海外試乗

【国内試乗】本格オフローダーにしてこの美しいシルエット。これだけで選ぶ価値ありです!「ランドローバー・レンジローバーヴェラール」

ご存知フリーアナウンサーの安東弘樹氏。本誌読者のみなさんなら、安東氏が相当なクルマ好きで、日本カーオブザイヤー選考委員として、自動車業界でも活躍しているのは周知の事実だろう。さて、安東氏がヴェラールを推す理由とは?

自分のクルマが一番という筋金入りの愛車愛

私の太鼓判はレンジローバー・ヴェラールです。
実はいまの自分の愛車でもあるので手前味噌で恐縮なのですが、基本的に私は、いつも自分のクルマが一番、と思っていますので当然と言えば当然の選択です。

これは初めての愛車、48回ローンで買った48万円の中古のシティーターボII時代からずっとそうでして、信号待ちで1000万円のクルマが隣に並んでも、「やはり俺のターボIIは良いなー」と実感していたので、私の愛車愛は筋金入りなのです(笑)。

2024年に内外装のデザインを一新し、ヴェラール初となるPHEVモデルを追加。モーターとガソリンのシームレスな走りを堪能できるのが魅力だ。

今回、テストしたのは2024年に内外装を一新したヴェラールのPHEVモデル。私のはいまや旧型!? になったヴェラールはマイルドハイブリッドディーゼルエンジンモデルですので、様々な意味で運転するのが楽しみではありました。

日本市場ではヴェラールとしては初めてのPHEVということで、まずはスペックチェックです。BEVやPHEVの場合、まず私は駆動用バッテリーの総電力量(以下バッテリー容量)をチェックします。公式サイトには、その記述がないのですが、資料によるとヴェラールは19.2kwhとの事。

自宅での充電時間は、7kWの普通充電器を使用して最大100%まで充電した場合、最短で2時間30分。WLTP電動最大航続距離は64kmだが、現実的な使用状況での想定値は51km。

これは軽自動車規格のBEVである日産サクラ、三菱ekクロスEVと同等ですので、モーター走行のみでの航続距離に期待出来ますが、公式サイトによる最大航続距離は64km。軽自動車の2台と比べると車重が2倍程度とはいえ、航続距離が少ないのが気になります。今回、実際に試乗する前の状態はバッテリー残量が83%で、航続距離は38kmという状態でした。

レギュラー番組の生放送を終え、局がある幕張の駐車場でヴェラールと対面です。相変わらず、エクステリアの均整のとれたプロポーションに感心します。外装色はヴァレジネブルーというグレーと青の間、といった色合い。

ヴェラール初となるPHEVには、2L直4インジニウムガソリンエンジンに、105kWを発生する電動モーターを組み合わせ、最高出力404ps/最大トルク640Nmを発揮。

しかし、ここでも愛車愛が顔を出し、正直「自分のヴェラールの色(紺色)の方が好きだな」と心の中で呟きましたが、声に出すのは止めておきました(笑)。
しかも今回の試乗車は内装色も濃いグレーで、私の愛車のアイボリーに近い明るい色の方が明らかに室内は広く感じます。何故か日本では黒や黒に準ずる色が好まれる様ですが、私は、いつも明るい色を選ぶので、ここでも愛車に軍配が上がりました。

11.4インチのフローティング式フルHDタッチスクリーンを備えた最新のインフォテインメントシステム「Pivi Pro」を標準装備。

さて基本的に慣れ親しんだクルマですが、インテリアの中で大きく新型になって変わったのが、クルマの機能を操作するモニターです。旧型はモニターが上下に分かれていて上のモニターはナビ画面やオーディオなど、エンターテイメントに関する機能の操作。下は空調や4駆制御やエアサスの操作など、走行や運転環境を調整する機能の操作と分かれており、これが個人的には非常に操作しやすく、とても気に入っています。
しかし現行型はひとつの大きなモニターに集約されており、これが私には少し使いにくかったと正直にお伝えしましょう。慣れもあるのでしょうが、物理ダイヤルがふたつだけ存在する旧型の方が直感で、しかも視線を逸らすことなく操作できるのです。新型はモニター上で全ての操作をタッチパネルで行なわなければならないので、必ず目をモニターに向けなければならず、ここは是非、旧型に戻して欲しいと切望します。

