ポルシェ

【比較試乗】タイカンを追いかけろ! 激化するBEVサルーンの覇権争い「ポルシェ・タイカン・ターボS vs メルセデスAMG EQE53 4マチック+」

ポルシェといえば、以前はスポーティなクーペのイメージが強かったが、現在ではSUVやサルーンといった4ドアモデルも人気を博している。ここではそんな4ドアポルシェとライバルたちを比較することで、改めてそのスポーツ性能の高さを検証してみたい。まずはいち早くBEVとして登場してきたタイカンと、新興勢力のひとつでもあるメルセデス・ベンツEQEだ。

静粛性が際立つEQE、超スポーティなタイカン

環境負荷低減のためにはもはや避けては通れないというイメージが強い電動化。内燃機関の熱効率は究極まで進化して50%前後と言われるが、電気モーターは90%以上なのだから、限られた資源を大切に使うということを考えればBEVシフトは自然な成り行きだろう。ただし、現状はバッテリーの性能やコストは一般的な乗用車にとって十分とは言えず、普及への課題になっており、だからこそ電動化を推し進めたい国や地域は、ルールや補助金などで脱エンジンを促そうとしているわけだ。

ポルシェ初のBEVサルーンとなるタイカン。試乗車のターボSは最高出力761ps、最大トルク1050Nmを発生するモーターを搭載するトップモデルだ。タッチパネルを多用したコクピットは先進的なイメージで、シートのサポート性も高い。急速充電は150kWまで対応している。

そしてもうひとつ重要なのは、ユーザーが欲しいと思えるかどうかだ。コストは補助金でまかなえるとしても、運転していてもつまらないとなればBEVにいこうとは思えないはずだ。ところがBEVには、熱効率以外にも大きなメリットがある。音・振動が少ないこと、低回転から大トルクが出せること。この2つは高級車にとって理想的であり、古くから高級車用の良くできたエンジンは電気モーターのようだと形容されてきた。
いまのところバッテリーは重くて体積も嵩張るものの、床下に敷き詰めることで低重心になるからヨー慣性モーメントは低い(=曲がりやすい)。さらに、エンジンマウントによる揺動がないから挙動がスムーズで安定する。これらはシャシーの運動性能に多大なメリットをもたらす。
それらを現時点の最新テクノロジーで具現化し、ユーザーにBEVのメリットをわかりやすく伝えてくるのがメルセデス・ベンツEQEとポルシェ・タイカンだ。
メルセデス初のBEV専用プラットフォームで仕立てられたEQEは静粛性を極めている。エンジンがないのだから静かなのは当たり前だが、そのかわりに目立ってしまうロードノイズや風切り音、さらにはモーターやインバーターが発する些細なノイズも徹底的に封じ込めている。外界と隔絶されたカプセルに乗っているかのようで、不思議な感覚になるほどだ。

EQEは、EQSに続くメルセデスのBEVサルーン第二弾。AMG版となるEQE53には、最高出力626ps、最大トルク950Nmのモーターを搭載。コクピットには巨大なディスプレイのMBUXハイパースクリーンが標準装備されるなど、ラグジャリーな室内空間が与えられている。

エンジンのような躍動感がないものの、走り始めから頼もしいモーターの特性もメルセデスらしい。存在をあえて主張せず、縁の下の力持ちに徹するのが高級車に相応しいパワートレインなのだ。
エンジン車のファンにとって垂涎のブランドであるポルシェが、いち早くハイパフォーマンスなBEVをリリースしてきたことは意外だったが、タイカンを走らせていると環境対応のために仕方なく造ったのではなく、エンジニアがBEVの底知れぬポテンシャルを引き出すことに喜びを見出したのではないかと思わせる。RRの911は重量物のエンジンが後端に位置し、それが揺動して挙動に悪影響を及ぼすことが長年の悩みでもあり、997型のダイナミックエンジンマウントでようやくけりを付けたといった感があるが、BEVは生まれながらにして悩む必要がなく、優れた重量配分によって運動性能も高い。0→100km/h加速2.8秒という性能も含め、エンジン車ではあり得ないパフォーマンスを披露するのだ。
環境にいいか悪いかは置いておくとしても、高級車とハイパフォーマンスカーはもはやBEVでなければトップクラスになれないだろう。メルセデスはもともとエンジンの魅力を主張するブランドではないので、すんなりと受け止められる。一方のタイカンは、スポーティでハイパフォーマンスな4ドアサルーンとして上手に成立しているが、バッテリーが進化していくとピュアスポーツとしても十分な性能になるだろう。
エンジンのような情緒的な魅力さえ獲得できれば、スポーツカーもBEV一色に染まってしまうかもしれない。そんな末恐ろしささえ感じさせるのだ。

【SPECIFICATION】PORSCHE TAYCAN TURBO S
■車両本体価格(税込)=26,090,000円
■全長×全幅×全高=4963×1966×1378mm
■ホイールベース=2900mm
■車両重量=2295kg
■モーター最高出力=761ps(560kW)
■モーター最大トルク=1050Nm(107.1kg-m)
■総電力量=107.8kWh
■航続距離(WLTC)=412km
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:265/35R21、後:305/35ZR21

問い合わせ先=ポルシェジャパン TEL0120-846-911

【SPECIFICATION】MERCEDES-AMG EQE53 4MATIC+
■車両本体価格(税込)=19,220,000円
■全長×全幅×全高=4970×1905×1495mm
■ホイールベース=3120mm
■車両重量=2540kg
■モーター最高出力=626ps(460kW)
■モーター最大トルク=950Nm(96.9kg-m)
■総電力量=90.6kWh
■航続距離(WLTC)=549km
■サスペンション形式=前:4リンク、後:マルチリンク
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤサイズ=前:265/40R20、後:295/35R20

問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 TEL0120-190-610

リポート=石井昌道 フォト=篠原晃一 ルボラン2023年12月号より転載
LE VOLANT web編集部

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