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世界で799台限定! 公道走行可能な初のXXモデル「フェラーリSF90 XX ストラダーレ」日本初披露

日本初上陸! スペシャル・シリーズとXXプログラムを完璧に組み合わせたパフォーマンス特性。F-1日本GPを直前に控えたレーシングドライバー、シャルル・ルクレールを迎えて国内顧客に披露

2023年9月20日(水)、フェラーリジャパンは「SF90 ストラダーレ」をベースとする、799台の限定生産の新たなスペシャル・シリーズ「フェラーリSF90 XX Stradale (ストラダーレ)」の国内初披露となる顧客イベント「Ferrari Night」をIHI STAGE AROUND TOKYOで開催した。

会場で登壇したフェラーリ極東・中東地域 代表取締役社長のディーター・クネヒテル氏は、新モデルのコンセプトを「特別仕様車の最高の技術特性とXXプログラムの技術特性が初めて融合した公道仕様車」と説明。「私たちが目指したのは、レーシングカーの”エキサイティングな体験”を再現すること」と、そのパフォーマンス特性について語った。

また、F1日本グランプリを直前に控えたレーシングドライバー、シャルル・ルクレール選手が会場に駆けつけ、トークショー等の交流イベントを通してゲストを大いに魅了するなど、一夜限りのフェラーリの世界観が再現された会場とダイナミックな演出の融合により、祝祭の一体感と奥密に包まれた。

SF90 XX ストラダーレは、フェラーリ公道モデルのパフォーマンスを新たなレベルに押し上げるというスペシャル・バージョンのコンセプトを、これまで以上に極限まで追究した最新モデル。このコンセプトは約20年に亘って磨き上げられ、その間に誕生した「488ピスタ」や「812コンペティツィオーネ」といったモデルは、跳ね馬のラインナップの中でも、ペンチマークと考えられるようになった。

またフェラーリでは、これと並行して20年にわたってXXプログラムも開発し、選り抜きの専門的なカスタマー・ドライバーを対象に、公道走行の承認は得ていないものの、サーキットを限界で走行できる究極のモデルを提供してきた。このブログラムから生まれたモデルはすべて大好評を博しており、直近の例には「FXX-KEVO」がある。

【写真41枚】フェラーリ公道モデルのパフォーマンスを新たなレベルに押し上げる! 

フェラーリは、この二つの分野で得た経験を生かして、両ブログラムのエンジニアリング・コンセプトを最大限に実現した公道走行可能なモデルを生み出すことを決意した。SF90 XX ストラダーレは、スーパーカ一の「SF90 ストラダーレ」をベースとし、サーキットを限界城で走る躍る驚異のドライビング・エクスペリエンスを、新たな高みに押し上げたモデル。

SF90 ストラダーレから30cvアップした1,030cvという驚くべき最高出力と、特殊なソフトウェア・ロジックがバフォーマンスを増大。さらに、公道モデルへの装備は「F50」の時代以来となる固定リア・スポイラーを含む新新な空カソリューションを採用し、車速250km/hで530kgという比類ないダウンフォースを発生する。

「SF90 XX スパイダー」も、同じコンセプトをインスピレーションとしている。サーキットで味わう死性のアドレナリンの奔流に加えて、オープンエア・ドライピングの喜びを上乗せし、そこではフェラーリV8のアイコニックなエンジン・サウンドが大きな買を果たす。

SF90 XX ストラダーレと同じ洗練された空力ソリューションを採用した上で、コックピットの気流を操る専用の開発を施すことで、ルーフを格納しても優れた快適性が確保されている。また、フェラーリの名高いリトラクタブル・ハードトップ(RHT)を装備。これはアルミニウム製パネルで構成され、わずか14秒で開閉できるだけでなく、車速45km/hまでは走行中でも操作が可能。

