2024年7月26〜28日、フォルクスワーゲンのお膝元、独ウォルフスブルクにて「GTIファンフェスト」が開催された。ヨーロッパ中からコアなGTIファンたちが集った熱い3日間の模様をレポートしよう。
3日間で約1万5000人がウォルフスブルクに集結
なぜ、ゴルフGTIはここまで人々を熱狂させるのだろうか?
オーストリアのヴェルター湖畔をゴルフGTIでドライブしていたエルヴィン・ノイヴィルトは、この地でGTIのためのファンミーティングを開催するアイデアを思いつく。これが実現したのが1982年のこと。以来、GTIファンが自らの手で主催してきたイベントは、この地で40年近くにわたって実施されてきたが、2020年以降は新型コロナウィルス感染症の影響で中止。さらに狭い地域に多くの車両が密集することから地元自治体は大規模イベントの禁止を決定。それでも2022年には約5000台の車両が非公式に集結したため、このうちのおよそ3700件が検挙の対象になるという不幸な出来事も起きた。
これを受けてフォルクスワーゲンはGTIミーティングを受け継ぐイベントを、お膝元のドイツ・ウォルフスブルグにて「GTIファンフェスト」と名前を変えて実施することを決定。その記念すべき第1回が、7月26〜28日にフォルクスワーゲン・アリーナを舞台に執り行なわれた。
主催者によれば、今年は2500台ほどがイベントに参加し、うち700台がアリーナ周辺の駐車場などに展示されたという。ヴェルター湖時代に比べればやや規模は縮小されたようにも思えるが、それだけに会場の雰囲気は整然としていて、いかにも自動車メーカー主催のイベント(ファンクラブも開催に協力したとの由)との印象を見る者に与えた。
イベントの主役を務めたのは、もちろん初代から現行8代目までのゴルフGTIだが、それ以外にもポロGTIに代表されるフォルクスワーゲンのスポーツモデルや、同社のコンセプトカー、そしてIDシリーズも登場。さらには少数ながらアウディやポルシェまで参加するというバリエーション豊かな車両が会場を賑わせた。
また、ファンが持ち込んだゴルフの多くはカスタマイズ車だったが、その傾向が日本とはいくぶん違うことも印象に残った。車高を極端に下げた“シャコタン”車が中心なのは洋の東西を問わないものの、なぜかゴルフGTIファンはエアロパーツへの関心が低いらしく、巨大なリアウィングやフロントスポイラーを取り付けた車両は数えるほどに過ぎない。そのいっぽうでエンジンなどをチューニングする車両が目立った。しかも、彼らの多くはボンネットを誇らしげに開いているのだが、なかを覗き込むと、エンジンルームの内部まできれいに再塗装が施されていて、メカニカルな美しさを競い合っているようにも思えたほどだった。
さらには、ゴルフⅠやゴルフIIを3列シート・6ドアの“ストレッチリムジン”に改造したり、後部座席を取っ払ってそこにエンジンを搭載したミッドシップ・ゴルフなどを持ち込む強者も見られた。
いっぽうでフォルクスワーゲンは次世代ゴルフがEVになることも公言している。その詳細はまだ公表されていないが、次世代ゴルフのデザインコンセプトを目にした者は、それがベールをかぶった状態でもゴルフであることがひと目でわかったと打ち明けている。
今後については検討中とのことだが、来年はゴルフGTIが誕生して50年目の記念すべき年なので、おそらく来年も多くのファンがこの地を訪れることだろう。