フォルクスワーゲン

歴代ゴルフGTIや貴重なホットモデルがVWオスナブリュック工場に集結!「フォルクスワーゲン50周年スポーティゴルフ」

コンパクトカーのベンチマークとして愛されるゴルフは今年で50周年を迎えた。これを記念して、本国ドイツにてスポーティゴルフを一堂に会したツアーを開催。ここでは、ゴルフGTI、ゴルフRをはじめ、モータースポーツにチャレンジしたゴルフなど、特別セレクションを紹介していこう。

いまとなって実感するゴルフ1GTIの偉大さ

空冷ビートルに代わるファミリーカーとして、水冷FF2ボックスのゴルフが登場したのは1974年のこと。それ以来、ドイツ本国をはじめ、世界のさまざまな地域のファミリーに愛されてきたのはご存じのとおりだ。その人気を支えているのがスポーツモデルの存在で、1976年にデビューしたゴルフGTIや、2002年にラインナップに加わったゴルフR32といったホットハッチが、たくさんのファンのハートを掴んできた。さらに、モータースポーツの世界でもゴルフはその存在をアピール。こうした歴史的なゴルフが、ドイツのVWオスナブリュック工場に集結し、今回のツアーでは、その勇姿を間近で見ることができた。

GOLF1 GTI(1983)/イベント会場では、貴重なゴルフ1GTIに試乗することができた。車両は1983年製の最終モデル。

本題に入る前に、会場となったVWオスナブリュックについて触れておくと、ここはかつて名門コーチビルダーとして知られる「カルマン」があった場所で、空冷時代のビートルカブリオレをはじめ、ゴルフカブリオレ、シロッコ、コラードといったフォルクスワーゲン車の少量生産を請け負ってきた。2009年からはフォルクスワーゲンの100%子会社として、T-RocカブリオレやXL1、アルテオン・シューティングブレークといったモデルを世に送り出している。ここにはカルマン時代からの貴重なクルマを集めたコレクションホールがあり、今回はこのホールを使って「スポーツゴルフの50年展」を開催することになったというわけだ。

GOLF1 GTI(1983)/1.6Lから1.8Lに拡大された直列4気筒エンジンは112psを発揮。

その主役ともいえるゴルフGTIは、初代ゴルフの誕生から2年後に登場。ゴルフのスポーツモデルをつくりたいという有志が非公認のプロジェクトとして開発をスタートさせ、会社の上層部にかけあい、5000台限定での発売に漕ぎ着ける。初代ゴルフGTIには、110psの1.6L直列4気筒エンジンが搭載され、最高速度180km/hオーバーの速さによりアウトバーンの追い越し車線を颯爽と駆け抜けた。人々は「ゴルフGTIがアウトバーンの民主化を成し遂げた」と称賛。そんなこともあり、ゴルフGTIの人気は沸騰し、最終的な販売台数は46万台を超えた。限定生産モデルがいまやフォルクスワーゲンを代表するアイコンとなっているのだから、世の中どう転ぶかわからない。

GOLF1 GTI(1983)/約800kgという軽さもあって、走りは痛快そのもの。その楽しさは半世紀を経ても色あせていない。

そんなヒストリーを持つゴルフ1GTIを展示ホールの奥に見つけ、駆け寄ろうとした矢先、「いまなら外にある試乗車が“よりどりみどり”」という情報をキャッチした日本からの取材陣は、いきなりゴルフ1GTIとゴルフ2GTIの2台をドライブする幸運に恵まれたのだ。

GOLF2 G60 Limited(1989)/ゴルフRの起源とされるのが、ゴルフ2の時代に登場したG60リミテッド。その生産台数はわずか71台とかなり貴重だ。

さっそくゴルフ1GTIへ。このクルマは1983年製の最終モデルで、排気量は1.6Lから1.8Lに拡大され最高出力が112psにアップしている。ゴルフボール型のシフトレバーをたぐって走り出すと、その活発さに驚かされる。レスポンスの良いエンジンと俊敏なハンドリングは、いまの基準でもまったく色あせず、これがいまから半世紀近く前に登場していたと思うと、当時の衝撃は計り知れない。