パワートレイン
SF90 XX ストラダーレは、SF90 ストラダーレと SF90 スパイダーの特徴であるPHEVレイアウトも受けいでいる。V8内燃エンジンと3基の電気モーターを組み合わせ、2基のモーターはフロント・アクスルに左右独立して搭載し、1基のモーターはリアのエンジンとギアボックスの間に配置されている。この構成によって、最高出力は1,030cvに達し(SF90 ストラダーレから30cv増加)、フェラーリ全体の新たなパフォーマンス・ペンチマークとなっている。

内燃エンジン
強大な取高出力797cvを誇るリアミッドシップのV8ターポエンジンが、このアーキテクチャーのパフォーマンス限界をさらに押し上げた。SF90 XX ストラダーレ に搭載するF154FBエンジンは、SF90 ストラダーレのバワーユニットを出発点としているが、その過さは大幅に高まっている。吸排気ダクトのポリッシュで効率性を高め、燃規室への特殊な機械加工と新ビストンによって圧縮比を引き上げた。また、二次空気導入装置を携除して、従来型からエンジン量を3.5kg削減している。

エンジン・サウンド
SF90 XX ストラダーレでは、レースの現を完璧に縮したものとなるよう、エンジン・サウンドが再設計された。一層朗々とした豊かなサウンドを作り出し、V8の全回転域で美しいハーモニーを奏でるよう、ホットチュープ・システムも最適化された。これが内装エンジンの鉄動をキャピンに伝達し、高用波音を送調して、フェラーリV8の種の進化を露わにする。

革新的素材の採用によって、サウンドの鮮明さが向上した。その結果、アイコニックなフェラーリV8サウンドがこの上もなくかな響きを炸裂させる。吸気プレナムからのチューブは再設計され、キャビンのバルクヘッドに近づけて配置されたため、求められたトルクを発揮しようとエンジンが大量の空気を吸入する際に、いっそう刺激的な大音量を楽しめる。また、レゾネーターは、さらに豊かなハーモニーと迫力を生み出ずため、エンジンに近い位置となった。

ホットチューブ・システムの支管を前後とも改良したことで、音質が明らかに向上し、中回転域で最良の音質に達する。とはいえ、回転がリミッターに近づき、エンジンがその最大のパワーを解き放つ期間が迫るにつれて、音質と迫力がスムーズかつリニアに高まるようにモディファイされている。

電気モーター
SF90 ストラダーレと同様、SF90 XX ストラダーレも3基の電気モーターを搭載し、1基はエンジンとギアボックスの間に、2基はフロント・アクスルに位置する。このモデルでは、最高出力が233cv/171kWに達する。これに貢献しているのが、エクストラ・ブーストを実現する特許取得のビークル・ダイナミクス・ロジックで、眺ね馬のロードカーに初めて採用された。3基のモーターの動力は高性能リチウムイオン・バッテリーが供給し、フル動モードでの統距離は25km。エンジンの停止中も、フロントのモーターが135km/hの最高速度を保証する。

パワーフローを管理する制街ロジックは、必要に応じて効率性かパフォーマンスのいずれかを優先。ドライバーはステアリング・ホイールにあるeマネッティーノ・セレクターを使い、4種類のパワー・マネージメント・モードから選択できる。eDriveモードでは、内燃エンジンは停止し、駆動はすべて前輪が担う。

Hybridモードでは、バッテリーのエネルギー使用を優先し、フル電動の航続距離が最大化するよう、自動で制御される。Penformanceモードでは内燃エンジンが常に稼働し、最大パワーの発揮よりパフォーマンスの一貫性が優先される。Qualifyingモードでは、システムは最大パワーを解き放ち、パフォーマンスを優先する制御ロジックが、新採用のエクストラ・ブースト提能を使用する。

ギアボックス
SF90 ストラダーレで初めてフェラーリのラインアップに登場した、8速デュアルクラッチ・ギアボックスは、SF90 XX ストラダーレとSF90 XX スパイダーも受け継いでいる。ただし、変速ロジックは大きく変わった。「フェラーリ・デイトナ SP3」で導入された特許取得のロジックを採用し、一層魅力的でダイナミックな加速特性を実現する。