シートは立体的なクッションを採用し、サポート性が向上。

ヴェラールPHEVは戸建ての方にお勧め

今回は基本的にデフォルトのハイブリッドモードで走行しましたが、走り始めて暫くはモーターのみでの走行になりました。当然、ディーゼルモデルの愛車に比べて、格段の静粛性で、隣に座るル・ボラン本紙編集の方との会話も自然に出来ます。勿論、ディーゼルモデルも静かではありますが4時間の生放送を終えた後だけに、楽に会話出来るのは有り難いのひと言。

モーターだけで走っている時には勿論、システム出力404psは感じませんが十分な動力性能で、一般道ではもどかしさは感じません。モーターのみで走っているとトリップコンピューター上、燃費は徐々に上がっていきます。
走行を始めた時には10.5km/Lだったのが高速道路に乗る直前には数キロの走行で12km/Lまで向上。しかし高速道路に乗ると進入路でエンジンが掛かり、当然、燃費は下がります。しかし2L直列4気筒ターボエンジン自体も燃費が悪いわけではないので悪化は緩やかでした。

広大な荷室スペースは673Lの容量を確保する。

幕張から横浜の撮影場所までの60km程の行程は非常に快適で、高速道路でもエンジンが掛かっているかいないかを意識させられることもないほど静かに、滑るように走り、あっという間に目的地まで到着。ヴェラールの利点は、とにかく、この快適な高速走行性能。PHEVは、残念ながらエアサス仕様は選択出来ないのですが、エアサスの愛車と比べても乗り心地は遜色ありません。外装表面に凹凸がほとんどないからなのか風切り音も、かなり抑えられています。

2024年の内外装一新により、物理ダイヤルはタッチスクリーン内に集約され、すっきりとしたセンターコンソールが広がる。

そして、ディーゼル、ガソリン、PHEVとパワーユニットを選べるのも昨今では有難い要素のひとつです。日本市場のSUVで、この3種類を選べるのは希有で、輸入SUVのガソリンモデルの多くはBMWのMやメルセデスAMGなどのスポーツタイプのみ、という事が多いので、そういった特別モデル以外で、この3つが選べるのはマツダCX-60とこのヴェラール、さらにレンジローバーシリーズの弟分、イヴォークくらいなのです。
この先、特に輸入車は電動化が進んで行く事を考えると、まさに今が買い時かもしれません。このデザインが気に入っているのなら、また他の人と同じクルマに乗るのには抵抗がある、という私の様な、若干へそ曲がり要素がある方には、自信を持って太鼓判を押します。

センターコンソールの下には広い小物入れとワイヤレスチャージングを装備。安東氏のヴェラールには物理ダイヤルがあり、その使い勝手の良さを気に入っているため、この部分に関してはぜひ元に戻してほしい(笑)、とはご本人の弁。

ただしPHEVを購入する方は自宅で充電出来る設備は必須になってきますが、バッテリー容量は少なめですので、電気代の上昇は最低限で済みますし、特に夜間の充電でしたら、私の経験上、誤差の範囲ですので戸建ての方には特にお勧めしておきます。

【安東弘樹の推しポイント】とにかく美しいスタイリング

安東弘樹/デザイン上、奇をてらっている箇所は皆無ながら、全体のシルエットは流麗。この美しいシルエットは、このディメンションだからこそ実現可能なのです。市販車SUVの中で最も美しいクルマ。これだけで選ぶ価値ありです。

【SPECIFICATION】ランドローバー・レンジローバーヴェラール ダイナミック HSE P400e
■車両本体価格(税込)12,080,000円
■全長×全幅×全高=4820×1930×1685mm
■ホイールベース=2875mm
■トレッド=前:1640、後:1655mm
■車両重量=2290kg
■エンジン形式/種類=直4DOHC16Vターボ
■内径×行程=83.0×92.2mm
■総排気量=1995cc
■最高出力=300ps(221kW)/5500-6000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/2000-4500rpm
■モーター形式/種類=交流同期電動機
■モーター最高出力=142ps(105kW)/3650rpm
■モーター最大トルク=278Nm(28.3kg-m)/1000-3700rpm
■バッテリー容量=19.2kWh
■燃料タンク容量=54L(プレミアム)
■燃費(WLTC)=10.5km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:ダブルウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後:265/45R21
問い合わせ先=ジャガーランドローバージャパン TEL0120-18-5568

リポート=安東弘樹 フォト=郡 大二郎 ルボラン2024年6月号より転載
CARSMEET web編集部

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