ブリキ製シャシーはフロントのバンパー下部を実車同様に曲面で仕上げ、さらに横長のダクトを貫通させてリアル感を演出
今回は、フランス製J.R.D.(ジィー・エール・デー) No.116 シトロエンDS19のご紹介です。今から68年前の1955年の秋パリ・サロンにてセンセ-ショナルにデビューしたDS19をモチーフとして1958年から製造したフランス製のミニカーです。
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当時初代DS19をモデル化したミニカーは、ソリド ジュニア・シリーズ、フランス ディンキー、ノレブ、ミニオール、JEP、コーギー、ロンスター等多数存在しますが、個人的には、J.R.D.製のDS19を最も気に入っています。
その理由は、元々非常に個性的なDS19のボディデザインを、さらに大胆に表現したデザインセンスが素晴らしく、遠くから見ても一目でDS19とわかる程個性的なプロポーションだからです。
ミニカーの作りは、1950年代後半の作りのため、透明プラスチック製のウィンドウが装着された部分は、斬新ですが、シート、スプリング サスペンションも装着されない非常にシンプルな作りのミニカーです。
しかし、ブリキ製シャシーは、フロントのバンパー下部を実車同様に立体的曲面で仕上げ、さらに横長のダクトを貫通させてリアル感を演出しています。また、ボディとルーフを配色が美しい2トーンカラーにて塗り分け、ダイキャストホイールに履いた白いゴムタイヤと相まって、とても美しいミニカーを表現している部分も、当時のフランス製ミニカーの特徴です。
今回ご紹介する個体は、普通一体成形されたボディのヘッドライト、フロントグリル、前後バンパー等をシルバーの吹き付け塗装にて表現していますが、この個体は、それらを筆塗りで表現されています。
一般的に考えると、前オーナーが筆差しを行ったと判断出来ますが、モデラーがより実車に近づけるためにリアルに筆差しをするのではなく、前後バンパーのシルバーがシャシーにまで塗り残しがあり、特にリア・パネルのシルバーの塗りが実車にリアルでは無く、一面に着色されている部分も不自然に感じられます。
また、同社の一部車種にもそれらの部分を筆塗りした個体が確認出来るため、極初期もしくは極末期のオリジナルの仕様の可能性も否定出来ないため、個人的には極末期に使用された2CVセダンのセカンドモデルや、Ami6に使用されたオレンジのボディカラーの配色から、ブランドの終焉となる1962年の極末期の仕様ではないかと密かに想像しています。仮にそれらが筆差しされたノンオリジナルのミニカーであっても、私にとっては、とても気に入っているDS19のミニカーです。
尚、写真のミニカーは、ホワイトタイヤが劣化していたため、近年のリプレース・タイヤに履き替えています。また、シルバーの吹き受け塗装された一般の仕様と見比べて下さい。
この記事を書いた人
モデル・カーズ 「丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー天国」並びにRM MODELS 「TRAM&CARS」に執筆中。愛車は1987年から所有している丸餅(’71 FIAT500L改)と1999年から使用している’91 メルセデス・ベンツ300E-24 (W124-031)。ヌォーヴァ・チンクエチェントと50年以上コレクションし続けているミニカーの啓蒙と伝道が使命。