Garage Life

古民家を改装して、和の建物にガレージをイン! モダンと融合させた古民家のガレージ。【ガレージライフ】

フェラーリのディーラーや店舗なども手掛ける傍ら、自分のために造った再生・和ガレージ

和と洋のテイストを融合。バランスを取ることが重要。
長野県小布施町。山間部が広がる地域の街道沿いには古民家が建ち並び、良き古き時代を彷彿させる住宅街が広がっている。江戸時代からの名所や北斎にまるわる寺院、銘菓として名高い栗菓子店があり、街を上げて建物ツアーなどもある地域。その小布施町に建築された50年以上前の入母屋造りの平屋を手に入れたのは、「GarageLife Official Dealer」を勤める倉島理行さん。自分で和の住宅を購入して、ガレージにしたいと10年前から譲ってほしいと考えていた物件だそう。

古民家のリノベーションを今後考えている方に重要となるのは、時間が経過しているため、これまで住んできた方がどのように手を入れてきたがポイントになるという。リフォームと再生でも大きな違いで、倉島さんは再生を重視した物件のほうが実はやりやすいという。どうしても、リノベーションという観点で購入した物件は、大きな構造変更されていて機能は便利であるが元の姿に戻すことができないので、ヴィンテージの良さを引き出せる可能性が半減してしまいがちなのだという。

【写真16枚】空き家をスクラップすることなく再生させる「エコ」なガレージ。 

今回、古民家を再生させてガレージに挑戦したのも、倉島さんは建築を携わる者として、日本の今後の住宅事情を次のように考えているからだ。2030年には日本人の人口が少子高齢化、地方の人口減少により60%に落ち込むと予想されており、住宅として利用する家が1/6は空き家になる可能性を秘めているのだという。その空き家をスクラップすることなく再生させることを「エコ」と考え、実際に自分でガレージハウスに再生させることで住宅を見直したいと考えたそうだ。そんなときにご縁があり、管理していたこの物件を2019年に譲ってもらうことに。

入母屋造りの平屋は、かなり状態がよかったことも幸いして、和室3室を壊して土間とすることでガレージにできると考えた。クルマが出入りできるよう出窓を壊して掃き出しに変更し、輸入した引き戸を設けることでガレージの入り口に変更。サイズは2,

400mmと決まっていたが、所有するフェラーリ・モデナを入れるのに充分だったため、そのサイズでドアを設計。吊り戸として、水やホコリが入らないように水切りを設けている。ガレージの床に塗装したのはモルタルに炭を混ぜたカラーコンクリート竹炭を施工し、斑な仕上がりがちょうどいい雰囲気を醸し出している。

コストをかけるところ、かけないところの判断も重要。
キッチンは造作としてモダンすぎないよう、和太鼓をイメージした6角形ものをデザイン。土間の立ち上がりにはシナベニア材を張り、グレーの落ち着いたカラーで仕上げている。また天井の梁はすべてを活かし、塗装することなく掃除など簡単な手入れをしただけに留めて使っているそうだ。一方トイレなどの水まわりだけはきちんと工事を行い、住みやすく仕立てている。また囲炉裏を移設して、冬の寒さをしのぐためにエタノールのストーブを設置。河川土留などで採用されるコラムメッシュによる囲いがポイントになっている。

古民家の奥に広がる畑は、盛り土をしてレベルを合わせて、芝の敷地とすることでクルマを進入させて駐車、もしくは転回できるように改良されている。隣の家との視線が遮られるよう、スチールの倉庫を設置してプライバシーを確保している。将来はこのスチールの倉庫は改造をしてクルマが並列で入れられるスペースにすることも視野に入れている。

倉島さんいわく「どうしてもいまの住宅と比較すると断熱性能は落ちるし、気密もよくありません。そこは昔の知恵でストーブを使って暖を取り、風を通して涼を得ることが日本古来の過ごし方を重要視しました。そこを楽しまないと、古民家ガレージは楽しめないかもしれません」という。漆喰の壁、杉の木目、天井の梁を活かした上でクルマを入れても、チグハグにならないバランスを重視したガレージ。まさに再生させることで、住宅としての寿命が延びたというガレージ付き古民家を再生させることになった。この長野県に再生された古民家ガレージは、多くの人に古来の住宅性能を知ってもらうために、現在ゲストハウスとして完全予約制で貸し出すことも行っている。気になる方はアクセスしてみるといいだろう。

◆PLANNING DATA
 場 所:長野県小布施町
 施 主:倉島理行さん
 敷地面積:約610平米
 延床面積:約99平米
 外装/内装仕上げ:漆喰仕上げ/漆喰仕上げ
 愛 車:2002年式 フェラーリ・360モデナ
     1957年式 ポルシェ356 1600A ほか

◆OWNER’S CHECK
 ・一番気入いっているところは?
 あわただしい仕事を忘れて、時間をゆっくり過ごすにはちょうどいいい場所。
 今後も古い建物を活かしていきたいですね。
 ・ちょっと失敗したところは?
 もう少し早い時期に試していれば、より多くの物件を残すことができたかも。
 ・次の夢はなんですか?
 クルマの趣味を広げていって、共感する人にいいガレージを提供していきたい
 ですね。最近では長野県の「松川渓谷たきの湯」の管理人も始めました。

Kurashima Design:埼玉県さいたま市南区内谷6丁目3-15 Phone/0120-301-004
この物件は完全予約制で1日3,500円で体験してもらうことが可能(完全予約制)。
興味ある方、または長野県に遊びに来る方はぜひご連絡・ご利用ください。

Photo/Dan-KOMATSU(小松 男) Text/Jun-ISHIHARA(石原 淳)

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