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最高水準の走りと快適性を実現した新世代フラッグシップ! BMWの新境地「i7」【メルセデスベンツ×BMW×アウディ】

10月に米国で開催された国際試乗会から2か月も経たずに日本導入を果たした、新型BMW7シリーズ。その主役はブランニューとなったフラッグシップEVのi7で決まりだ。彼の地でもステアリングを握った島下泰久氏が、国内で試乗したあらためての印象をお伝えする。

BMWの走りの哲学は内燃車と変わらない

新型BMW7シリーズの一番の目玉といえば、やはりBEV(電気自動車)版のi7 xDrive60の設定だろう。電動化の時代に向けてBMWは、フラッグシップセダンを内燃エンジン車、プラグインハイブリッド、そしてBEVのマルチパワートレイン化してきた。しかも、それは単に用意したというだけでなく、新型7シリーズの実力、そして魅力をもっとも深く濃く味わえる仕上がりといっても過言ではない、驚愕の完成度を誇っているのだ。

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BMWがラグジャリークラスにだけ使っていくと謳うフロントマスクがセンセーショナルなそのデザインだが、フォルムは典型的なスリーボックスである。しかも用意されるのはロングホイールベース版だけ。これは大容量バッテリーを搭載するi7を設定するには必須の選択だったに違いない。

i7のパワートレインは前後2モーター。フロントが最高出力258ps、リアが同313psを発生し、システムトータルでは最高出力544ps、最大トルクは745Nmを誇る。そして3,215mmの長いホイールベースの内側に収まるバッテリー容量は実に105.7kWh。一充電走行可能距離は、約650kmにも達する。

その走りでまず印象的なのが圧倒的なまでの滑らかさだ。発進、そしてその先の加速はきわめてスムーズで、車重の嵩むクルマであるにも関わらず、重いものが転がり出す時のような抵抗感とは無縁にまさに滑るように転がり出し、そして速度を高めていく。

BMWの第5世代と呼ばれる電動ドライブシステムは、レアアースフリーの電磁石モーターを用いている。おそらく、それがドライバビリティにも違いを生み出しているのだろう。BEVならすべて静かで滑らかなのではなく、そこには厳然とした差が存在するのだ。

静粛性にも驚かされた。エンジン音がしないのは当然として、モーター音も風切り音もロードノイズも、すべて極小なのだ。開発責任者曰く、これは何か飛び道具の恩恵ではなく、ボディパネル間の間隔を詰め、段差を可能な限り平滑にしてといった基本的なことを高い精度で行なった結果だという。

しかも、そこはさすがのBMWで、i7は走りも素晴らしい。アクセル操作に対するパワーの出方はきわめてリニアで、踏み込むほどに力が漲る伸び感のようなものまである。一体感に満ちた極上のドライバビリティのおかげで、走りの充足感は非常に高い。

エレクトリックxDriveに、前後エアサスペンション、後輪操舵を組み合わせたインテグラルアクティブステアリング、ロールを規制するのみならず積極的に姿勢づくりを行なうエグゼクティブドライブプロ、アクティブロールコンフォート機能などのハイテクで構成されるシャシーは、日常域ではしなやかな乗り心地を示しながらコーナーでの身のこなしも軽やか。車体の大きさ、ホイールベースの長さ、そして軽くはない車重を微塵も意識させないフットワークにも、惚れ惚れしてしまった。

内燃エンジンも含め、ベスト新型7シリーズはどれかと訊かれたら、迷わずこのi7と答える。乗り心地も静粛性も、そしてフットワークや走りの刺激ですらも、そう結論づけざるを得ない。今回はもっぱらステアリングを握ったが、この快適性なら31インチシアタースクリーンを持つリアシートは思い切り寛げるだろう。つまり乗っても乗せられても最良なのだ。

もし内燃エンジン車にしか興味がない人でも、BMWの走りの哲学に共感を抱いている人ならば、そのうち納得するはずだ。ラグジャリーカーの電動化、今後ますます進むのは間違いないと、i7の走りは強く実感させたのである。

リポート=島下泰久 フォト=岡村昌宏  report : Y.Shimashita photo : M.Okamura(CROSSOVER)
島下泰久

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