アバルト695SSの雰囲気を見事に再現している名作
今回は、マテル メベ グラントロス 6608 フィアット アバルト695SSのご紹介です。
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現在のアバルトは主にフィアット車をベースとしたチューニングモデル&パーツを開発販売するブランドです。今回ご紹介するアバルト695SSは、フィアット社に買収される以前の創始者カルロ・アバルトが率いるアバルト&C.の時代のもので、ノーマルのフィアット500をベースにエンジンの排気量を約500ccからアバルト製チューニングパーツによりストロークとボアを拡大して約690ccに排気量をアップさせたアバルト695をグループⅡのホモロゲーション取得用に更に高性能にチューニングを高めたバージョンがSS(イタリア読みでesse-esse)仕様になります。ノーマルの18psに対し倍近い38psのパワーにて、最高速度も95km/hから140km/hを誇りました。
このミニカーは1970年頃に、マテル社が、イタリアのメベトーイを傘下に収め、同ブランドの金型を使用して、1/43スケールの「グラントロスシリーズ」としてスタートさせたミニカーの中の1台です。今までのメベトーイ製のオーソドックスな作りのミニカーから、ホットウィールシリーズ同様にスピードホイールを履かせ、走行性能をアップさせて製作された新シリーズでした。
このミニカーは、メベトーイのフィアット500Fの前期タイプの金型をベースに、アバルト695SSにモディファイされたミニカーがベースです。メベトーイの前期と後期の金型の違いは、前期型のヘッドライトにはダイヤカットのガラスが嵌め込まれ、リアのエンジンフードが開閉し、エンジンルーム内には、メッキされたプラスチック製エンジンが搭載されていましたが、後期型では、ヘッドライトが一体成型のモールドに省略されて。シルバーのペイントになり、リアのエンジンフードの開閉も省略されてモールドのみになってしまいました。
この500Fの前後バンパーと一体成型されたダイキャスト製シャシーにフィアット500Lタイプのオーバーライダーを前後に装着、フロントバンパー下にはオイルクーラー、リアにはアバルト製オイルパンと図太い2本出しのアバルト・マフラーを再現して迫力を演出しています。
また、今までのダイキャスト製ホイールにゴムタイヤを履いた細いオーソドックスなタイヤ&ホイールに代わり、カンパニョーロ風のアロイ・ホイールを表現したワイドなプラスチック製スピードホイールに履き替えられています。
ボディのデコレーションとしては、ルーフ後半にはチェッカーフラッグ模様のシール、ABARTHの黒い文字がプリントされた左右のドアからリアーフェンダーまで貼られた黄色いストライプ。フロントフードには、本来実車のリアエンジンフードのライセンスランプ上部に装着される695esse-esseのエンブレムを再現したビニールシールとアバルトのサソリのエンブレムのシールを添付、左右ドアには#14のゼッケンのシールも装着されています。
実車同様、大人しいノーマルの大衆車からとても大胆で勇ましいレース仕様に変貌しています。欲をいうと、前述の前後バンパーに装着されたオーバーライダーはデラックス仕様のLタイプ特有のものであるため、レーシーなイメージをスポイルしていることと、フロントエンブレムがフィアット500Fのままで、アバルトのエンブレムでは無い部分が少々惜しまれます。それらの点を差し引いてもアバルト695SSの雰囲気は十分に再現している名作だと思います。
※写真のノーマル・チンクエチェントのリア・ナンバープレートは自作品です。
この記事を書いた人
モデル・カーズ 「丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー天国」並びにRM MODELS 「TRAM&CARS」に執筆中。愛車は1987年から所有している丸餅(’71 FIAT500L改)と1999年から使用している’91 メルセデス・ベンツ300E-24 (W124-031)。ヌォーヴァ・チンクエチェントと50年以上コレクションし続けているミニカーの啓蒙と伝道が使命。