提案型のカスタムガレージハウジングを立ち上げて自らのコンセプトハウスを建て、新しいライフスタイルを提案
海外生活から得た経験を、住宅設計にフィードバック。
「カスタムガレージハウジング」、この言葉は「ガレージハウス.com (有限会社百式)」が掲げるコンセプトのひとつである。今回の施主であるHさんは、20年以上にわたって住宅に携わってきた大工さんであり、今回は今まで蓄えた経験と技術をこれからの住宅にフィードバックさせたいと立ち上げるブランドの1つ。
ポリシーは、住宅の既成概念にとらわれない自由な発想の住宅デザイン。今回のHさんの自邸も間口が狭い敷地でありながらも、ボートが入るガレージに設計するなど、これまでにはない発想を取り入れ、この春竣工したガレージハウスである。
Hさんの趣味はボート。いまでこそ仕事が多忙でなかなか行くことができないそうだが、4～10月までのボートシーズンにはクルマで2時間けん引して、琵琶湖までボートを運んでクルージングを楽しむなど、仕事と遊びを両立させる充実したライフスタイルを楽しんでいる。ボートが傷むこと、そしてセキュリティのことを考えてボートをガレージに入れたいと考えていた。
実はHさん、カナダに住んだ経験があり、海外のライフスタイル、建築を日本に合うスタイルにして取り入れていきたいと昔から考えつつ大工という職業に就き、今まで400棟以上の物件に携わってきた。ただし、その物件には法律の壁や、大きなメーカーたる所以の考えがあり自由な発想が発揮できないのが現実であった。
そこで今回、設計・施工という会社を立ち上げブランディング化することで、もっとライフスタイルを楽しんでもらいたいと考えたそうだ。この自邸はまさにそのスタートでもあり、モデルハウスとしても活用できるようにプランニングした。間口の狭い土地、高さ制限のある場所、そして防火地域により趣味の空間が実現できない場所への挑戦でもあり、住宅メーカーなどには「できない」ことを、創意工夫により提案している。
【写真12枚】磁器タイルを敷き詰めたLDK、薪ストーブひとつが暖房の家
今回の名古屋市内も準防火地域であり、通常は鉄筋やモルタル仕上げとなる外装が、「チャネルオリジナル」が発売している「ウィルオール」を採用することで木造を使い法律をクリアしている。H邸の間口は6mで奥行きの長い旗竿地であるが、木造で3階建てのガレージハウスを完成させた。この間口が狭いがゆえにガレージハウスをあきらめていたオーナーにとっては、SE工法による耐震性の向上により可能にするなど朗報である。
またガレージにも工夫がある。ボートを持ち帰ったときに水抜きをするためのグレーチングによる溝の配置や、大好きなボート、クルマを浴室から見るための高さの工夫、そして大胆なホワイトのタイル張りの浴室など大胆なデザインの工夫が多い。また2階のリビングのほとんどが窓による開放的なスペースとなっており、ブラインドによりプライバシーを確保、採光を調節するなど工夫した。
そしてそのブラインドはすべてリモコンの操作により上下させ、ボックスに収納させることや、部屋はなつべく凹凸がないシンプルなデザインになるように工夫された。また薪ストーブの暖かい空気はガレージに排出され、温かな空気が1階から3階まで温めるなどの工夫も考えられての設計である。
これまでの既成概念の発想を壊すことで自由なデザインを用いることができた好例ともいえる。今後はHさんを中心に愛知県をベースにカスタム・ガレージハウジングの考えを浸透させ、今まで諦めていた住宅デザインを具現化させる手伝いをしていきたいと語る。
土地が不利でガレージハウスを諦めていた方や、安全を優先するばかり自分のプランニングが叶わなかった方など興味のある本誌読者の方は、1度相談をしてみるのもいいだろう。FaramesDesignは愛知県名古屋市を中心に近郊で、ガレージハウスのような趣味の空間を提案していく。
◆Planning Data
所在地：愛知県
施 主：Hさん
家族構成：ご夫婦+長男、長女夫婦、孫、義理父
竣 工：2011年3月
構 造：木質準ラーメン(SE構法)
敷地面積：約420平米
延床面積：約200平米
ガレージ面積：約45平米
愛 車：2010年式 USトヨタFJクルーザー
23フィートボート
◆Owner’s Check
・自分の家ここがお気に入り
浴槽から見ることができるガレージのスペース。あえて難題にチャレンジしてみました。
・ちょっと失敗
特にありません。
・これからの夢
これから、いろいろな知識、経験をこれからガレージハウスを建てる方にフィードバックして夢をかなえようと思います。安くないですが、全力を尽くします。
・読者へアドバイス
名古屋市にある自邸ですが、モデルハウスとしても活用しようと考えています小さな子どもがいる家庭は危ないのでNGですが、ぜひ予約して見に来てください。
◆Comment from a Builder：
ガレージハウス.com (有限会社百式) ブランドマネージャー・Hさん
新しいライフスタイルの実現に趣味性の高い建物が欠かせないとお考えのみなさまにはこのコンセプトハウスを体験することをお勧めします。ここでそのビジョンの可能性を拡げることができるはずです。そして求めるライフスタイルについて聞かせてください。
明確になったそのビジョンを具現化する段階で売り手と買い手という商業主義的な関係ではなく住み手と造り手という本来のシンプルな家造りをフレームスデザインでは守り続けています。実際の造り手である我々との直接呼応がその具現化に最も大きく貢献できる事を必ず感じて頂けると思います。「想いをカタチに、世界で一邸をあなたに」。
ガレージハウス.com (有限会社百式) 愛知県名古屋市熱田区千代田町12-10
メール：info@100-garagehouse.com URL： http://ガレージハウス.com
『ガレージのある家 Vol.23』掲載
text/Jun-ISHIHARA（石原 淳） photo/Keigo-KIMURA（木村圭吾）