それだけでなく、この新ロジックは変速時のサウンドも向上させる。ハイパフォーマンス・ドライピングの際に中・高回転域でアクセルを戻すと鳴る、あのオーバーランの音に似たエグゾーストノートを発生させるのだ。

これを実現するため、フェラーリのエンジニアはギアボックスの制御ロジックと連動する特殊なエンジン・キャリブレーションを開発。SF90 ストラダーレのアクチュエーション・シークエンスを再設計し、燃焼室の圧力サイクルを最適化、アクセルを戻したまさにその瞬間に、変速時の音を可能な限り強調して、ギアがエンゲージできるようにした。

エアロダイナミクス
SF90 XX ストラダーレは、フェラーリ史上どのロードカーよりも効率性の高い空力パフォーマンスを誇り、これに迫るのはスーパーカーの「ラ フェラーリ」のみ。発生ダウンフォースは SF90 ストラダーレの最大値から倍増し、グリップが向上して、フィオラノのラップタイムは明らかに短縮されている。これは、マラネッ口が誇る無数のレース経験の賜物であり、発熱コンポーネントと電子機器のための冷却フロー・マネージメントを再設計し、最高出力の増大に応じてエンジン・コンパートメントに手を加えた結果だ。

エアロダイナミクスの観点で最も特徴的な要素は、間違いなくリアの固定ウィングだろう。これは、XXプログラムモテルでの経験を元に開発された。計り知れない空力ポテンシャルを持つエレメントであり、フェラーリ・スタイリング・センターとの密接な協力によって、このモデルとの自然な調和を見せている。その形状は効率性を最優先に決められ、ウィングの作り出す圧力場が、シャットオフ・ガーニー周辺で生まれる正圧・負圧の複雑なシステムと相互作用を生むように磨き上げられている。

シャットオフ・ガーニーも再設計され、ダウンフォースと空気抵抗のトレードオフを効率的にマネージメントする。配置は2種類あり、LD(ロー・ドラッグ)では、可動エレメントが持ち上がり、固定セクションと整列して空気抵抗を最小限に抑え、前後方向のバフォーマンスを強化する。

対してHD(ハイ・ダウンフォース)では、可動エレメントが下降してブロウン・エリアをふさぎ、気流が固定エリアにぶつかる。こうして生まれた過圧エリアが、リアのダウンフォースを発生させるだけでなく、流れ込む気流を縦方向にそらして、車速250km/hで315kgというリアの最大ダウンフォースに貢献する。

冷却の向上はエンジンに恩恵をもたらした。これは、高温冷却サーキット用フロント・ラジエーターの効率性が高まったためだ。アンダーポディの新レイアウトも、フロントタイヤ前からのラジエーターの排熱を向上させるよう取適化されている。SF90 ストラダーレでも見られたフロント・バンパー下部のサイド・ルーバーも再設計され、背圧を抑えるため拡大されました。

出力とダウンフォースが共に増大したことで新たな課題も生まれたが、フェラーリのエンジニアは、電子機器の冷却を担う中温ラジェーターのレイアウトを反転させることで対処した。これによって効率性が向上しただけでなく、アンダーボティの一部を取り囲んで、フロント・ダウンフォースの発生に効果を発揮する面積を拡大できた。明らかにレースから派生した設計なので意外ではないが、このアーキテクチャーは最新の「296 GT3」でも採用されている。

フロント・ラジエーターの傾斜を変更したことで空力係数が向上し、高温の気流がポンネット内部と上部を同時に通過。この気流を制し、車体上部へ導くSダクトは、ボンネット中央にある2個のエア・ベントにそれぞれ位置する。