GOLF2 G60 Limited(1989)/Gラーダと呼ばれるスーパーチャージャー付きの1.8Lエンジンは、4バルブ化によって160psから210psにアップされ、そのパワーは4WDのシンクロにより、あますところなく路面に伝えられる。0-100km/h加速は7.4秒、最高速は230km/hをマークする。

一方、乗り換えたゴルフ2GTIは1989年製で、基本的には直前に乗ったゴルフ1GTIと同じエンジンだが、触媒コンバーターが追加されたためにパワーは107psにダウン。ゴルフ2GTIのなかではもっとも控えめな仕様だった。ボディサイズの拡大などにともなう重量増もあって、ゴルフ1GTIのような威勢の良さは感じられなかったが、それでも、乗り心地やハンドリングは洗練されており、その後、16バルブ仕様の登場によりGTIらしさを取り戻すことになる。

GOLF8 GTI Clubsport(2024〜)/ゴルフGTI に、よりパワフルな300psの2L直列4気筒ターボを搭載するのが、GTIクラブスポーツ。ニュルブルクリンクに最適化されたドライビングプロファイルを備えるハンドリングマシン。

71台限定生産のゴルフがRの起源だった

2台のGTIの試乗を終えて展示ホールに戻ると、入り口横にガンメタリックのゴルフ2が佇んでいることに気づく。よく見ると、フロントグリルには明るいブルーのラインとフォルクスワーゲン・モータースポーツのバッジ……。ということは、これは生産台数わずか71台のゴルフG60リミテッドではないか! G60とは搭載されるスーパーチャージャー付き1.8Lエンジンを指し、通常は160psのところ、このクルマでは2バルブから4バルブに変更することで210psを絞り出す。さらにFFを“シンクロ”と呼ばれる4WDに変更することで0→100km/h加速7.4秒、最高速230km/hを達成するという、まさに羊の皮を被った狼なのだ。

NEW GOLF8 R(2024〜)/2024年7月、ゴルフに続いてゴルフRがマイナーチェンジ。2L直列4気筒ターボは333psまで最高出力が高められ、Rパフォーマンス トルクベクタリングを備える4WDにより、これまで以上に素早いコーナリングが可能に。

このクルマが展示されている理由は、もちろん貴重なゴルフのスポーツモデルということもあるが、パワフルなエンジンと4WDを組み合わせた高性能モデルという意味で、現代のゴルフRの起源にあたると見られるからだろう。

NEW GOLF8 R(2024〜)

ゴルフG60リミテッドが生産されてから13年後の1989年、4代目ゴルフの時代に、最高出力241psの3・2LVR6エンジンと4WDの4モーションを搭載したゴルフR32が登場。GTIのさらに上を行くスポーツモデルとして進化を続けることになる。エンジンのダウンサイジングをリードするフォルクスワーゲンは、ゴルフ6の時代にエンジンを2L直4ターボに置き換え、モデル名をゴルフRと改めたが、いまやゴルフGTIを凌ぐほどの人気ぶりだ。

NEW GOLF8 R(2024〜)

イベント会場の一番奥には、ゴルフ8.5と呼ばれる最新版のゴルフがベースのGTIとRも展示。GTIは標準モデルが265psの2Lターボを搭載するに対して、展示のGTIクラブスポーツは300psにパワーアップ。一方のRはいまや333psの2Lターボが採用され、前後に加えて、後輪の左右のトルクを自在に変えるRパフォーマンストルクベクタリングにより、俊敏なハンドリングを実現。フォルクスワーゲンによれば次のゴルフ9はEVになるというが、スポーツゴルフの伝統が次の世代にどう受け継がれるのか、期待は膨らむばかりである。

NEW GOLF8 R(2024〜)

NEW GOLF8 GTI (2024〜)/最新版のゴルフGTIは、ゴルフのマイナーチェンジと同時に発表された。搭載される2L直列4気筒ターボエンジンは245psから265psにアップ。日本でも、2025年以降の導入が発表されている。

