クルマの運転は、天気が良いときだけするものではありません。雨や雪、霧のときなど、悪天候でも運転をしなければならないときがあります。このような悪条件下での運転は、さまざまな危険が伴いますが、どのような危険性があるのでしょうか。今回は、悪条件下の運転の危険性や注意点などを実体験も含めて解説します。
悪条件下(悪天候時)に運転をする危険性
大雨や大雪、強風、霧、ゲリラ豪雨など、天候が悪いときの運転は、さまざまな危険が伴います。悪天候時には、周囲が暗くなったり、視界が悪くなったり、前方の状況を把握しづらくなったりすることが多いです。
また、路面がドライからウェットになったり凍結したりすることもあるため、クルマの挙動が変化することもあります。路面状況が変化すれば、タイヤのグリップ力も変わることから、制動距離(ブレーキが効き始めてから止まるまでの距離)が伸びたり、スリップしたりする可能性も高くなります。
さらに、風が強い場合には、ハンドルを取られることもあるため、台風のときや風が強いとき、トンネルの出口などでは、ハンドルを取られないよう気をつけなければなりません。
このように、悪天候時や悪条件下での運転は、晴天で路面が乾いているドライブ日和とはクルマの動きや操作に対する反応が異なるため、普段以上に慎重に運転する必要があります。
では、実際に急に視界が悪くなったり、路面状態が急激に変化したりすると、どのようになるのでしょうか。
ゲリラ豪雨の実体験
ここからは、筆者が実際に経験したゲリラ豪雨に入ったときのことをお話します。
ある日、クルマを運転していると、目の前の空の一部が灰色の雲で覆われ、雲の下が白い滝のようになっている部分がありました。筆者はすぐに「ゲリラ豪雨だ!」と理解し、なんとかして避けたいと考えたものの、目的地がゲリラ豪雨ゾーンの先だったこともあり、ゲリラ豪雨に突っ込んでいがなければならない状況でした。
クルマを進めると、徐々に灰色の雲と白い滝のような雨柱が近づくのがわかります。そして、ついにゲリラ豪雨ゾーンに侵入するときがきたのです。
ゲリラ豪雨の中に入った途端、雨粒がクルマを激しく打ちつけ、ワイパーを動かしても意味がないほど強い雨が襲ってきます。また、バケツをひっくり返したような強い雨により、前方の視界が悪くなり、前クルマが見えないほど視界が悪化しました。さらに、路面は水浸しになり、外気温や湿度の急な変化によりフロントガラスをはじめクルマの窓ガラスが曇っていきます。
視界が悪すぎることから、筆者は「このまま運転し続けるのは危険だ」と判断し、近くのコンビニの駐車場に入り、前方の交通状況が確認できる状態になるまで待ちました。
数分後、豪雨が小雨になって晴れ間が見えてきたため運転を再開。無事に目的地にたどり着くことができました。
このように、ゲリラ豪雨に入ると状況が急激に変化します。このゲリラ豪雨に入るという経験から学んだことは、「無理をしてまで運転はしない方がいい」ということでした。
運転の教科書「交通の方法に関する教則」における悪天候時の運転について
無理をしてまで運転しない方がいいとはいえ、運転しなければならないときはあります。悪条件下で運転するときに気をつけるべきこととは何なのでしょうか。ここでは、運転の教科書とも言える国家公安委員会が作成している「交通の方法に関する教則」に明記されていることを簡潔に紹介します。
【悪条件下での運転(国家公安委員会作成「交通の方法に関する教則」より一部抜粋)】
・雨の日:速度を落としたりクルマ間距離を普段(ドライ路面時)より長めにとったりする
・雨の日の山道:地盤が緩んでいる可能性が高いため路肩により過ぎないようにする
・雨の日の鉄板:工事現場、マンホール、橋の継ぎ目など鉄板は滑りやすいので注意する
・歩行者のそばを通るとき:泥や水を跳ねないように注意する
・雪道:スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを装着する
・雪道での運転:急操作を避け、クルマ間距離を長めにとる
・霧が発生したとき:フォグランプやヘッドライト(下向き)を点灯させ中央線・ガードレール・前クルマの尾灯などを目安に速度を落として運転する
・霧が発生したときの危険防止措置:必要に応じ警音器を使う
など
このように、交通の方法に関する教則には、運転時の注意が記載されています。
ここでは、「交通の方法に関する教則」の一部を抜粋したものを掲載しました。全文は「交通の方法に関する教則」の「悪天候など」をご覧ください。
また、クルマに雪が積もっているときは、雪を下ろしてから走り出しましょう。雪が屋根やトランクリッドなどに残っていると、走行時に雪を路面やフロントガラスに落とすことがあります。走行中に雪が落ちると、後続クルマのスリップを誘発したり、前方視界が塞がれたりするため大変危険です。
天候が悪いときは普段以上に運転に気をつける
大雨や大雪、強風、霧、ゲリラ豪雨など、天候が悪いときは、前方の視界が悪化し、運転に必要な交通状況の認知がしにくくなります。正しい認知ができなければ、その後に起こる交通状況の予測や判断、運転操作が遅れ、最悪の場合、交通事故になる場合もあるでしょう。また、天候や気温・湿度の変化により環境が変化すると、クルマの挙動にも影響を及ぼします。そのため、天候が悪いときは、晴天で路面が乾いているドライブ日和より慎重かつ丁寧な運転操作が必要だといえるでしょう。