車体後部では、インタークーラー用エア・インテークの前にあるスクープが、ラジエーターに到達する気流の拡大を整え、減速させる。走行中、エンジン・コンパートメントへの冷却エアは3箇所の開口部から取り込まれる。1個はサイドにあるインタークーラー用インテークの上方に、2個目はエンジン・カバー上を横切る位置にあり、3個目として固定スポイラーの支柱の横にダクトがある。

このモデルではフロント・スプリッターも特殊だ。SF90 ストラダーレより大きく、風洞で緻密な開発作業が行われた。ここから非常に強力な管状の気流が車体の下に発生し、再設計されたアンダーボディで活用される。フロント・ディフューザーはサイズと幅が拡大され、同じく再設計されたボルテックス・ジェネレーターとの相乗効果によって、発生ダウンフォースが車速250km/hで45kg以上増加した。アンダーボディで発生したダウンフォースは、特殊な形状のボディワーク表面によって安定し、増幅される。

先に触れたように、2個のSダクトだけで、フロントのダウンフォースはSF90 ストラダーレから20%増加した。これに重要な役割を果たしたのがフロントのホイールアーチに導入されたルーバーだ。このルーバーによって、フロントのタイヤハウスから空気を力強く抜き出すことが可能となった。全体では、最高速度域で325kgにおよぶフロント・ダウンフォースを発生する。

空気抵抗の増加に対しては、ボディのCd値に最大の効果をもたらす部分を開発することで対処した。フロント・バンパーには2種類のブロウン・ダクトが組み込まれ、これが過剰な圧力を抑えて、ボディワーク内部への通過性を向上させている。1組目のダクトはフロント・ラジエーターの高さに位置して小さな泡を作り出し、これがフロントタイヤを包むシールドとなって、効率性を高める。2組目のダクトは、勢いを増した気流を直接フロント・ボンネット上へ送って、ボンネットとサイドボディの空気の流れを促進すると共に、サイドのラジエーターに入る管状の気流を常に整える。

タイヤハウス後部からの空気の排出は、ダウンフォースの発生にもドラッグの低減にもメリットをもたらした。タイヤから出た気流は、ポティ表面の形状によって適切に整えられる。リア・ディフューザーも、重要な買献を果たすようさらに開発が施され、極めて効率的にダウンフォースを発生させる。また、拡張部の末端を注意深くデザインすることで、車体後部の気流をコンパクトに抑えている。

ビークル・ダイナミクス
SF90 XX ストラダーレの開発の重点は、フェラーリ史上も高いパフォーマンスを持つロードカーを作り上げ、ステアリングを握る楽しさを極めると同時に、SF90 ストラダーレのハイブリッド・パワートレインが誇るあらゆる機能を維持することだった。とりわけ、パフォーマンスの使いやすさが大きな柱となった。特に電動モードでは、典型的な市街地走行から郊外への旅行に至るまで、驚くほど高いパフォーマンス・ドライピングを可能とする能力を重視した。事実、eDriveモードの最高速度は135km/hに達する。

電動モードからハイブリッド・モードへの切り替えは、極めてスムーズだ。これは、電動フロント・アクスル、8速DCTギアボックス、リアに搭載する電気モーター、そしてV8エンジンがシームレスに連携するためだ。こうして、リニアで連続的な加速が保証され、パワートレインのすべてのパワーが素早く発揮される。

トルク・ベクタリングや、ブレーキングとアクセルオフでのエネルギー回生機能は、全モードで稼働する。また、「フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー2.0」がデビューし、これもマネッティーノの全ポジション、あらゆるグリップ条件で稼働する。こうしたさまざまなシステムは、「電子サイド・スリップ・コントロール(eSSC)10」によってマネージメントされる。

