モデルカーズ

スカGならぬスカT、これこそが本流モデルだぞい!フジミ製プラモ「ジャパン4ドアGT」をTIに改造!後編【モデルカーズ】

L型からZ型へとエンジンを途中変更したTI系

日産スカイラインGT-E・L(GC211H型)のノーズを縮めて1600TI・L(BC211H型)としたプラモデル改造作品について、前編の記事では、作者・北澤氏による解説をお読みいただいた(後編からお読みの方は、下の「関連記事」参照のこと)。ここでは、制作過程の続きを写真とそのキャプションでご紹介するとともに、その実車についてもう少し細かいことを述べておこう。

【画像58枚】ノーズ短縮のさらにその先、TI化工作の詳細を見る!

1977年8月、日産スカイラインは5年ぶりのモデルチェンジを行い、五代目・C210型系へと移行した。よく知られている通り、元はプリンスの車種であったスカイラインだが、同社が日産に吸収合併されて以降、このモデルチェンジは3度目ということになる。この世代は、「日本の風土が生んだ名車」をキャッチコピーに展開された広告における「SKYLINE JAPAN」の文言から、「ジャパン」の愛称で親しまれており、この呼び名は現在でも広く通用している。

ロングノーズの6気筒モデル(GT系)とショートノーズの4気筒モデルというシリーズ構成は継承され、後者には新たに「TI」という名前が与えられた。それぞれに4ドア・セダンと2ドア・ハードトップの2種類のボディがあり、また4ドアのバン(ワゴンは当初ラインナップされず)が4気筒搭載車のみに設定されているのも先代同様である。このような二段構えのシリーズ構成により、ラインナップはセダン25種/ハードトップ21種/バン2種の合計48種というワイドバリエーションだった。

ボディサイズはTIに話を絞ると全長4400mm/全幅1625mm/全高1590mm、ホイールベースは2515mmで、これはGT系より100mm短く、また全長では200mm短い。数字としては先代より若干大きくなっているが、直線的でシャープなデザインのボディはぜい肉がそぎ落とされた印象で、特に2ドア・ハードトップはファストバック・スタイルからノッチバックに戻ったこともあり、「ハコスカへの回帰」というテーマにも納得できるものがある。

機構的には先代のものをほぼ継承しているが、4気筒モデルのリアサスペンションは新開発の4リンクコイル式へと改められた(バンはリーフ式)。フロントサスペンションがストラットである点には変わりない。搭載エンジンも先代同様にL16(1.6L OHC/100ps)とL18(1.8L OHC/105㎰)、そして新たに電子制御インジェクションのL18E(115㎰)を用意。ブレーキはフロントがディスク、リアがドラムであるが、スポーティ志向の1800TI-E・S(セダン、ハードトップともに設定)のみはGT-E・S同様に後輪もディスクとなり、リアスタビライザーも装備される。

デビューから丸1年後の1978年8月には、53年度排出ガス規制適合のため、TI系1.8Lモデルのエンジンを、L18/L18EからZ18/Z18Eへと変更。最高出力は数値上ではL型と同じとされている。またこのとき、TI系の最上級モデルとして1800TI-E・Xを追加した。これはGT-E・X同様に、ヘッドレスト埋め込み式の豪華なシートを装備したほか、パワーウィンドウやオーバーヘッドコンソールなども奢られたものである。また同年同月、ほぼ1週間遅れで、L16もZ16へと変更された。こちらは最高出力95psと、5psのダウンとなっている。同時にGT系も53年度規制適合のための改良が施され、装備品などにも変更が加えられた。

1979年7月にはマイナーチェンジを受け、GT、TIともにボディ前後やインテリアのデザイン変更が行われた。GT系では角型2灯ヘッドライトが採用されたが、TI系では丸型4灯ライトのまま、若干スラントしたシンプルなフロントグリルへと変更。リア周りも4分割タイプのテールのまま、ガーニッシュとの一体感をより強めた形状に改められている。翌8月にはバンも同様のマイナーチェンジを行うとともに、新たにワゴンを追加。これは単一グレードでエンジンはZ18のみを搭載、一方バンは引き続き1.6L車のみのラインナップだった。

翌1980年4月にはGT系のターボ搭載モデルが登場しているが、TI系の動きとしては、6月に行われた2Lモデルの追加が大きいだろう。これはZ18と同じく直列4気筒OHCであるZ20E(120ps)を搭載したもので、リアサスペンションがGT系と同じセミトレとなり、後輪ディスクブレーキも装備されるのが特徴。グレードはTI-E・SとTI-Eの2種で、後者も後輪セミトレ/ディスクブレーキとなる。これに伴い1800のTI-E・Sは廃止。また、地味なところではTI系の最廉価モデルとして、1600TI-Aという実用グレードがこのとき新設された。さらにディーゼル車もラインナップに加わり、LD20(直4 2L/65ps)を搭載したバンと、LD28(直6 2.8L/91ps)を搭載したGTが設定されている。

フジミ製キットこそTI化の絶好のベース、かも!?
以上、TI系を中心にジャパンの変遷を大まかに辿ってみた。ターボ搭載の2000GT系が人気を博したこともあり、新車当時からそのプラモデル化は多く、1/32スケールではグンゼとアオシマ、1/24スケールではアオシマやエルエス、東京マルイ、アリイ、イマイ、1/20ではニチモとバンダイにエルエスなど、無数のキットが存在する。いずれもGTを再現したもので、セダンを製品化したのはアオシマとエルエスのみであったが、珍しくもエルエスのキットにはTI(こちらは2ドア)が存在した。と言ってもこれはボディがGTのままのロングノーズである。

そういう訳で、TIをプラモデルで作るには、GTのキットを使用し、これをショートノーズ化する以外ない。作例がベースとしたのはフジミ製キットであるが、これはジャパンがれっきとした旧車となって後の、2011年にリリースされたものだ。まず族車仕様の前期型が発売され、その一部パーツを変更してノーマルの後期型が同年に製品化されている。

フジミ製ジャパンは、実車のイメージをなかなか巧みに捉えているのだが、フロントマスクが薄く、またリア周りの絞り込みも若干強めで、このあたりが前編で北澤氏も述べていた「実車よりもカッコ良い」という世評にもつながっているものであろう。そのせいもあってか、TIへと改造してもプロポーションは良い具合にまとまっているようである。また、フロントエンドの薄さはTIへの改造によって自然に解消されてしまうのだが、逆に正確なフロントの厚みを持ったキットであれば、長さを詰める分厚みが増してしまい、その解消に手間取らされるだろうと想像される。フジミ製ジャパンからのTI化、皆さんも挑戦してはいかがだろうか。

作例制作=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.249より再構成のうえ転載

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