NEW GOLF8 GTI (2024〜)

Q.歴代ゴルフGTIについて教えてください!
A.ゴルフⅠから用意されていました。

GOLF1 GTI(1976〜1983)/ゴルフ1のデビューから2年後の1976年、最初のゴルフGTIが誕生。110psの1.6L直列4気筒エンジンが搭載され、最高速度180km/hの速さを誇った。

GOLF2 GTI 16V (1984〜1991)/1984年にはゴルフ2GTIが登場。当初112psだった1.8Lエンジンを、4バルブ化することで129psにパワーアップ。ボディの大型化・重量増に対応した。

GOLF3 GTI(1991〜1997)/3代目ゴルフはついに全長が4mを超え、GTIのエンジンも2Lに拡大した。導入時は115psだった出力は1年後に150psまでアップし、GTIにふさわしい速さに。

GOLF4 GTI(1998〜2003)/フルモデルチェンジにより一気にモダンなデザインに変身したゴルフ4。GTIには初めてガソリンターボエンジンを搭載。2Lエンジンは150psを発揮。

GOLF5 GTI(2004〜2008)/ゴルフ史上、もっとも大きな進化を遂げた5代目。GTIは200psの2L 直噴ガソリンターボを手に入れ、さらに4輪独立懸架のサスペンションなどによりスポーティさがアップ。

GOLF6 GTI(2009〜2012)/ゴルフ5GTIの正常進化版がこのゴルフ6GTI。2L直列4気筒ターボが211psに強化。ヨーロッパではカタログモデルとしてGTIカブリオレが用意された。

GOLF7 GTI(2013〜2019)/ゴルフ7の時代には、220psのゴルフGTIと、230psのゴルフGTIパフォーマンをラインアップ。ハンドリングを高めたGTIパフォーマンスは、その後、クラブスポーツやTCRに進化。

GOLF8 GTI(2019〜2024)/ゴルフ8GTIでは、ゴルフ7GTIパーフォマンスに搭載された245psの2Lエンジンと、フロントディファレンシャルロックが標準となり、ハンドリング性能が向上。

Q.知る人ぞ知るモデルとは?
A.たとえばこんなモデルがあります!

GOLF2 Rallye G60 16V(1990)/1987年にパイクスピークヒルクライムに参戦したマシン。326psの1.8Lターボを前後に搭載することで4WDを実現。競技では惜しくもリタイア。

GOLF2 Rallye G60 16V(1990)

GOLF6 GTI Cabrio Austria(2013)/ゴルフ6GTIにはカブリオレ版もあった。写真はそれをベースにカスタマイズされたスタディモデルで、オーストリアのGTIミーティングで披露された。

GOLF6 GTI Cabrio Austria(2013)

GOLF2「 Pikes Peak」(1987)/WRCのグループAカテゴリーに参戦するために5000台が生産されたラリーゴルフ。写真は210psの1.8Lを搭載するスペシャルで、生産台数はわずか12台。

GOLF2「 Pikes Peak」(1987)

Q.ゴルフRは何世代からですか?
A.ゴルフ4で初めて登場しました。

GOLF4 R32(2002〜2003)/GTIを上回る高性能エンジンと4WDにより、新しいコンパクトスポーツの世界を切り拓いたゴルフR32は
ゴルフ4の時代に初登場。241psの3.2L“ VR6 ”が搭載され、圧倒的な速さを見せつけた。

GOLF4 R32(2002〜2003)

GOLF4 R32(2002〜2003)

Q.最後に新型ゴルフについて教えてください!
A.2024年9月より受注活動を開始します。

NEW GOLF8(2024〜)/2024年1月にマイナーチェンジが発表された最新版ゴルフ。イルミネーション付きのVWエンブレムを採用するのは初めて。日本でも2024年9月に予約注文が始まり、2025年1月以降には納車が始まる予定。

NEW GOLF8(2024〜)

NEW GOLF8(2024〜)

フォト=フォルクスワーゲンAG ルボラン2024年9月号より転載

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