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【比較試乗】ミドルクラスの決定版!ベスト3シリーズを探せ!BMW320i vs 320d xDriveツーリング vs M340i xDrive vs M3コンペティションM xDrive vs M3コンペティションM xDriveツーリング

「駆けぬける歓び」を標榜するBMWにおいて、そのマスターピースといえるのが3シリーズだろう。ここでは現行の3シリーズをMモデルも含めてイッキ乗り、各モデルを○と×でさらに深掘りした。その上でベスト・オブ・3シリーズはどのモデルなのか、その真価を探ってみよう。

3シリーズの究極目標はドライビングプレジャー

2019年、第7世代となる現行型の3シリーズが日本市場に投入された。その際の取材メモを読み返してみると、興味深い内容が残っていた。プロダクトマネージャーは、自信を持って「BMWジャパンは単なるインポーターではありません。主要6カ国のマネージャーが開発に直接関わりそのメンバーになっていました」と語っていたのだ。まさにその通りであり、当初の320iは日本市場専用に開発されたモデルだった。
さらに、高度な運転支援に向けた開発に取り組んでいた中で「究極のドライビングプレジャーを提供したいという各国のマネージャーの思いに迷いはありませんでした」とのこと。そう、3シリーズは生まれながらにしてスポーツセダンだったわけだ。

BMW 320i EXCLUSIVE/○4人乗車でもゆとりある室内、×装備差はあるが初期より155万円高。

その後、3シリーズはエンジンやサスペンションなどの重要コンポーネンツを含め継続的な進化をして現在に至る。ただ、基本性能については導入の段階で徹底的に鍛え上げられていた。ボディはサイズを拡大しながら55kgの軽量化を達成し、それでいながらフロント周りの剛性は50%も向上。ホイールベースが長くなったため、直列4気筒エンジン搭載モデルの場合は完全にフロントミッドシップ化。トレッド拡大とともに重心が10mm下がった。したがって、良質なドライビングプレジャー提供の条件が整っていたことになる。
実際に、主力モデルとなるセダンの320iはMスポーツではなかったが、ステアリングを切り始めた瞬間からスッキリした手応えにより応答性の正確さが確かめられる。こうした軽やかな印象が大切で、初期型で気になった少しばかりマッタリした切れ味は進化の繰り返しにより改善されている。

BMW 320i EXCLUSIVE/ボディ全長は4720mmとDセグメントとしてはコンパクト。車高は1440mmと低めで全幅は1825mmと広すぎない。直列4気筒エンジンを前車軸よりも後ろに搭載するフロントミッドシップだ。

改善といえば、2Lの直列4気筒ターボエンジンについても同様だ。一時期だけ高回転域で硬質なエンジン音を発することがあり、パワーの頭打ちも早かった。試乗車は相変わらず硬質な音が残っていたが耳障りではなくなり、パワーは6400rpmでシフトアップされるまで持続し加速が伸びやかだ。積極的なアクセル操作を促す、BMWらしい誘いかけの巧みさを取り戻していた。
ワゴンボディを持つツーリングの320dは、セダンと変わらない剛性を確保している。ボディ後部に隔壁がなく筒抜けになっているが、テールゲートの開口部を強化。その分だけ車重は上乗せされるものの、剛性への影響を回避。そのため、ワゴンで問題になりがちなリアからロードノイズが侵入してくるような感じがしない。

BMW 320d xDrive TOURING M SPORT/○パワー感際立つ迫力のエンジン音、×ツーリングにはPHEVがない。

むしろ、3シリーズはセダンを含めDセグメントとしては優れた遮音性を実現。試乗車はグリップ力の高さも重視したタイヤを装着していたが、ロードノイズは静粛性を重視したタイヤを履くセダンと同等だった。路面がザラついていてもゴーッというロードノイズの音量が抑制され、響くこともないので騒がしさとは無縁だ。
しかも、Mスポーツサスペンションを装備していても乗り心地を損なうことがない。設定が引き締まっていても、サスペンションに余計なフリクションがなくスムーズに動くからだ。なおかつ、高剛性ボディが振動の残りを抑え込むので乗り味もスッキリしている。

