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【国内試乗】全面刷新で走りも機能もプレミアム度をアップ!「BMW 5シリーズ・ツーリング」

昨年国内でもフルモデルチェンジが行なわれた5シリーズ・セダンだが、早くもステーションワゴンの5シリーズ・ツーリング(G61型)が上陸した。今回はいち早く導入された2L直4 ディーゼルターボを積んだ48V マイルドハイブリッドの523d xDrive ツーリングM スポーツに試乗した。

ついに全長は5m超え。そのぶん室内は余裕の広さ

相変わらずSUVやミニバンが高い人気を誇っているが、走りにこだわるなら全高の低いセダンやステーションワゴンを選びたい。このジャンル、日本のブランドを見るとラインナップが寂しいものの、BMWやメルセデス・ベンツ、アウディといったドイツ勢ならさまざまなサイズやキャラクターのモデルが揃うのがうれしいところで、とくにアッパーミディアムセグメントはドイツ勢の独壇場。その代表ともいえるBMW5シリーズ・ツーリングがフルモデルチェンジし、待望の日本上陸を果たした。そこで売れ筋の523d xDriveツーリングをいち早くテストドライブに連れ出した。

サイドデザインにおいては、高いショルダーライン、金属を削り出したような塊感のあるドアパネルとフェンダーが特徴だ。それに加えて2本のキャラクターラインで、スタイリッシュなデザインに進化している。

8代目5シリーズの一員となった新しい5シリーズ・ツーリング。その実物を目の当たりにするのはこれが初めてだが、正直な第一印象は「デカい」。旧型の全長が4975mmだったのに対して、この新型は85mm伸びて5060mmとなり、ついに5mを超えてしまったのだ。ライバルのメルセデス・ベンツEクラス・ステーションワゴンが全長4960mmに留まっていることを考えると、なおさら大きいのが目立つ。5シリーズ・ツーリングの全幅も1870mmから1900mmに拡大し、都心の狭い駐車場では停めるのに躊躇してしまうサイズである。

2L直4ディーゼルターボエンジンは、ピストンの軽量化等の改善に加え、シーケンシャル・ツインターボの電子制御精度を向上させた上で、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる。

そのぶん室内の広さは目を見張るばかり。後席は20mm延ばされたホイールベースの恩恵もあって、大人でも楽に足が組めるだけのレッグスペースが確保されている。後方にまっすぐ伸びるルーフラインのおかげでヘッドルームにも余裕たっぷりだ。

ラゲッジスペースも、後席を使用した状態で奥行きは1mを超え、3分割式の後席を倒せば約2mに拡大。余裕で車中泊が楽しめるサイズである。

新型5シリーズ・ツーリングのリアデザインはリアガラスをより立体的な造形とし、Dピラーから続くスタイリッシュ感を強化している

話は少し脱線するが、私自身、過去に何台かステーションワゴンを所有しているが、後席を倒して使用したのは数えるほど。それでも、セダンとステーションワゴンが用意されるなら、文句なくステーションワゴンを選びたくなるのは、荷室の絶対的な広さに加えて、ステーションワゴンのほうが荷物の出し入れが格段にしやすいからだ。とくに、奥まった場所の荷物にアクセスしやすいのが助かり、この便利さを知ってしまうと、もうセダンには戻れない。

ツーリング専用デザインのリアコンビネーションライトは低い位置に配置され、ワイド感とスポーティ感を高めている。

さて、あらためて新型5シリーズ・ツーリングを見ると、真横からの眺めは塊感があり、アッパーミディアムセグメントらしい存在感が実に頼もしい。フロントに鎮座する大きなキドニーグリルはもはや見慣れてきたが、中央の小さなプレートがいまひとつキドニーグリルに馴染んでないのだけが惜しい。

運転席のドアを開けると、明るく美しいレザーシートが、ドライバーの到着を待ち構えていた。さっそくシートに身を委ねると、いまやすっかりおなじみのBMWカーブド・ディスプレイがその存在を主張している。BMWお得意のドライバーオリエンテッドなコックピットのおかげで、広いはずの室内が適度にタイトに感じるのが運転する者にはうれしい。ダッシュボードには光沢のあるブラックのパネルやウッドに加えて、クリスタル素材が配置されることで上質でエレガントな雰囲気が際だち、満ち足りた気持ちでいられるのも、このクルマの魅力である。

