当時でもほとんど商品化されておらず貴重な存在
今回は、シュコー マイクロレーサーNo.1047 PORSCHEのご紹介です。
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資料によると1962年から製造された1200 Hard Topと記されていますが、モチーフとなった実車は1956~1959年までの356AコンバーティブルDにソフトトップの代わりに取り外し可能なHT仕様の再現ではないかと思われます。
その根拠は、356AのコンバーティブルDのみ、このマイクロレーサー同様のサイドモールが付いていたからです。但し、リア・エンジンフードの縦型の通気孔が二つに増えた仕様は、1959年型からの356Bからなので、発売直前にこの部分のみ新型のB仕様に更新したのではないかと思われます。
以上の関係から、マイクロレーサーのポルシェの発売時期の1962年の記述が正しいのか、モチーフとした取材した実車が古かったのか、開発に時間が掛かり過ぎたのかは、今となっては謎のままです。
実際には、356Aから356Bへの進化は外観上でも相当変化があり、BタイプはAタイプに比べ、今までの曲面が多かったボディのディテールがよりシャープに進化し、特にへッドライトの位置が上がり、バンパーの形状も変わったため、ひと目で判別可能です。
尚、マイクロレーサーは過去に何回か復刻されましたが、これは当時のオリジナルモデルです。
改めてマイクロレーサーの説明を簡単にさせて頂きますが、1/40に近いスケールのこのシリーズは1960年頃からスタートし、ゼンマイ駆動で実際に走行出来るミニカーです。
同梱された鍵でボディサイドの穴からゼンマイを巻き、同ウィンドーから伸びたスティック状のものはストップ&ゴーのスイッチ、ボディ後部のダイヤルを回すことでフロントタイヤの操舵角度を調整出来る機構で、フロントバンパーには衝突時の緩衝を弱める目的のゴム製オーバーライダーも装着されています。
このポルシェ356 HTのミニカーは当時でも殆ど商品化されてなく、とても貴重な存在で、当時他にコレクトーイNo.1003のアンチモニー製ポルシェ356HTがあったくらいでした。
尚、ゼンマイ駆動の機構を持ったマイクロレーサーのポルシェ356 HTは、他のマイクロレーサーのセダンモデルに対し、キャビンが小さいため、ゼンマイが勢いよく巻き戻された時の衝撃で、コイルばねがフロントウィンドーに干渉してしまうため、走行させた個体の殆どはフロントウィンドーに干渉によって発生した亀裂が見受けられます。
最後に今回ご紹介した個体は、渋いブルーグレーのボディにアイボリーのHTの2トーンカラーの色合いとグレーのゴムタイヤとの色彩のマッチングに加え重厚な作りとの融合がとても気に入っています。
この記事を書いた人
モデル・カーズ 「丸餅博士のヴィンテージ・ミニカー天国」並びにRM MODELS 「TRAM&CARS」に執筆中。愛車は1987年から所有している丸餅(’71 FIAT500L改)と1999年から使用している’91 メルセデス・ベンツ300E-24 (W124-031)。ヌォーヴァ・チンクエチェントと50年以上コレクションし続けているミニカーの啓蒙と伝道が使命。