BMW M340i xDrive/○胸のすくようなパワフルな加速、×1000万円超えの価格。

また、車重は駆動方式の違いもありセダンよりも190kgも増しているが、320dであれば走りの負担を意識しない。2Lの直列4気筒ディーゼルは、従来型のシングルターボが低圧用と高圧用を組み合わせるツインターボに進化。アクセル操作に対する応答の遅れがなくなり、最大トルクは400Nmに達するので日常的な場面でも力強さの余裕が実感できる。最高出力は、320iの184psを超える190psを発揮。ディーゼルであることを忘れる鋭い加速が、5000rpmに迫りそうな勢いで持続する。

臨場感タップリに伝わるM340iの高回転特性

3シリーズの最強モデルは、3Lの直列6気筒+ターボを搭載するM340iだ。最高出力は387psを発揮し、最大トルクは500Nmに達する。アクセル操作に対して瞬時に応答するので、320iのつもりでアクセルを踏むとトルクが塊になって飛び出してくるように感じるほどだ。もちろん、この特性には程なく慣れるので圧倒的な力強さを余裕として活用することが可能だ。
その一方で、アクセルを踏み続ければトルクに回転数をかけ合わせてパワーを稼ぎ出す実感が際立つ。走行モードがスポーツならアイコニックサウンドが作動し、エンジン音の刺激を演出。音量が増すだけではなく、魂動の輪郭がクッキリしてくる。それだけに、その密度が高まりクォーンという連続音に変わることで、タコメーターに視線を飛ばすまでもなく回転数の上昇ぶりを臨場感タップリに伝えてくる。そして、6700rpmまで一気に吹き上がる。

BMW M340i xDrive

ちなみに、強大なトルクを発揮する320dやM340iは駆動方式に4WDのxDriveを組み合わせる。理由は、力強さを余すことなく路面の伝えるためだ。
さらに、別の効果ももたらす。高速域でアクセルを踏み込むと、FRの3シリーズは直進時にステアリングの落ち着きに物足りなさを感じることがある。見方を変えれば、だからこそ切り始めから正確な操縦性が確かめられる。とはいうものの、こうした場面でフロントにも駆動力を配分するxDriveはステアリングが直進状態にシッカリと座っている印象が得られる。それでいて、正確な操縦性はそのまま維持される。

M3ツーリングはセダンとの違いがわずか

M3コンペティションのセダンとクーペも、専用設定のM xDriveを組み合わせる。理由はM340iなどとは異なり、3Lの直列6気筒ツインターボは最高出力が510psで、最大トルクは650Nmを発揮するだけに、それをFRで受け止めるにはサスペンションを極端に引き締めるといった対応が必要になる。それを回避するための、駆動方式というわけだ。
ボディについては、3シリーズよりも強化しているだけに超高性能エンジンに対応する剛性を確保している。セダンとツーリングの差は、同じ機会に乗り比べて気づく程度だ。ロードノイズは、そもそも装着するタイヤの特性とし大きめなことも影響してツーリングの方が音を意識やすい。

BMW M3 COMPETITION M xDrive SEDAN(左)○路面を気にせず踏める駆動制御、×エンジン音が微妙に控えめ。BMW M3 COMPETITION M xDrive TOURING(右)○セダンとの差は直接比較時だけ、×ルーフがCFRPではない。

ところが、エンジン音では逆に優位性がある。ツーリングは、アクセルを踏むと中回転域からクォーンという音を響かせ、高回転域にかけてカァーンという感じに音が澄んでくる実感が増すからだ。Mハイパフォーマンスモデル専用の高回転型エンジンが、レブリミットの7200rpmを極める瞬間を実感しやすくなる。
注目したいのは、セダンとツーリングで加速感がわずかに異なることだ。前後重量配分は、セダンが53対47だ。ツーリングはリア周りのボディ強化により重量が増すため、51対49となる。2ポイントの差であっても、ツーリングはリアの荷重が上乗せされタイヤのグリップ力が増す効果が伝わってくる。アクセルを踏み込むと、後ろから押し出されるようなFRにも通じる加速感がある。

