メルセデス・ベンツ

アファルターバッハの熟練工が組み上げる、今度の「メルセデスAMG C43」はひと味違う!【メルセデスベンツ×BMW×アウディ2023】

Cクラスに待望のAMGモデルが上陸した。直4エンジン初となるAMGの熟練マイスターが手作業で組み上げた「M139」に、F1由来の技術を搭載したという新生C43のパフォーマンスはいかに!?

快適な乗り心地を提供するAMG

日本でも2022年10月末からメルセデスAMG C43 4MATICのセダンとワゴンの販売が開始された。これまでも「43」を名乗るAMGモデルはあったけれど、今回の「43」はそれらとは決定的に異なる点がある。

たとえば現行モデルのGLCにはGLC 43 4MATICがあって、これは3LのV6ツインターボを搭載する。一方、新型のC43は2Lの直列4気筒ターボを積む。排気量とシリンダーとターボの違い以外に両者で異なるのはその生産方法だ。GLC43のV6はメルセデスのエンジン工場で生産されるが、C43の直4はAMGの工場が生産を担当する。つまり、C43は”ワンマン、ワンエンジン”の思想に従って作られたユニットを搭載している。

エンジンカバーに作業者のサインに入りプレートが貼り付けられているのもC43のほうだけである。これまでの”43″は「AMGが欲しいけれどそんなに激しいモデルでなくてもいい」という市場のニッチな要望に応えて開発されたモデルで、これはこれで想定以上の引き合いがあったという。ただAMGにしてみれば、彼らの誇りの証でもあるネームプレートが貼り付けられないという忸怩たる想いもあったようで、このC43で”43″がようやく正真正銘のAMGとなったわけだ。

【写真9枚】C43で”43″がようやく正真正銘のAMGとなった! 

このエンジンはM139型と呼ばれ、メルセデスAMGのA45などにも採用されている。つまり、横置きでも縦置きでも使用可能なユニットである。しかし過給機はまったくの別物で、”エレクトリック・エグゾーストガス・ターボチャージャー”すなわち電動ターボとなっている。厚さ約4cmのモーターがタービンとコンプレッサーを繋ぐ軸の真ん中辺りに組み込まれており、十分な排気を待たずともコンプレッサーを回して吸気を加圧することができる。

そのおかげで、たとえばアクセルペダルから足を離したりブレーキペダルを踏んでもモーターによりコンプレッサーを回転し続けられるので、あらためてアクセルペダルを踏み込んだときに瞬時に期待以上の加速が得られるという仕組みである。なお、回転数が上がってタービン(とコンプレッサー)を回すのに十分な状態になるとモーターは自動的に停止する。

M139が発する408ps/500NmはAMGスピードシフトMCTと4MATICを介して4輪へ伝わるが、その4輪は電子制御式ダンパーと金属ばねを組み合わせたAMGライドコントロールサスペンションによって支えられている。4MATICの前後駆動力配分は後輪駆動のような操縦性を狙ってAMG独自の31:69に設定されており、これに制御が出しゃばらない後輪操舵のサポートが加わるので、まあとにかく気持ちよく曲がる。ばね上の動きも上手にコントロールされているが、コンフォートにすると快適な乗り心地を提供してくれるので、普段使いでもまったく問題ない。

C43のM139は、実はそんなに荒々しいエンジンではない。事実、A45の最高出力421psよりも抑えられている(最大トルクは同値)。だからナーバスな印象は皆無で、ただただレスポンスがよく、ドライバーの意志とエンジンの動きが直結しているかのような精密なユニットである。扱いやすいという点では、従来の”43″の雰囲気を踏襲していると言ってもいいかもしれない。

リポート=渡辺慎太郎 フォト=郡 大二郎  report : S.Watanabe photo : D.Kori

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