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【海外試乗】新型5シリーズに待望のツーリングがデビュー。もはやMモデルは不要!? と思わせる動的性能「BMW 5シリーズ ツーリング」

昨年国内でもフルモデルチェンジが行なわれた5シリーズ・セダンだが、本国ドイツでは早くもステーションワゴンのツーリングが導入された。ここではミュンヘンにて行なわれた国際試乗会での模様をお届けしよう。

スタイリッシュで機能的、待望のワゴンモデル

新型5シリーズ・セダンが日本市場に導入されてから約1年となり、本国ドイツでは5月にステーションワゴンのツーリングが登場。早速ミュンヘンで行なわれた国際試乗会で、その走りを体験した。

BMW i5 eDrive40 Touring/ライフスタイルワゴンとしてのキャパシティは必要十分以上。

セダンの「G60」に対して「G61」というコードネームを持つ新型5シリーズ・ツーリングは、全長5060mm、全幅1900mm、全高1515mmで、先代モデルに対して全長が97mm、全幅は32mm、全高は17mm拡大。新型セダンとは、2995mmのホイールベースも含めて、全く同じ寸法となっている。

試乗車はフロントに255/35R21、リアは285/30R21のコンチネンタル・エココンタクト6を装着。

ラゲッジスペースは、5人乗車時で先代+10Lの570L、40:20:40で分割可倒する後席を倒せば、最大で先代と同じ1700Lまで拡大する。サイズ拡大の割にラゲッジ容量は大きく変わらない印象だが、ライフスタイルワゴンとしてのキャパシティは、完全に必要にして十分以上である。とてもスタイリッシュで機能的なアッパーミドルクラスのステーションワゴンと言っていいだろう。
ただし、残念な点もある。ニュー5シリーズ・ツーリングには、リアウインドーだけを開閉できるガラスハッチ機能がオプションでも備わらないのだ。

アダプティブLEDヘッドライトは全車標準。

歴代BMWのツーリングモデルに採用されてきたガラスハッチが、なぜ廃止されてしまったのか、開発エンジニアに訪ねたところ、エアロダイナミクスが最大の理由なのだという。
優れたエアロダイナミクスの追求は、現代の自動車開発で最も重要なポイントのひとつである。もちろんBMWのエンジニアも、新型5シリーズ・ツーリングの空力性能を向上させるべくボディ形状を調整した。

L字型LEDリアコンビランプは専用だ。

結果、リア周りの絞り込みが強くなり、リアウインドーが小さくなってしまい、ガラスの開閉に必要なヒンジを装着すると、後方視界が許容できないレベルまで悪化する事が判明。そのためガラスハッチを諦めたのだという。

今回はミュンヘン郊外にあるBMWの施設を起点に、アウトバーンと一般道を試乗。計4時間ほど新型5シリーズ・ツーリングのステアリングを握った。試乗モデルは、i5 eDrive40ツーリングと、i5 M60xDriveツーリングの、2台のBEV仕様だ。

新型i5ツーリングのヨーロッパ仕様は、11kWまたは22kWの家庭充電のほか、最大で205kWの急速充電に対応。10分間で最大149km走行分の充電が可能となっている。

ちなみにヨーロッパ市場では、BEVのi5ツーリングの他にも、2L直4ディーゼルターボを積んだ48Vマイルドハイブリッドの520d(2WD&4WD)と、2L直4ガソリンターボを搭載したPHEVの530e(2WD&4WD)、3L直6ディーゼルターボを積む48Vマイルドハイブリッドの540d xDriveも用意される。日本仕様はセダンに準じたラインナップになる模様だ。

ラゲッジスペースは、5人乗車時で先代+10Lの570L、40:20:40の3分割可倒式リアシートを倒せば、最大で1700Lに拡大する。バックレストはラゲッジ側面のレバーで可倒する。ちなみにICEモデルとBEVでラゲッジ容量に違いはない。

車重を感じさせない軽快な身のこなし

i5 eDrive40ツーリングは、リアアクスルに最高出力313ps、最大トルク400Nmを発揮する同期モーターを搭載した後輪駆動モデル。Myモードでスポーツを選択すると、最高出力が340psに向上する。さらにブーストパドル操作時(10秒間)とローンチコントロール作動時には最大トルクが430Nmに増大する。

