キット自体フル再現のなかなか見応えある内容だが、427-cid、SOHCのCammerエンジンは、より彫り深く、細かなモールドがされたパーツで構成されている。シリンダーヘッド裏側には半球形型の燃焼室がモールドされており、HEMI HEADの意味するところがよく理解できる。クライスラーのヘミへの対抗として生まれたこのエンジンは、諸々の障壁のため実際にはNASCARに登場することは叶わなかったのだが、それをジョーハンは架空のカラーリングを伴ったキットとして世に出した――なんとも夢のある話ではないだろうか。
写真:羽田 洋、畔蒜幸雄、秦 正史