アイオニック5の弟分となるコンパクトSUV「コナ」。小さい体躯ながら後席スペースは十二分で、デザインも走りの味付けも、ひと味違った未来志向のBEV だ。早速、ステアリングを握った第一印象をお届けしよう！
この完成度、侮れないぞ！
2022年に日本市場に再進出したヒョンデは、BEVおよびFCEVのゼロエミッションビークルのみの展開、ディーラーを持たずにオンラインで販売するというユニークな戦略を立ててきた。さらに、これは特に謳ってはいないがお洒落感で推しているようにも思える。それは試乗やセールスアドバイス、整備、望めば特別な部屋で納車も受けられるカスタマーエクスペリエンスセンターを見ればわかる。横浜のセンターは工場をリノベーションした建物だが、ハイセンスで見学するだけでもワクワクするほどなのだ。
普通／急速充電ともにフロント正面に設置され、試乗車の「ラウンジ」の一充電走行距離は541kmを記録。
さらに、最初に日本上陸したアイオニック5、そして新たに発売されたコナともにエクステリアデザインが特徴的で、そのルックスだけで欲しくなってしまいそうだ。コナは前後とも左右のランプを一直線に結ぶシームレスホライズンランプが最大の見所で、なんとも未来的に映る。
アイオニック5はC／DセグメントのSUVで479万円～599万円。コナはひと回りコンパクトなB／CセグメントのSUVで399万3000円～489万5000円。日本市場のラインナップとしてはエントリーモデルということになる。
前後のドアを斜めに横断するようにZ型のプレスラインが入り、アグレッシブな印象を与える。面によるデザイン構成が主流となる中、、インパクトのあるアプローチと言える。
アイオニック5はなかなか良くできていたが、コナはそこまではいかないだろうと漠然と想像していた。というのもアイオニック5はBEV専用プラットフォームだが、コナはエンジン車と共有のプラットフォームだからだ。
ところが走り始めてみると、エンジン車をベースに仕立てたBEV特有の粗さなどはなく、想像を上回るスムーズで快適な走りを披露したのだから驚いた。日本仕様としてセッティングされたサスペンションは、街中や郊外路で乗り心地が良く、ワインディングロードではきっちりとした操縦安定性をみせる。良くできた欧州コンパクトのようなのだ。じつはこのプラットフォーム、まずBEVありきで設計・開発されたのだという。BEVにとって最適なレイアウトや重量配分などが考慮されたうえで、エンジン車にも展開していったのだ。なるほど、それで走りが良く、パッケージにも床が高いなどの無理がない。
未来的なデザインが採用されたインテリア。ホーンボタンにはあえて「HYUNDAI」を記さず、シンプルなデザインを主張したそう。
モーターは最高出力150kW（204ps）、最大トルク255Nm。ハイパフォーマンスモデルではないが、1790kgのボディに対しては十分な力感の持ち主だ。ゼロ回転から最大トルクを発揮できるのがモーターの強みであるとともに、それのFWDとなるとちょっとしたウィークポイントにもなりうる。ホイールスピンが多かったり、トルクステアが出たりするからだ。ためしに、発進時にアクセルを強く踏み込んでみると、コナは何事もなかったようにスムーズに、そこそこの速さで加速していった。ただし、フルに力を発揮しているとは思えなかったのだが、ドライビングモードをノーマルからスポーツに切り替えると途端に元気になった。それでもトラクションコントロールの制御が緻密でタイヤが滑り始めるギリギリのところで猛然とダッシュ。トルクステアも最小限だ。
バンパー脇に縦型のヘッドライトを配置。フロントマスクを横一線に横断するするLEDライトと相まって、未来的なフロントフェイスを構成する。
モーターは低回転で力強い反面、速度がのってくると頭打ち感が出てくるものだが、コナは伸びやかに思えた。走行時に仮想エンジン音がスピーカーから流すエレクトリックアクティブサウンドデザインの効果が大きく、高速域でも気持ち良く加速していく感覚があるのだ。絶対的なパフォーマンスはそれほど高くはないのだが、スポーティに走らせても心地いいのだった。
AR（拡張現実）表示が可能なカーナビなど独自の先進性もあるコナ。世界市場では販売台数3位に躍り出たヒョンデの実力は侮りがたいものがあるのだ。
【Specification】ヒョンデ・コナ・ラウンジ
■車両本体価格（税込）＝4,895,000円
■全長×全幅×全高＝4355×1825×1590mm
■ホイールベース＝2660mm
■トレッド＝前：1590、後：1600mm
■車両重量＝1790kg
■モーター形式／種類＝EM16／交流同期電動機
■モーター最高出力＝前：204ps（150kW）/5800-9000rpm、後：ー/ ー
■モーター最大トルク＝255Nm（26.0kg-m）/0-5600rpm、後：ー/ ー
■バッテリー種類＝リチウムイオン電池
■バッテリー容量＝64.8kwh
■一充電航続可能距離（WLTC）＝541km
■サスペンション形式＝前：マクファーソンストラット／コイル、後：マルチリンク／コイル
■ブレーキ＝前：Vディスク、後：ディスク
■タイヤ＝前後：235/45R19
問い合わせ先＝HYUNDAIカスタマーセンター TEL0120-600-066