BMW i5 M60 xDrive Touring

フロア下に搭載されるリチウムイオンバッテリーは81.2kWhでi5セダンと共通。WLTCモードにおける航続距離は573kmとなっている。

インパネ周りは、セダンと基本的に共通する。i5 M60 xDriveツーリングは、12時の位置にレッドのマーカーがあしらわれたMレザーステアリングを装備。前席スポーツシートはM60専用だ。i5の後席は、ICEモデルより若干だが座面が高い。

動力性能は全くもって必要十分以上だ。発進は非常にスムーズだし、どんな速度域からでも右足を少し踏み込めば、瞬時に力強い加速を披露する。0→100km/h加速が6.1秒、最高速度は193km/h(リミッター作動)なのだから、実用上申し分ないパフォーマンスである。

ハンドリングも、とてもスポーティだ。4輪操舵システムのインテグレーテッド・アクティブ・ステアリングを搭載しているが、挙動に違和感が全くないどころか、身のこなしは非常に軽快。車両重量が2180kgもあることなど全く意識することはない。乗り心地もオプションの21インチ(標準は19インチ)タイヤを装着していた割には良好で、静粛性ももちろん高い。とても高バランスなモデルという印象である。

一方のMパフォーマンスモデルであるi5 M60 xDriveツーリングは、フロントに261ps/365Nm、リアに340ps/430Nmの同期モーターを搭載し、システム合計で601ps/795Nmを発揮する4WDモデル。i5 eDrive 40ツーリングと同様に、ブーストパドル操作時とローンチコントロール作動時には、最大トルクが820Nmまで強まる。バッテリーも同様に81.2kWhで、航続距離は500kmだ。

12.3インチ&14.9インチのディスプレイを備えたBMWカーブドディスプレイは、セダンと共通。

その走りはダイナミックのひと言。0→100km/h加速が3.9秒、最高速度は230km/h(リミッター作動)なので、加速はとても豪快。アウトバーンでの200km/h巡航も楽勝だ。

シフトセレクターやiDriveコントローラーも共通だ。

直進性は抜群で、ハンドリングも極めてスポーティ。インテグレーテッド・アクティブ・ステアリングやアクティブスタビライザー、アダプティブMサスペンションの効果は、走りに明らかに現れている。こちらも2350kgの車両重量を意識する瞬間は皆無で、「もはやMモデルは不要かも⁉」とさえ思えてしまうほど爽快な走りが楽しめた。

ドライビング・アシスタント・プロフェッショナル搭載車は、最高130km/hのハンズフリードライブが可能。

しかしこちらもオプションの21インチタイヤ(標準は19インチ)を履いていたためか、乗り心地の硬さが目立っていた。Myモードで「コンフォート」が選べれば、なお良いだろう。
今回はBEVのi5ツーリングのみの試乗だったが、セダンを見るかぎり、ICE搭載モデルの出来も大いに期待して良さそうだ。

ドアミラーに視線を向けるだけで車線変更も可能だ。

【SPECIFICATION】BMW i5 eDrive40 Touring
■車両本体価格(税込)=10,400,000円
■全長×全幅×全高=5060×1900×1515mm
■ホイールベース=2995mm
■トレッド=前:1620、後:1625mm
■車両重量=2240kg
■モーター形式/種類=HA0001N0/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:340ps(250kW)/8000rpm
■モーター最大トルク=前:400Nm(40.8kg-m)/0-5000rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=83.9kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=573km
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前:245/45R19、後:275/40R19

【SPECIFICATION】BMW i5 M60 xDrive Touring
■車両本体価格(税込)=16,000,000円
■全長×全幅×全高=5060×1900×1505mm
■ホイールベース=2995mm
■トレッド=前後:1625mm
■車両重量=2410kg
■モーター形式/種類=HA0002N0,HA0003N0/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:261ps(192kW)/8000rpm、後:340ps(250kW)/8000rpm
■モーター最大トルク=前:365Nm(37.2kg-m)/0-5000rpm、後:430Nm(43.8kg-m)/0-5000rpm
■バッテリー=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=83.9kWh
■一充電航続可能距離(WLTC)=500km
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前:Vディスク、後:ディスク
■タイヤ(ホイール)=前:245/40R20、後:275/35R20

フォト=BMW AG ルボラン2024年8月号より転載
竹花寿実

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