主な新機能のひとつに「296 GTB」でデビューした「ABS EVO コントローラー」がある。6W-CDSセンサーとの統合によって、パフォーマンスが向上し、ドライ路面におけるハイパフォーマンス・ブレーキングの再現性も高まった。このシステムは、グリップが高いコンディションで、マネッティーノがレース以上の場合に稼働する。6W-CDSセンサーからのデータを使って正確な推定車速を得ることで、4輪の目標スリップ値を特定できるため、制動力の配分を最適化できる。

その結果、直線でのブレーキングでもターンイン中のブレーキングでも、4輪で発生する前後方向の力をさらに活用できる。通常、ターンインではリア・アクスルにおいて、前後方向の制動パフォーマンスと横方向の安定性がトレードオフの関係となる。システムは制動操作の再現性を目標値まで最大化し、コンポーネントの公差や路面状況の自然な変動によるロスを低減する。その結果、SF90 XX ストラダーレではさらにレーキングを遅らせることが可能となり、その再現性も高まるため、サーキットでの操作性が向上している。

6W-CDSセンサーは、これまでのバージョンよりデータ量が大幅に増えた。特に、加速度と回を3軸(前後、左右、上下)について計測できる能力によって、ほかのビークル・ダイナミクス制御システムが車両の動的挙動をより正確に読み取れるため、はるかに正確で最適な介入が可能となっている。

これに加えて、SF90 XX ストラダーレではエクストラ・ブーストの制ロジックがデビューし、短時間の急激なパワーブーストを実現。このソフトウェアはマネッティーノのQualifyingモードでのみ作動し、車両がコーナーを立ち上がる亜要な局面でパワーを上乗せする。この機能単独で、フィオラノのラップタイムが0.25秒短縮される。このソフトウェアはパワー・デリバリーを制御し、バッテリーの充電でピーク・パフォーマンスを実現すると共に、電力供給の最適化を目的に、各コンポーネントの状態を監視する。

パワーブーストが利用可能かどうかは、ダッシュ・ティスプレイの右寄りにグラフで表示され、残りのブースト回数(最大30回)が示される。制御ロジックは、各サーキットの特性によって、少なくとも1周から数周にわたってこの機能をフルに利用できるようにする。これは、超過パワーの利用が最も効果的な区間を経験的に特定し、ラップタイムの短箱に繋がらない区間は除外しようとするからだ。

運動特性に関するさまざまな角度や弾性特性といった車両セットアップは、限界域での挙動の最適化のみに焦点を絞って設計された。高速で操作する際の横方向のパフォーマンス(最大横加速度)は、主にダウンフォースの結果として、SF90 ストラダーレとの比較で9%向上している。その上、ロール率は10%低下しているため、より優れたボディ制が約束されている。

発生ダウンフォースがSF90 ストラダーレより大幅に増加し、結果的に制動速度も上がったため、SF90 XX ストラダーレではブレーキ・システムもアップグレードされた。フロントのエアロ・キャリバーは受け継いでいるものの、フロント・ディスクは冷却向上のため完全に再設計され、リア・ディスクは直径390mmに拡大。ブレーキ・パッドも新設計で、接触面を最大化して座係数を引き上げている。

エクステリア
SF90 XX ストラダーレは、SF90 ストラダーレの究極形だ。そのため、設計基準はサーキット専用モデルのものとし、公道使用の承認を得られるよう調整されている。とはいえ、SF90 XX ストラダーレは単なるスペシャル・バージョンではない。XXモデルとして初めて、ファクトリーのゲートを出て、跳ね馬が誇るサーキットでのテクノロジー、空力効率、パワーの頂点を、公道に持ち込むモデルなのだ。

フラヴィオ・マンゾーニ辛いるフェラーリ・スタイリング・センターは、SF90 XX ストラダーレのデザインにあたって、SF90 ストラダーレと同じエンジニアリング理念を採用し、それを新たな極限に押し上げた。スタイリング・センターと技術部門の密接な連携によって、オリジナルモデルのダウンフォース増大を最大の目標に据えて、大幅な変更が施された。