快適なグランドツアラーとしての性能を求めるなら5シリーズ・ツーリングは、打ってつけの一台だ。

快適なグランドツアラー。マイルドハイブリッドも◎

今回試乗する523d xDriveには、2L直列4気筒ディーゼルターボが搭載されている。ディーゼルエンジンだけに、最高出力は197psとやや控えめだが、最大トルクは400Nmと強力。さらにこの新型には5シリーズ・ツーリングとしては初となる48Vマイルドハイブリッドシステムが採用されたのが見逃せない。

コクピットは、先代モデルに比べてボタン類が大幅に削減され、無駄を省いて洗練されたデザインになった。BMWカーブド・ディスプレイは、最新の12.3インチのインフォメーションディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイで構成されている。

さっそく走り出すと、低回転から余裕あるトルクを発揮する2Lディーゼルのおかげで、出足から動きは軽やか。低速ではエンジン音が目立つが、スピードが上がるにつれて気にならなくなるうえ、ノイズそのものも不快な音質でないのが助かる。

動き出してからも、このエンジンはどの回転からも力強く、素早い加速が楽しめる。マイルドハイブリッドシステムのおかげで、加速の瞬間にモーターがエンジンをアシストしてくれるのも、これに貢献しているのだろう。アクセルペダルを深く踏み込むと、勇ましいサウンドをともないながら4000rpmあたりまで勢いが続くのも頼もしい。アイドリングストップからエンジンが再始動する際、ほとんどショックを感じないのもマイルドハイブリッドシステムの美点である。

気が利いているのが、コースティング時の動き。エフィシェンシーモードを選んだ場合、走行中にアクセルをオフにすると、条件が整えばエンジンが自動的に停止し、コースティング(惰力走行)を行うが、先行車がいる場合は、コースティングよりもエンジンブレーキがほしいことがよくある。その点、このクルマでは先行車を検知すると自動的にコースティングをキャンセルして、エネルギー回生に切り替えてくれるので、前車に接近しすぎずにすむのだ。

アダプティブ・サスペンションを含むコンフォート・ドライビング・パッケージのオプションが装着される試乗車では、期待どおりのハイレベルな走りが楽しめる。低速時や路面コンディションによっては軽いショックを伝えてくるものの、乗り心地はおおむね快適。スピードが上がるにつれてフラットさが高まり、高速道路では優れた直進安定性とあいまって、このクルマとならいくらでも走り続けられると思ってしまうほどだ。その一方でカーブでは、4輪操舵も手伝ってコーナリング時の接地感や安定感は高く、さらに素直なハンドリング特性により、あの大きなボディが面白いほど軽快に操れるのがなんともBMWらしいところで、余裕あるボディサイズと、快適なグランドツアラーとしての性能を求める人にとって、この5シリーズ・ツーリングは、まさに打ってつけの一台である。

 

 

 

ラゲッジスペース容量は標準時570Lで、40:20:40分割可倒式の後席を倒せば最大で1700Lまで拡大可能だ。また、後席を折りたたんだ状態でも荷室が使用でき、前席乗員の安全が確保されるラゲージ・パーティション・ネットが標準で装備される。

【Specification】BMW 523d xDrive ツーリングM スポーツ
■車両本体価格(税込)=9,600,000円
■全長×全幅×全高=5060×1900×1515mm
■ホイールベース=2995mm
■トレッド=前:1620、後:1655mm
■車両重量=1940kg
■エンジン型式/種類=B47D20B/直4DOHC16V+ターボ
■総排気量=1995cc
■最高出力=197ps (14kW5) /4000rpm
■最大トルク=400Nm(40.8kg-m)/1500-2750rpm
■モーター形式/種類=JA1S06M0 /交流同期電動機
■モーター最高出力=5ps(7kW)/6000rpm
■モーター最大トルク=25Nm(2.5kg-m)/500rpm
■燃料タンク容量=60L( 軽油)
■燃費(WLTC)=15.7km/L
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前:Wウイッシュボーン/コイル、後:マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ=前後:245/45R19
問い合わせ先=BMWジャパン TEL0120-269-437

フォト=郡 大二郎 ルボラン2024年9月号より転載
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