ダウンサイズして軽快な走りを実現!
トヨタ・セリカのカタログ……と言えば、前回は初代モデルの中期型とも言うべき時期のものをお見せしたが、今回は最後の世代のセリカをお見せすることとしよう。七代目、T230型系のセリカである。
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七代目となる最後のセリカは、1999年9月に発売された。ボディは従来存在していたコンバーチブルが廃止され、ハッチバック・クーペに一本化。そのルックスからも分かる通り、かなりダウンサイジングされている。そのためライトウェイトスポーツ的な性格が強まったのだが、当時のトヨタは「ライトな新感覚GT」であるとしていた。
エクステリアは先代の丸みを帯びたものから一変、シャープなラインが印象的なスタイリングに。初代のイメージを連綿と継承してきたフロントマスクは、先代で丸4灯ライトの顔つきへと劇的な変化を果たしていたが、この七代目ではさらに、縦長な三角形のヘッドライトが装着され、見る者を驚かせた。トヨタはこのスタイルを「軽快な走りを予感させ」る、「プラットフォームから一新して造形した」等と説明している。全長は短くなった一方、ホイールベースは先代より65mm長い。
レイアウトは以前と変わらずFFで、四輪駆動のGT-FOURは設定されない。搭載されるエンジンは直列4気筒DOHC 16バルブの1.8Lのみだが、2種類を用意。可変バルブタイミング機構のVVT-iを具えた1ZZ-FEは最高出力145psを発揮。一方の2ZZ-GEには、バルブリフト量もコントロールするVVTL-iが組み合わされ、こちらは出力190psであった。このふたつのエンジンはボア×ストロークが異なっており、2ZZ-GEの方がショートストローク型となる。
グレード構成はシンプルで、1ZZ-FEを搭載するSS-Ⅰと、2ZZ-GEを積むSS-Ⅱの2種類。サスペンションはどちらも前ストラット/後ダブルウィッシュボーンだが、SS-Ⅱにはフロントにスーパーストラット・サスペンションを装備する仕様も設定された。このスーパーストラットとは、マクファーソンストラットのロアアームを2本に分割(もう1本を追加したとも捉えられる)し、このロアアームとストラットを結ぶキャンバーコントロールアームを加えたもので、ステア時のキャンバー変化を抑えるなどのメリットがあり、先代のセリカでも採用されていた機構である。
登場3年後の2002年8月にはマイナーチェンジを行い、前後デザインの変更やディスチャージヘッドランプの採用(全車)、リニアコントロールバルブ付きショックアブソーバーの装着(除くスーパーストラット車)などが行なわれた。2005年1月には、ウィンカー位置の変更などの小改良を行ったが、クーペやスペシャリティカーの需要減には抗いがたく、2006年4月に販売を終了。セリカの歴史はここで終わったのである。
「STAGE DOOR(楽屋口)」と書かれたドアの前に佇むセリカ、夜の情景が表紙となる。インパクトのあるフロントマスクをここに持ってきているが、車両は左寄りに配置されて控えめだ。
ちょっと印象的には暗いカタログ…
さて、ここでお見せしているカタログは「内容は’99年9月現在のもの」と断り書きがあるので、実車デビューと同時に作られたものと思ってよいだろう。サイズは297×210mm(縦×横)、表紙を含めて全24ページである。
カタログの作りとしては特に変わったところはないが、判型的にはかなり縦長なのが印象に残るだろうか。紙の手ざわりもよく(再生紙を使用している旨注記されているが、全く気にならない)、表紙からも分かる通り写真も陰影強めに撮影されており、なかなか高級感がある。
とは言え、一般的にはこれは「暗い」というイメージにもつながることであり、また、男女のモデルも登場するもののあまり目立たない感じに配置され、スペシャリティという印象には乏しい。かと言ってスポーツ性が前面に押し出されているかというとそうでもないようで、言ってしまえば中途半端な仕上がりである。
これは当時のトヨタのリリース自体にも感じられる点で、前述の通り「ライトな新感覚GT」という触れ込みも、何だか意味不明である。由来、「新感覚」を謳う商品が本当に新感覚であった試しはない。これは言うべきことに困った時に使う売り文句なのだ。もっとも、セリカ自体のライトウェイトスポーツとしての完成度は高く、そうした意味で昨今では人気上昇中であるとも聞く。じっくりご覧になってお楽しみいただければ幸いだ。