アルファ・ロメオの実車のオーラを感じられる名作
今回は、マーキュリー(イタリア製)No.4-2アルファ・ロメオ・ジュリアTIのご紹介です。
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このミニカーは、資料によると1966年から製造され、我が国では1970年代初頭まで専門店で見かけることが出来たミニカーです。シャシーにはGIULIA TIとありますが、製造年からすると1965年にデビューした高性能版のジュリア・スーパーがモチーフではないかと思われます。
実車のアルファ・ロメオ・ジュリアは、ジュリエッタの後継車として1962年から変遷を重ね1977年まで生産された高性能ベルリーナ(4ドアセダン)でした。その性能は、小型の4ドアセダンの出立ちながら、スポーツカー用の1600cc(後に1300ccも追加)のDOHCエンジン、5速ギア、当時としては珍しい風洞実験にて空力を考慮しボディ設計をした非常に個性的なボディを纏ったとても斬新なスポーツセダンでした。
このミニカーは、私が中学1年~2年の1971~2年頃、行きつけのホビーショップで見かけ、後日小遣いを貯めて買いに訪れたときには、残念ながら売り切れてしまっており、それ以来約40年以上購入のチャンスが無く、約10年前に専門店でやっと購入が叶いました。
当時ショーウィンドーで眺めていたときと同じ赤いボディカラーに、何と当時買いそびれたショップの¥550のプライスシールも残っていました! 当時実際に買いそびれた個体とは断言出来ませんが、何か運命を感じさせられる出会いでした。
1970年代初頭の当時は、フランス・ディンキー製No.514のジュリア1600 TIのノーマル版と、その焼き直し版であるNo.1401ラリー仕様が未だ店頭で購入出来た時代で、私も購入しました。一方でフランス・ディンキー製のジュリアは、非常にリアルな造形で卒の無い、大人しい優等生的なディテールです。その作りに比べるとマーキュリー製は、少々粗削りな作りで、クオリティ的には劣りますが、特にフロントグリルの彫り深い造形と、シルバーの吹き漏れが醸し出す雰囲気に魅了されました。
前後バンパーがメッキの別パーツだったので、恐らくプラスチック製ではないかと思っていましたが、実際に購入して分かったことは、メッキされたダイキャスト製バンパーで、有り難い誤算でした。
また、ボンネットが開閉し、エンジンルーム内にはシルバーに塗られたダイキャスト製別パーツの彫りの深いエンジン、シャシーにも同様のオイルパン&ミッションが再現されています。その他アクションは、左右ドア開閉、スプリングサスペンションのみで、プラスチックにメッキされた冷却用の丸いホールが開いたホイールにやや太めのタイヤを履き、ややローダウン気味の車高等、フランス・ディンキー製と比べると、全体のプロポーションや作りは大味で大雑把な粗い作りですが、アルファ・ロメオの実車のオーラを感じられる名作だと思います。
尚、この個体は、当時の我が国では、版権の問題からマーキュリー・ブランドの使用が出来ない時代に輸入販売されたミニカーのため、ダイキャスト製シャシーのマーキュリーのロゴがグラインダーで削られ、その跡を黒くペイントされ、ノーマークの共通ボックスに入れられて販売されたミニカーです。いずれにせよ、私にとっては思い出を含め、とても気に入っているミニカーなので、これからも大切にコレクションして行きたいと思います。
この記事を書いた人
モデル・カーズ 「丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー天国」並びにRM MODELS 「TRAM&CARS」に執筆中。愛車は1987年から所有している丸餅(’71 FIAT500L改)と1999年から使用している’91 メルセデス・ベンツ300E-24 (W124-031)。ヌォーヴァ・チンクエチェントと50年以上コレクションし続けているミニカーの啓蒙と伝道が使命。