BMW M3 COMPETITION M xDrive TOURING(左) vs SEDAN(右)

セダンは、試乗時がウェット路面だったこともあり、M xDriveの完ぺきな駆動配分制御により後ろから押し出されるだけではなく前からも引っ張られる加速感が重なる。4輪で路面に食いついていることが伝わり、走りの信頼感に結びつくのだ。
さて、3シリーズは冒頭で書いた通りに究極のドライビングプレジャーを提供してくれるモデルだった。さらに、日本市場を重視した仕様設定により当初から高度な運転支援装備を充実させていたことも見逃せない。現在でも継続的に進化をしているだけに、Dセグメントの世界的なベンチマークとしての立場も揺るぎないといえるだろう。

【PERSONAL CHOICE】
BMW 320d xDrive TOURING M SPORT
2Lの直列4気筒ディーゼルが発揮する充実したトルクにより日常の運転がラク。しかも優れた燃費を実現し燃料代も安くお財布に優しいモデル。しかも積極的な操作をすればドライビングプレジャーはまさにBMWだ。

【SPECIFICATION】BMW・320iエクスクルーシブ
■車両本体価格(税込)=6,780,000円
■全長×全幅×全高=4720×1825×1440mm
■ホイールベース=2850mm
■トレッド=前:1575、後:1590mm
■車両重量=1550kg
■エンジン形式/種類=B48B20A/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1998cc
■最高出力=184ps(135kW)/5000rpm
■最大トルク=300Nm(30.6kg-m)/1350-4000rpm
■燃料タンク容量=59L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=13km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前;ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:225/50R17

【SPECIFICATION】BMW・320d xDriveツーリングMスポーツ
■車両本体価格(税込)=7,560,000円
■全長×全幅×全高=4725×1825×1455mm
■ホイールベース=2850mm
■トレッド=前:1585、後:1570mm
■車両重量=1740kg
■エンジン形式/種類=B47D20B/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1995cc
■最高出力=190ps(140kW)/4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1750-2500rpm
■燃料タンク容量=59L(軽油)
■燃費(WLTC)=15.5km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:225/45R18、後:255/40R18

【SPECIFICATION】BMW・M340i xDrive
■車両本体価格(税込)=10,740,000円
■全長×全幅×全高=4725×1825×1440mm
■ホイールベース=2850mm
■トレッド=前:1580、後:1570mm
■車両重量=1730kg
■エンジン形式/種類=B58B30B/直6DOHC24V+ターボ
■総排気量=2997cc
■最高出力=387ps(285kW)/5800rpm
■最大トルク=500Nm(51.0kg-m)/1800-5000rpm
■燃料タンク容量=59L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=10.6km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:225/40R19、後:255/35R19

【SPECIFICATION】BMW・M3コンペティションM xDriveセダン
■車両本体価格(税込)=14,100,000円
■全長×全幅×全高=4805×1905×1435mm
■ホイールベース=2855mm
■トレッド=前:1615、後:1605mm
■車両重量=1800kg
■エンジン形式/種類=S58B30A/直6DOHC24V+ターボ
■総排気量=2992cc
■最高出力=510ps(375kW)/6250rpm
■最大トルク=650Nm(66.3kg-m)/2750-5500rpm
■燃料タンク容量=59L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=9.8km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前275/35R19、後285/30R20

【SPECIFICATION】BMW・M3コンペティションM xDriveツーリング
■車両本体価格(税込)=14,200,000円
■全長×全幅×全高=4805×1905×1450mm
■ホイールベース=2855mm
■トレッド=前:1615、後:1605mm
■車両重量=1870kg
■エンジン形式/種類=S58B30A/直6DOHC24V+ターボ
■総排気量=2992cc
■最高出力=510ps(375kW)/6250rpm
■最大トルク=650Nm(66.3kg-m)/2750-5500rpm
■燃料タンク容量=59L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=9.8km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:ストラット/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:275/35R19、後:285/30R20

問い合わせ先=BMWジャパン 0120-269-437

フォト=篠原晃一 ルボラン2024年3月号より転載
萩原秀輝

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