コンセプトの点では、あらゆる面で紛れもなくXXモデルだ。一層シャープでラディカルなデザイン要素が結実し、過激な個性がさらに増している。SF90 XX ストラダーレの各スタイリング要素は、先代モデルのビュアなラインとフォルムを損なうことなく、サラブレッドとしてのパフォーマンスを強調するようデザインされている。

エア・インテークやベントを隠さないことにしたのも、それがレーシングカーのスタイリングに不可な要素だからだ。技術的ソリューションが個性的要素となっている一例として、前後フェンダーに装着する3個のルーバーがある。これは、「F12tdf」でも見られたように、フェラーリのスタイリングではおなじみの要素だ。

SF90 XX ストラダーレのデザインで最も特徴的な要素は、間違いなくリアウィングだろう。テールのフォルムは空力を念頭に再デザインが施され、一層流麗になり、レーシングカーに典型的なロングテールのシルエットとした。インタークーラー用エア・インテークも拡大され、さらに効率的に空気をラジエータ一へ送り込む。

矢の形をしたフロント・ウィングというコンセプトは、SF90 XX ストラダーレでも変わらない。上部輪郭がさらに低くなったヘッドライトは、縦型の外部ウィング形状を生かして、この部分に組み込まれた。これによって、一層幾何学的ともいえる印象が生まれ、新モデルの精神を象徴している。フロントで特徴的な新要素となっているのが、左右のエア・インテークを占める堂々たるウィング形状だ。宙に浮いて見える効果によって、他のどのモデルよりも車幅が広く、アスファルトに低く吸い付いた印象を生み出している。

車両後部を特徴づけるのが、テールのトライマラン(三胴船)のデザインだ。SF90 ストラダーレに比べ、SF90 XX ストラダーレではタイヤ後方のリア・ベントが一層際立っている。トライマランの中央部には、2本出しのエグゾーストも組み込まれている。この部分のデザインはリアの印象的な幅の広さを視覚的に強調することを目指し、重層的コンセプトによって実現した。

第1の層は固定リアウィングで、このソリューションが公道走行可能なフェラーリに採用されるのは1995年のF50以来。第2の層はライトバーを取り囲むボディカラーの部分で、SF90 ストラダーレのツイン・テールライトとはまったく異なるコンセプトとなった。第3の層はSF90でも見られたブロウン・スポイラーで、これはシャットオフ・ガーニーの名で知られるアクティブ・エアロのコンセプトと相み合わされている。

カーポン・ファイバー製のエレメントは、車両全体にわたってボディカラーのエレメントから浮き出ているが、最も目を引くのは車体下部で、このモデルの技術的側面を強調している。ほかにも印象的なのが、角の丸い四角形のエア・ベントで、フロントのボンネットとリアのエンジン・カバーに位置し、実質的にリバリーの一部となっている。これらは、差し色となるようデザインされており、たとえばカーボン・ファイバー製リアウィングの翼端板と調和している。また、ホイール・リムは特殊な星形で、空力的な形状が際立っている。

インテリア
SF90 XX ストラダーレのインテリア・デザインの指針は、レースというコックピットの使命を強調することだった。そこで、大きな軽量化をもたらす部分に絞って開発を行った。主にはドアパネル、センタートンネル、フロアマットで、形状と素材をよりシンプルにし、高機能ファブリックを中心にしつつ、機能的な部分にはカーボン・ファイバーを使用している。ダッシュボード上部はアルカンターラで、下部は高機能ファブリックでトリミングした。いずれもレースの世界をインスピレーションとするものだ。

ドアパネルは、SF90 ストラダーレで見られたテーマを際立たせ、ダッシュボードと繋がるくぼみを色の対比で強調。一方、中央部の3つのルーバーは、ホイールアーチのエア・ベントと呼応しており、全体にダイナミックで彫刻的な印象を生み出している。エクステリアの要素を反映したこの3つの開口部には、まったく新しいスタイリング手法を駆使して、技術的要素や操作機能がシームレスに組み込まれている。

