をまたいだ兄弟車の世界は奥が深いですねえ……。とにもかくにも2代目ピアッツァは、GMグループではちゃんとした役割が与えられていたクルマだったのですね。
今回のオーナーは群馬県からお越しのKさん。1993年に一目惚れして衝動買いして以来の新車ワンオーナーカー(!)です。実は2011年、Kさんの家庭のご事情で家にあったネロと軽トラのどちらかを残さねばならなくなり、結局軽トラを残すことに。その際ナンバーが一度切れてしまい、廃車の危機にあったそうですが、2年後には無事路上復帰を果たしています。ちなみにいすゞが乗用車を撤退していることもあり、パーツ類は「徹底的にない」そうで、維持は大変とのこと。兄弟車の3代目ジェミニでさえパーツがないんですって!(驚)。そのため基本的に手直しや汎用品の流用、加工で凌いでいるそうで、ご苦労が偲ばれます。しかしKさんは今後もネロを頑張って乗り続けるとのこと。心から応援したいと思います!
この記事を書いた人
1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。