ボディは大柄になったが販売台数も増大!
この記事の公開日は2023年9月20日。今から51年前の今日――すなわち1972年9月20日に発売された名車をご存じであろうか? 四代目のスカイライン、C110型系である。
プリンスから日産の車種となって2回目、車種それ自体としては3回目のモデルチェンジを行い、1972年9月20日、スカイラインはC110型系へと移行した。この四代目スカイラインが、巧みな広告戦略によって歴代最大の販売成績を誇る人気モデルとなったことは、特に有名だ。CMキャラクターとして若い男女のモデルを起用し、「ケンとメリーのスカイライン」をキャッチコピーとしたことから「ケンメリ」の愛称がついた、ということなどは今更説明するまでもないだろう。
このケンメリことC110型系スカイラインは、次のモデルチェンジまでの約5年間で実に合計67万台を売り上げているのだが、無論いくら宣伝が良くても、クルマそのものが良くなくては売れる訳がない。二、三代目と徐々に強調されてきたスポーツイメージ、そして初代から継承されてきたゴージャスムード、そのハイレベルな融合こそケンメリ大成功の理由であった。
ボディ形式のバリエーションは4ドア・セダンと2ドア・ハードトップ、そしてワゴン/バンの3種類があり、6気筒モデルのGT系では4気筒モデルよりノーズが長く、またワゴン/バンには4気筒搭載車しか設定されない、という全体の構成は、先代から継承。豪華なムードは先代よりも若干大柄なボディと、よりアメリカンな印象を強めたボディスタイルからもたらされている。ボディサイズは先代と比べてGT系では全長で45mm長く、全幅で30mm広くなった。ホイールベースは先代では2ドアの方が短かったが、今度は2ドアと4ドアで統一されている。
スタイリングでは、リアフェンダーに入るプレスライン(所謂サーフィンライン)が、エッジとしての盛り上がりよりもその下の抉れを強調した形となったのが特徴だ。GT系では円形のテールランプを採用し、スカイラインらしさをアピール。一方、4気筒モデルでは四角形を基本としたテール(台形を左右それぞれで上下2段に3つずつ並べた形)を採用し、この対比でGTを際立たせているのは先々代後期型に戻った形であるが、2ドア・ハードトップでは4気筒も円形テールとなるのが、次世代以降のスカイラインでは見られなくなる形であった。
エンジンやサスペンションは先代から多くを継承
機構的には先代からほぼ変わりなく、GT系ではL20型6気筒2Lエンジンに前ストラット/後セミトレのサスペンション、という基本コンポーネンツを受け継いでいる。GTではシングルキャブ、豪華版のGT-Xではツインキャブとなるのも先代同様。一方、4気筒モデルはプリンス直系のG型エンジンを搭載、先代から継承した1.8Lと、その縮小版として新たに用意された1.6Lがあった(先代では1.8Lと1.5L)。こちらのサスペンションはリアがリーフリジッドとなるが、G型ならではの吹け上がりの良さと鼻先の短さ・軽さによる軽快な走りから、GTよりむしろこちらを好むツウも少なくなかったようだ。
ケンメリと言えばGT-Rは欠かせない存在であり、またマイナーチェンジや排ガス規制適応なども重要な話題であるが、ここではそれらについては省略し、デビュー当初の話のみに留めておくこととしよう。車両本体価格はセダンのGT-Xで98.5万円、GTで88万円、1800スポーティデラックスで74.7万円、1600スポーティデラックスで70.7万円。ハードトップではGT-Xが101.5万円、1800スポーティGLが82.7万円、1600スポーティGLが77.7万円。1600バン・デラックスでは67.4万円。以上はいずれも4速フロアMT車、日産プリンス東京での金額であった。