サイズを抑えたセンタートンネルは、見た目だけでなく、並外れて軽量だ。ここを占めるシフトゲートは、SF90 ストラダーレの配置よりセンタートンネルの中央、前寄りにある。ウィンドウのスイッチとキー・コンパートメントは、第2の階層に配置された。このスタイリング・テーマを特徴づけているのが、機能的な空白と構造的な立体をスタイリッシュに組み合わせた点で、センタートンネルにスポーティーかつ洗練された魅力を与えつつ、その機能性も強調している。

特殊なレーシングシートは、外から見えるカーポン・ファイバー製チューブラー構造とクッション・サポートを備える。快適性を犠牲にすることなくスポーツ走行の楽しさを強化するよう、このモデルのために特別に設計された。バックレストの角度調整メカニズムはシートに組み込まれ、伸縮性のあるトリム素材を使ってバックレストと座面の境界を隠している。つまり、一体型シートのように常にシームレスに見える構造だが、バックレストの調整も可能なのだ。カーボン・ファイバー製構造に加え、この特徴によってSF90 ストラダーレの一体型シートから重量を1.3kg減できたという。

SF90 XX スパイダー
SF90 XX スパイダーでフェラーリ・スタイリング・センターは、リアに加えられた変更を利用し、ひと目でそれとわかるアーキテクチャーを生み出した。大変人気のあるフェラーリの伝統、リアのフライング・バットレスと、フロントの矢のテーマとをシームレスに調和させたのだ。その結果、ボディが前方に伸びて見える視覚効果が生まれ、SF90 XX ストラダーレとはまったく異なる印象となった。

車両の重心も下がって見え、特にサイドビューで顕著だ。これはルーフ部分の効果だけではない。ウインド・スクリーンがラップ・アラウンド形状で、サイド・ウィンドウにシームレスに溶け込み、フライング・バットレスがSF90 XX ストラダーレより低いためでもある。ルーフを格納すると、ほかのポディワークからロールバーが突き出すが、ロールバーはカーボン・ファイバー製のため、フライング・バットレスが作り出すワイドで低い印象を損なわない。むしろ、車両全体の低さが視覚的に強調されるのだ。

ルーフを展開すると、ロールバーはルーフ・ストラクチャーとシームレスに接続して、一体化する。ロールバ一同様、ルーフもカーボン・ファイバー製だ。フェラーリの名高い「リトラクタブル・ハードトップ(RHT)メカニズム」によって、車速45km/hまでは走行中でもわずか14秒で開閉でき、あらゆる天候で車両を存分に楽しむことができる。

7年間正メンテナンス・プログラム
卓越した品質基準と、さらなるカスタマー・サービスの充実を重視するフェラーリでは、SF90 XX ストラダーレと SF90 XX スパイダーの両モデルに7年間の純正メンテナンス・ブログラムを用意している。フェラーリの全ラインナップを対象としたこのプログラムは、最初の車両登録から7年間、顧客のフェラーリのパフォーマンスと安全性が最高の状態で維持されるべく、すべての定期メンテナンスを保証するフェラーリならではのサービスだ。この特別なサービスは、認定中古車を購入した顧客も利用できるものだという。

定期メンテナンス(20,000kmごと、もしくは毎年1回。走行距離制限なし)では、純正スペアパーツおよび最新の診断テスターを使い、マラネッのフェラーリ・トレーニング・センターで研修を受けた有資格者による詳細な検意を受けることができる。これは純正メンテナンス・プログラムの魅力のひとつに過ぎない。このサービスは、全世界の市場で展開する正規ディーラー・ネットワークにて利用できる。

マラネッロで製造された車両が誇る、優れた性能とすばらしさの維持を願う顧客に向けて、フェラーリはこれまで展開してきた幅広いアフターセールス・サービスに加えて、この純正メンテナンス・プログラムを導入し、さらなるサービスの向上に努めていくという。

