メルセデス・ベンツ

【国内試乗】3列シートの7人乗りを設定。内外装デザインを刷新したプレミアムSUV「メルセデス・ベンツ GLE」

アッパーミドルSUVの筆頭、GLEが昨年マイナーチェンジを受けた。現在、SUVタイプとクーペSUVの2ボディタイプをラインナップするが、今回は、新たに3列シートの7人乗りを設定したGLEを試乗した。

最新メルセデス流に内外装をアップデート

Mクラスは(Gクラスを除けば)メルセデス・ベンツ初のオンロード性能を重視した量産型SUVで、その登場は1997年にまでさかのぼる。当時は北米で空前のSUVブームが巻き起こっていた頃。そこでメルセデスはわざわざ生産工場をアメリカ・アラバマ州に新設。「ML」と呼ばれた初代は開発期間の短縮とコスト削減、北米重視の機能と装備という、それまでのメルセデスとはまったく異なるクルマ作りを余儀なくされた。そうした背景もあり、初代は動的/静的クオリティがラグジャリーブランドのメルセデス品質に遠く及ばず、ブランドイメージを大きく下げることになった。そして二代目からはメルセデス本来の流儀に沿った開発に戻した。

先代のGLE 400 d 4マチックおよびGLE 400 d 4マチッククーペにもマイルドハイブリッドシステムのISGを組み合わせたことで、全モデルが電動化された。

いまではGLEを名乗るこのモデルはエンジンを縦置きにするSUV専用のプラットフォームを使用。現行型は2018年にデビュー、翌年から日本での販売が始まった。昨年にはマイナーチェンジを受けている。エクステリアでは、ヘッドライト/グリル/フロントバンパー/テールライトなどのデザインが刷新され、インテリアでは最新世代のステアリングの採用、ブルメスターサラウンドサウンドシステムの標準装備化など、装備や機能面の充実が図られた。

よりシャープでメルセデスSUVの統一感ある新デザインのヘッドライトをはじめ、SUVらしさを強調した新デザインのフロントバンパー、テールライトをはじめ、力強さとスポーティネスを表現したエクステリアデザインを採用。

パワートレインは昨今のメルセデスの戦略に則ってすべてのユニットが電動化された。従来型のGLE400dおよびGLE400dクーペのエンジンはISG仕様となり、GLE450d、GLE450クーペとして生まれ変わっている。この他のパワートレインは、ノーマルボディに2Lの直列4気筒ディーゼルを搭載した300d、ノーマルボディとクーペの両者にAMG534マチック+とAMG63S4マチック+が用意されている。ガソリンエンジンを選ぼうとするとAMGしかないという、かなり割り切った日本仕様のラインナップである。

インテリアは上質な素材をあしらったラグジャリーで広々とした空間を演出。新世代ステアリングを採用し、ARナビゲーションシステムを標準装備。

今回の試乗車はもっともベーシックなGLE300d 4マチック。現時点ではこのグレードを選択するとレザーエクスクルーシブパッケージとAMGラインパッケージが標準装備となるそうで、ソリッドなボディカラーのアルペングレー(48万円)のみをオプション装着している個体となる。
GLEのインテリアは、センターコンソールに装備される大きなアシストグリップが特徴だ。オンロード重視のクルマのように思われるが、実はオフロードの走破性もしっかり備えている。「トランスペアレントボンネット」は、ディスプレイにフロント部下の路面の映像を仮想的に映し出す機能。わざわざ降車しなくても路面状態が確認できるようになっている。さらに「オフロードスクリーン」と呼ばれる、オフロード走行に必要な情報が表示されるグラフィックも用意されていて、アシストグリップが必要な路面でも運転に集中できるのだ。

GLE SUVには、3列目シートが備わり7人乗りにも対応することが可能。通常はトランクスペースとして格納されている。

GLE300dが搭載するエンジンは、2Lの直列4気筒ターボだが、269ps/550Nmという、日常走行では必要にして十分の出力とトルクを発生する。ISG仕様なのでモーターによるサポートもあるから、高速道路での追い越しや発進時でもパワー不足はまったく感じられない。ディーゼル特有の音や振動もほとんどなし。極めて実用的なユニットである。
サスペンションは、日本仕様で唯一のコンベンショナルな形式。電子制御式ダンパーもエアサスも付いていないけれど、乗り心地は悪くなく、操縦性にも大きな不満はない。誰が運転しても安心して運転できるけれど、いまや数多とあるメルセデスのSUVの中で、秀でた印象に薄いのも事実である。

3列目シートを起こすと七人の乗車が可能となる。

【SPECIFICATION】メルセデス・ベンツ GLE300d 4マチック
■車両本体価格(税込)=13,760,000円
■全長×全幅×全高=4925×2010×1795mm
■ホイールベース=2995mm
■トレッド=前:1685、後:1730mm
■車両重量=2370kg
■エンジン形式/種類=直4DOHC16V+ターボ
■内径×行程=82.0×94.3mm
■総排気量=1992cc
■最高出力=269ps(198kW)/4200rpm
■最大トルク=550Nm(56.1kg-m)/1800-2200rpm
■モーター形式/種類=EMA0023/交流同期電動機
■モーター最高出力=20ps(15kW)/2500rpm
■モーター最大トルク=208Nm(21.2kg-m)/100rpm
■燃料タンク容量=85L(軽油)
■燃費(WLTC)=14.2km/L
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:275/55R19

【SPECIFICATION】メルセデスAMG GLE53 4マチック+クーペ
■車両本体価格(税込)=18,050,000円
■全長×全幅×全高=4945×2020×1715mm
■ホイールベース=2935mm
■トレッド=前:1685、後:1710mm
■車両重量=2380kg
■エンジン形式/種類=直6DOHC24V+ターボ
■内径×行程=83.0×92.3mm
■総排気量=2996cc
■最高出力=435ps(320kW)/5800-6100rpm
■最大トルク=560Nm(57.1kg-m)/2200-5000rpm
■モーター形式/種類=EMA0024/交流同期電動機
■モーター最高出力=20ps(15kW)/1300-2500rpm
■モーター最大トルク=200Nm(20.4kg-m)/0-550rpm
■燃料タンク容量=85L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=9.5km/L
■トランスミッション形式=9速AT
■サスペンション形式=前後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:285/40R22、後:325/35R22
問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610

フォト=望月浩彦 ルボラン2024年3月号より転載

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