◆「SE90 XX Sストラダーレ」技術諸元
・パワートレインタイプ
 総排気量:V8-90°/ツインターボ
 ボア・ストローク:3,990cc
 最高出力*:88mm×82mm
 最大トルク:586kW(797cv)/7,900rpm
 最高許容回転数**:804Nm/6,250rpm
 圧縮比:9.54:1
 比出力:200cv/L
・ハイブリッド・システム
 電気モーター最高出力:171kW(233cv)
 バッテリー容量:7.9kWh
 EV航続距離:25km
・サイズ&重量
 全長×全幅×全高:4,850mm×2,014mm×1,225mm
 ホイールペース:2,650mm
 フロント・トレッド:1,683mm
 リア・トレッド:1,674mm
 乾燥重量***:1,560kg
 乾燥パワーウェイトレシオ:1.51kg/cv
 重量配分:44%フロント/56%リア
 燃料タンク容量:68L
・タイヤ&ホイール
 フロント:255/35 ZR F20
 リア:315/30 ZR F20
・ブレーキ
 フロント:CCM. 398×223×38mm
 リア:CCM. 390×263×32mm
・トランスミッション&ギアボックス:8速F1 DCT
・電子制御:eSSC(電子サイドスリップ・コントロール) 1.0、
      E4WD、SCM、FDE 2.0、EPS、ABS EVO
・パフォーマンス
 最高速度:320km/h
 0-100km/h:2.3秒
 0-200km/h:6.5 秒
 フィオラノラップタイム****:n.d.
・燃料消費量& CO2排出量:ホモロゲーション取得申請中
* エンジン出力は、国際単位系(SI)に従ってkWを用い、cvを並記。オクタン価98のガソリンを使用、動的ラム効果5cv
** オーバーシュート最高回転数:8,300rpm
*** 追加オプション装備車
**** フィオラノのラップタイムは国際メディア・テスト・ドライブ(IMTD)で計測の予定

◆「SF90 XX スパイダー」技術諸元
・パワートレインタイプ
 総排気量:V8-90°/ツインターボ
 ボア・ストローク:3,990cc
 最高出力*:88mm×82mm
 最大トルク:586kW(797cv)/7,900rpm
 最高許容回転数**:804Nm/6,250rpm
 圧縮比:9.54:1
 比出力:200cv/L
・ハイブリッド・システム
 電気モーター最高出力:171kW(233cv)
 バッテリー容量:7.9kWh
 EV航続距離:25km
・サイズ&重量
 全長×全幅×全高:4,850mm×2,014mm×1,225mm
 ホイールペース:2,650mm
 フロント・トレッド:1,683mm
 リア・トレッド:1,674mm
 乾燥重量***:1,660kg
 乾燥パワーウェイトレシオ:1.61kg/cv
 重量配分:44%フロント/56%リア
 燃料タンク容量:68L
・タイヤ&ホイール
 フロント:255/35 ZR F20
 リア:315/30 ZR F20
・ブレーキ
 フロント:CCM. 398×223×38mm
 リア:CCM. 390×263×32mm
・トランスミッション&ギアボックス:8速F1 DCT
・電子制御:eSSC(電子サイドスリップ・コントロール) 1.0、
      E4WD、SCM、FDE 2.0、EPS、ABS “EVO”
・パフォーマンス
 最高速度:320km/h
 0-100km/h:2.3秒
 0-200km/h:6.5 秒
 フィオラノラップタイム:n.d.
・燃料消費量& CO2排出量:ホモロゲーション取得申請中
* エンジン出力は、国際単位系(SI)に従ってkWを用い、cvを並記。オクタン価98のガソリンを使用、動的ラム効果5cv
** オーバーシュート最高回転数:8,300rpm
*** 追加オプション装備車

CARSMEET web編集部

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